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ルノー・キャプチャー VS. ホンダ・ヴェゼル VS. マツダCX-30

小さなオールラウンダー 2021.10.04 乗って実感 比べて納得 「ルノー・キャプチャー」の魅力<AD> サトータケシ 欧州でナンバーワンの人気を誇るコンパクトSUV「ルノー・キャプチャー」。このクルマがかの地で支持される理由とは? 日本の人気モデル「ホンダ・ヴェゼル」「マツダCX-30」と乗り比べ、その魅力を確かめた。

もはや“輸入車=お高いクルマ”ではない

「ルノー・キャプチャー インテンス テックパック」が319万円。「ホンダ・ヴェゼルe:HEV PLaY」が329万8900円。「マツダCX-30 XD Lパッケージ」が306万9000円(いずれも税込みの車両本体価格)。お金の話ばかりするのもあまり上品ではないけれど、この並びを見て「おや?」と思われる方もいるのではないか。コンパクトSUVという、いま最も注目が集まるセグメントにおいては、「輸入車=高級品」というのは過去の話になっているのだ。

せっかく、少額とはいえない金額を支払う買い物なのだから、選択肢は広いほうがいい。「2020年にヨーロッパで最も売れたSUV」であるキャプチャーも同じような価格で買えるのであれば、これも選択肢に含めたほうが実り豊かなクルマ選びができるはずだ。というわけで、ヨーロッパのベストセラーと日本を代表するコンパクトSUVはどこが違うのかを確認するのが、本稿の趣旨である。このセグメントで注目度の高い、冒頭に記した3台を連れ出した。

ルノーによれば、キャプチャーがヨーロッパでバカ売れしている理由のひとつがデザインとのことだけれど、間近で見ると納得だ。やわらかな曲線やきれいなルーフラインによって、SUVのタフな雰囲気に上手に華やかでエレガントな香りを加えている。しゃれた雰囲気のSUV という、ありそうでなかったデザインに仕上がっている。

一方、ヴェゼルは昔のラジカセのスピーカーみたいなフロントグリルに目を奪われがちだけど、基本的には直線基調のオーセンティックなSUVのスタイル。もちろん、こっちを好む人もいるはずだ。マツダCX-30は少し毛色が違って、純然たるSUVというよりは、SUVとハッチバックのクロスオーバー。全高は1540mmと他の2台に比べて50mm低く、力強さよりも繊細な美しさを狙った造形だ。

といった具合に、眺めているだけでも3台それぞれ違うけれど、走らせてみるともっと大きな違いがある。

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今回は「ルノー・キャプチャー」と「ホンダ・ヴェゼル」「マツダCX-30」を比較。いずれも300万円前後をメインの価格帯とするコンパクトSUVだ。
今回は「ルノー・キャプチャー」と「ホンダ・ヴェゼル」「マツダCX-30」を比較。いずれも300万円前後をメインの価格帯とするコンパクトSUVだ。拡大
欧州におけるベストセラーSUVという肩書とともに、2021年2月に日本で発売された現行型「ルノー・キャプチャー」。今回連れ出したのは、先進装備の充実した上級グレード「インテンス テックパック」である。
欧州におけるベストセラーSUVという肩書とともに、2021年2月に日本で発売された現行型「ルノー・キャプチャー」。今回連れ出したのは、先進装備の充実した上級グレード「インテンス テックパック」である。拡大
フローティング形状のセンターコンソールが特徴的な「キャプチャー」のインストゥルメントパネルまわり。インフォテインメントシステムがApple CarPlayやAndroid Autoに対応していたり、2つのUSBソケットやワイヤレスチャージャーを備えていたりと、スマートフォンとの連携機能も充実している。
フローティング形状のセンターコンソールが特徴的な「キャプチャー」のインストゥルメントパネルまわり。インフォテインメントシステムがApple CarPlayやAndroid Autoに対応していたり、2つのUSBソケットやワイヤレスチャージャーを備えていたりと、スマートフォンとの連携機能も充実している。拡大
機能性の高さはもちろん、こだわりの感じられるデザインも「キャプチャー」の魅力。抑揚のあるボディーの面形状や、最新のルノー車に共通するCシェイプのランプ類が目を引く。
機能性の高さはもちろん、こだわりの感じられるデザインも「キャプチャー」の魅力。抑揚のあるボディーの面形状や、最新のルノー車に共通するCシェイプのランプ類が目を引く。拡大

三者三様のパワートレインとドライブフィール

ホンダ・ヴェゼルe:HEV PLaYは、1.5リッターエンジンと2基のモーターを組み合わせたハイブリッド仕様で、駆動方式はFWD(前輪駆動)。2基のモーターはそれぞれ発電用/駆動用と役割分担が明確で、一定条件の巡航状態に入らない限り、市街地ではほぼモーターがタイヤを回す。このとき、エンジンは発電機として働いている。発進から静かに、かつ滑らかに加速するモーター駆動は快適で、かつ「新しい乗り物に乗っている」という気分も味わえる。

マツダCX-30 XD Lパッケージに乗り換えると、発進時にずっしりと腹に響くようなトルクを感じる。このクルマの1.8リッターディーゼルターボとホンダ・ヴェゼルのモーターは、最大トルクの値に大きな差はないけれど、フィーリングには大きな差がある。ヴェゼルのモーターがふんわりと浮くような感覚を伝えてくるのに対して、CX-30のディーゼルからはタイヤが強い力で地面を蹴っている様子が伝わってくる。タイムを計れば大差はないだろうけど、加速感の違いがおもしろい。

浮遊感のハイブリッド、ずっしりとくるディーゼルと比べて、ルノー・キャプチャーの1.3リッター直列4気筒ガソリンターボには、さわやかさがある。発進時の極低回転域から力強さは十分で、さらにアクセルペダルを踏み続けるとスムーズに回転を上げるとともに、もりもりと力が湧いてくる。耳に心地よい、乾いた排気音もあって、回していると心が元気になるようなフィーリングだ。

伸びのよいエンジンの美点をさらに強調するのが、デュアルクラッチ式の7段ATだ。加速が欲しいときにアクセルペダルに力を込めると、まるでそれを予期していたかのように俊敏にギアを落として、エンジンの回転を高める。しかも、電光石火の素早いシフトダウンなのにシフトショックはほぼ皆無だから、スムーズに回転を上げるエンジンフィールと相まって、気持ちのよい加速を存分に味わえる。

余談だけれど、このパワートレインはコンパクトな2シーターのオープンスポーツに積んでもおもしろそうだ。それくらい、高速道路でもワインディングロードでも気持ちがいい。

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水平基調のすっきりとしたデザインが特徴の「ホンダ・ヴェゼル」。横桟のみでグリルをデザインしたフロントマスクがユニークだ。
水平基調のすっきりとしたデザインが特徴の「ホンダ・ヴェゼル」。横桟のみでグリルをデザインしたフロントマスクがユニークだ。拡大
グレージュのインテリアカラーは最上級グレード「e:HEV PLaY」だけに設定されるもの。各所に施された、控えめなオレンジのアクセントもポイントだ。
グレージュのインテリアカラーは最上級グレード「e:HEV PLaY」だけに設定されるもの。各所に施された、控えめなオレンジのアクセントもポイントだ。拡大
シートはプライムスムース(合成皮革)とファブリックのコンビタイプ。後席には座面チップアップ機能が備わり、高さのある荷物も積み込める。
シートはプライムスムース(合成皮革)とファブリックのコンビタイプ。後席には座面チップアップ機能が備わり、高さのある荷物も積み込める。拡大
パワーユニットは2基のモーターと1.5リッターガソリンエンジンを組み合わせたストロングハイブリッド。WLTCモードで24.8km/リッターという燃費性能を実現している。
パワーユニットは2基のモーターと1.5リッターガソリンエンジンを組み合わせたストロングハイブリッド。WLTCモードで24.8km/リッターという燃費性能を実現している。拡大
「ヴェゼル」では専用のアプリを使えば、スマートフォンによって車両の遠隔管理やドアのアンロックなどが可能。そうした点でも、非常に未来的なクルマとなっていた。
「ヴェゼル」では専用のアプリを使えば、スマートフォンによって車両の遠隔管理やドアのアンロックなどが可能。そうした点でも、非常に未来的なクルマとなっていた。拡大

見えないところに宿るルノーのこだわり

市街地で快適なのはホンダ・ヴェゼルだが、マツダCX-30も街なかでの乗り心地が劇的に改善されていることに驚かされた。コツコツと改良を積み重ねているマツダの開発陣は立派だ。

一方で、高速道路やワインディングロードなど、速度域が上がるとがぜん輝きを放つのがルノー・キャプチャー。速度を上げるほどに姿勢が安定してムダな上下動がなくなる。サスペンションがしなやかに動いて路面からの衝撃を緩和しながら、車両の姿勢を水平に保っている。

路面の荒れたワインディングロードでも、キャプチャーは4本のタイヤがしなやかに路面をとらえ、快適な乗り心地とコーナリング性能を高度にバランスさせている。感覚的には、ヒザを柔軟に曲げたり伸ばしたりしながら走る、4本足の猫科の動物のようだ。

タイヤがどんな状態で路面と接しているかをわかりやすく伝えるハンドルの手応えや、ロール(横傾き)がごく自然だと感じさせるルノー車の美点は、キャプチャーでも健在。シートの掛け心地を含め、体が触れる部分のタッチのよさなど、数値に表れないところや目に見えない部分までつくり込んでいるのが良心的だ。

ホンダ・ヴェゼルで気になったのは、タウンスピードではふんわりとした乗り心地を提供する一方で、高速道路ではやや上下動が多いと感じられること。それが不安につながるほどではないにしても、落ち着かないことは確かだ。もうひとつ、ヴェゼルのハイブリッドシステムは、高速や山道の登り勾配で加速をするときに、もうちょっとトルクが欲しいと感じる。逆に言えば、乗り心地もパワートレインも、都市部での普段使いにはぴったりということでもある。

乗り心地がよくなったマツダCX-30ではあるけれど、荒れた山道で乗り比べてみると、かなり改善されたとはいえ相対的にはハーシュネスがキツい。ただしそのハンドリングは目が覚めるほどシャープだ。やはりこのクルマは、ルックスからもわかる通り他の2台とは少しキャラが異なるのだろう。ちょっと背の高いスポーツクーペなのだ。

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長いノーズにコンパクトなキャビンと、軽快でスポーティーなスタイリングの「マツダCX-30」。走りもそのイメージにたがわず、シャープなハンドリングが身上のスポーティーなものだ。
長いノーズにコンパクトなキャビンと、軽快でスポーティーなスタイリングの「マツダCX-30」。走りもそのイメージにたがわず、シャープなハンドリングが身上のスポーティーなものだ。拡大
質感の高いインテリアは昨今のマツダ車に共通する美点。上級グレード「Lパッケージ」では、ステアリングヒーターに前席シートヒーター、10wayのパワーシート(運転席)と装備も充実している。
質感の高いインテリアは昨今のマツダ車に共通する美点。上級グレード「Lパッケージ」では、ステアリングヒーターに前席シートヒーター、10wayのパワーシート(運転席)と装備も充実している。拡大
「Lパッケージ」に装備される本革シート。色は写真の「チャコール」と「ピュアホワイト」の2色が用意される。
「Lパッケージ」に装備される本革シート。色は写真の「チャコール」と「ピュアホワイト」の2色が用意される。拡大
豊富なエンジンのラインナップも「CX-30」の魅力。今回の車両に積まれていた1.8リッターディーゼルターボのほかに、2リッターのガソリンエンジン、圧縮着火技術を用いた次世代エンジン「SKYACTIV-X」も用意される。
豊富なエンジンのラインナップも「CX-30」の魅力。今回の車両に積まれていた1.8リッターディーゼルターボのほかに、2リッターのガソリンエンジン、圧縮着火技術を用いた次世代エンジン「SKYACTIV-X」も用意される。拡大
プレスラインを極力排した、シンプルな意匠も「CX-30」の特徴。車体色のバリエーションも、ポップでビビッドなものよりシックで落ち着いたものが主となっている。
プレスラインを極力排した、シンプルな意匠も「CX-30」の特徴。車体色のバリエーションも、ポップでビビッドなものよりシックで落ち着いたものが主となっている。拡大

「選択肢がある」というすばらしさ

乗り心地やハンドリング、それにパワートレインの性格が明らかに違うことと比べると、安全・運転支援機能にはそれほど大きな差はなかった。いずれも、高速道路での前走車追従機能や自動ブレーキなど、現代のクルマとして十分に満足できる機能と能力を備えている。

例えばルノー・キャプチャーは充実装備のインテンス テックパック仕様だったので、ベース仕様の「インテンス」には備わらない「レーンセンタリングアシスト」が備わっていた。これは路面の白線・黄線を認識して車線の中央を走るようハンドル操作をアシストする装置で、車線をはみ出そうになってから制御が介入する通常の車線逸脱防止機能より、一歩踏み込んだシステムとなっている。コンパクトSUVでもここまでやるようになったか、と感心する。

機能の充実とともに使いやすさもどんどん進化しており、どのクルマもハンドルから手を離すことなく、片手親指のアクションだけでアダプティブクルーズコントロールを起動して、先行車両の追従を開始することができる。慣れればすぐに直感で操作できるようになるインターフェイスのよさがありがたい。

一日をともに過ごして感じたのは、3台それぞれの完成度の高さと、キャラクターの違いだ。都会派のホンダ・ヴェゼル、ワインディングロードで真価を発揮するマツダCX-30、そしてトータルバランスに秀で、グランドツーリングも気持ちよくこなすルノー・キャプチャー。見た目の好き嫌いで選ぶのもいいし、走行フィールの違いで選んでもいい。いずれにせよ、同価格帯でこれだけさまざまな選択肢があるのは、クルマ好きにとって喜ばしいことだろう。

(文=サトータケシ/写真=郡大二郎)

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「キャプチャー」の走りは、ガソリンターボエンジンの伸びのよさとしなやかに動く足まわりが特徴。快適なのにスポーティーにも走れるオールラウンダーだ。
「キャプチャー」の走りは、ガソリンターボエンジンの伸びのよさとしなやかに動く足まわりが特徴。快適なのにスポーティーにも走れるオールラウンダーだ。拡大
「インテンス テックパック」に装備されるレザーシート。前席はシートヒーター付きで、運転席には電動調整機構も備わる。
「インテンス テックパック」に装備されるレザーシート。前席はシートヒーター付きで、運転席には電動調整機構も備わる。拡大
ステアリングホイールに備わるアダプティブクルーズコントロールとレーンセンタリングアシストの操作スイッチ。コンパクトSUVであっても、先進装備はおろそかになっていない。
ステアリングホイールに備わるアダプティブクルーズコントロールとレーンセンタリングアシストの操作スイッチ。コンパクトSUVであっても、先進装備はおろそかになっていない。拡大
同じコンパクトSUVでありながら、明確にキャラクターが異なっていた今回の3モデル。選択肢が豊富なこのジャンルは、いま最もクルマ選びがおもしろいセグメントといえるだろう。
同じコンパクトSUVでありながら、明確にキャラクターが異なっていた今回の3モデル。選択肢が豊富なこのジャンルは、いま最もクルマ選びがおもしろいセグメントといえるだろう。拡大
ルノー・キャプチャー インテンス テックパック
ルノー・キャプチャー インテンス テックパック拡大
 
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車両データ

ルノー・キャプチャー インテンス テックパック

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4230×1795×1590mm
ホイールベース:2640mm
車重:1310kg
駆動方式:FF
エンジン:1.3リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:154PS(113kW)/5500rpm
最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)/1800rpm
タイヤ:(前)215/55R18 95H/(後)215/55R18 95H(グッドイヤー・エフィシェントグリップ パフォーマンス)
燃費:17.0km/リッター(WLTCモード)
価格:319万円

ホンダ・ヴェゼルe:HEV PLaY
ホンダ・ヴェゼルe:HEV PLaY拡大
 
ルノー・キャプチャー VS. ホンダ・ヴェゼル VS. マツダCX-30の画像拡大

ホンダ・ヴェゼルe:HEV PLaY

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4330×1790×1590mm
ホイールベース:2610mm
車重:1400kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:106PS(78kW)/6000-6400rpm
エンジン最大トルク:127N・m(13.0kgf・m)/4500-5000rpm
モーター最高出力:131PS(96kW)/4000-8000rpm
モーター最大トルク:253N・m(25.8kgf・m)/0-3500rpm
タイヤ:(前)225/50R18 95V/(後)225/50R18 95V(ミシュラン・プライマシー4)
燃費:24.8km/リッター(WLTCモード)
価格:329万8900円

マツダCX-30 XD Lパッケージ
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ルノー・キャプチャー VS. ホンダ・ヴェゼル VS. マツダCX-30の画像拡大

マツダCX-30 XD Lパッケージ

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4395×1795×1540mm
ホイールベース:2655mm
車重:1460kg
駆動方式:FF
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:130PS(95kW)/4000rpm
最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)/1600-2600rpm
タイヤ:(前)215/55R18 95H/(後)215/55R18 95H(トーヨー・プロクセスR56)
燃費:19.2km/リッター(WLTCモード)
価格:306万9000円