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三菱アウトランダー<PHEV>/エクリプス クロス<PHEV>

花開いたDNA 2022.03.25 アウトランダー&エクリプス クロスのPHEVで三菱の走りのDNAを味わう<AD> 渡辺 敏史 三菱のプラグインハイブリッドモデル(PHEV)が優れているのは、充電インフラや航続可能距離といった電気自動車(BEV)にまつわる課題を気にすることなく、BEVと同等、またはそれ以上のドライビングプレジャーが得られるところだ。「アウトランダー」と「エクリプス クロス」、2台の最新モデルを連れ出してみた。

スタイリングにみるこなれ感

三菱のSUV、アウトランダーが2021年冬にフルモデルチェンジを受けて3代目へと進化した。

先代はガソリンモデルはもとより、その完成度の高さや多様な使い勝手からPHEVモデルも高い評価を得ていた。そこで新型の日本仕様ではパワートレインのラインナップを電動一本に絞り、コンセプトを明確化。新しいプラットフォームや駆動制御が組み合わせられるなど、技術の鮮度においても新しさを存分に感じさせる内容となっている。

ともあれ注目されるのはそのデザインだろう。個人的には登場当初、その表情に押されて目慣れなかった「ダイナミックシールド」のコンセプトも、徐々に体躯(たいく)側との均整がとれてきたこともあってか、他にない個性として受け止められるようになってきた。とりわけ新型アウトランダーではSUVらしい力感や安定感を意識したプロポーションが採られていることもあり、全体の印象からも「こなれ」感が見てとれる。

ドライビングポジションはシティーユースを意識した今日びのSUVとは微妙に一線を画している。具体的には着座位置が高めで、遠くまで見通しやすい。そしてフロントフェンダーの両峰が認識しやすく、側方や後方の視界もすっきりしている。195~200mmと、悪路走行も十分に意識した余裕のある最低地上高が物語るように、新型アウトランダーはある程度のタフなニーズにも応えられるよう想定されているのだろう。このあたりには「パジェロ」からのDNAも感じられなくはない。

→「三菱アウトランダーPHEV」の詳しい情報はこちら

新型「アウトランダー」と「エクリプス クロス」はいずれも三菱独自のプラグインハイブリッドシステムを積むSUVだ。2台を連ねて試乗の旅に出た。
新型「アウトランダー」と「エクリプス クロス」はいずれも三菱独自のプラグインハイブリッドシステムを積むSUVだ。2台を連ねて試乗の旅に出た。拡大
「パジェロ」に代わって三菱のフラッグシップに据えられた「アウトランダー」。スタイリングは威風堂々(いふうどうどう)としている。試乗車は最上級グレードの「P」。
「パジェロ」に代わって三菱のフラッグシップに据えられた「アウトランダー」。スタイリングは威風堂々(いふうどうどう)としている。試乗車は最上級グレードの「P」。拡大
工夫されたダッシュボードの形状と高い着座位置のため前方視界が開けている。長年にわたってSUVをつくり続けてきた三菱の見識を感じるポイントだ。
工夫されたダッシュボードの形状と高い着座位置のため前方視界が開けている。長年にわたってSUVをつくり続けてきた三菱の見識を感じるポイントだ。拡大
ダッシュボード中央には9インチのスマートフォン連携ナビゲーションを装備。「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応するだけでなく、単体でカーナビも使える。
ダッシュボード中央には9インチのスマートフォン連携ナビゲーションを装備。「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応するだけでなく、単体でカーナビも使える。拡大

フラッグシップならではのしつらえ

新型アウトランダーは新しいプラットフォームの採用によって前型比でホイールベースを35mm延長。リアモーターとコントロールユニットの一体化などの工夫もあり、グレードによっては3列シート・7人乗りのシートレイアウトも用意されている。さすがに最後列のシートはオケージョナルユース想定で子供にも狭そうな空間だが、2列目シートのスライド機能などと組み合わせて工夫すれば、使い勝手の多様さという面でも利があるだろう。あるいは床下に格納すれば荷室を大きく使うこともできる。

フラッグシップの位置づけをより明確化するという思惑もあってか、静的な質感は前型をはっきりと上回っている。個人的に感心したのはドアまわりだ。インナートリムの上縁を窓枠まで深く回り込ませて空間の上質さにきちんと呼応させている。また、ドアの開閉音も前後ともにしっかり調律されていて、細かなところにまで気が配られていることが伝わってくる。

アウトランダーといえばPHEV。そんなイメージを抱く人は多いだろう。それを決定づけたのが単に効率的というだけではないその走りのキャラクターだ。新型ではその長所を伸ばしながら、魅力がより多彩化されている。

ハードウエアの基本的な構成は前型と同じツインモーター4WDだが、中身は別物だ。新型は駆動用バッテリーの容量が13.8kWhから20kWhへと4割以上アップ。充放電のパフォーマンスも向上しており、この能力に合わせて前後のモーターの最高出力も85kW(116PS)&100kW(136PS)とそれぞれ4割以上のパワーアップを実現した。主に給電に用いられ、高負荷での加速時などには駆動の加勢にも回る2.4リッター4気筒エンジンは稼働時の質感も意識したリファインが加えられ、パワーも133PSと若干高められている。

→「三菱エクリプス クロスPHEV」の詳しい情報はこちら

ルノー・日産と共同開発の新型プラットフォームを採用。走りの質感は先代モデルから大幅に向上している。
ルノー・日産と共同開発の新型プラットフォームを採用。走りの質感は先代モデルから大幅に向上している。拡大
ブラックのレザーシートはオプションで選択可能(ホワイトもある)。「P」の標準はブラック×サドルタンのセミアニリンレザーで、全3色のラインナップとなる。
ブラックのレザーシートはオプションで選択可能(ホワイトもある)。「P」の標準はブラック×サドルタンのセミアニリンレザーで、全3色のラインナップとなる。拡大
フロントだけでなく2列目シートにもヒーターを標準装備。座面は40:60分割でスライドし、背もたれは40:20:40分割で角度調整できる。
フロントだけでなく2列目シートにもヒーターを標準装備。座面は40:60分割でスライドし、背もたれは40:20:40分割で角度調整できる。拡大
新型ではプラグインハイブリッドで3列目シートが選べるようになったのがトピックだ(「P」では全車が3列)。広くはないがいざというときに使えるという安心感がある。
新型ではプラグインハイブリッドで3列目シートが選べるようになったのがトピックだ(「P」では全車が3列)。広くはないがいざというときに使えるという安心感がある。拡大
3列目シートは荷室の床面にフラットに収納できる。
3列目シートは荷室の床面にフラットに収納できる。拡大

上質感あふれる乗り味

これらの構成によってBEV状態での走行可能距離はWLTCモード計測値で83~87kmにまで高められた。家庭にも敷設できる200V充電では約7.5時間で満充電となる。CHAdeMOによる急速充電にも対応しているが、バッテリー容量が上がったことで充電時の負荷も軽減されるだろう。ちなみに満タン・満充電であれば、標準装備されるAC100V・1500Wのコンセントを介しての給電能力は一般家庭の消費量に換算すれば10日分以上になるというから、ライフラインを支えるインフラ的な役割としても頼もしい。

走りだしから感じられるのは、前型に対して大きく高められたシャシー剛性からなるスキッとした転がり感、そしてモーターのみでの走行領域が明らかに広がっていることだ。分かりやすく言えば、上質さや滑らかさががぜん高まっている。プラグインハイブリッドとはいえ、電池残量が減ってもBEV走行が基本となるアウトランダーの場合、エンジンの稼働が動的質感を大きく左右するが、本体のリファインに加えて遮音やマウントもののチューニングも効いてのことだろう、アクセルを床底まで踏んづけるようなことでもなければその存在は遠方の黒子といった印象だ。

何より、新型アウトランダーでアクセルを全開にするような状況はめったなことでは訪れないだろう。そのくらい常用的な速度域での力感は豊かだ。むしろモーターの厚いトルクを生かして、アクセルを薄く踏み分けながら滑るように走らせる、旧来的に例えれば多気筒大排気量車のような乗り方にスイートスポットがある。そんな運転をしていると減速にも滑らかさを求めたくなるが、新型アウトランダーにはパドルによる減速回生量の細かなコントロールに加えて、いわゆるワンペダルドライブ的な回生モードも加えられているので、積極的に運転に関わりたいドライバーはこれらを駆使しながら走るのも楽しいだろう。

アウトランダーの運動性能における最大の特徴として、「AYC」や「ASC」といった各輪駆動制御を統合化することでモーターの緻密な特性を最大限に生かす「S-AWC」が挙げられる。新型ではその制御幅が拡大されたことが、オンロード/オフロードでの7つの走行環境別に最適化されたドライブモードに表れている。今回は一般路での試乗となったが、設定地上高やモーターの特性に鑑みれば、マッドやグラベルといった低ミュー状況での応答性も興味深いところだ。

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新型「アウトランダー」は容量20kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載。先代モデルよりも長いBEV走行が可能になったほか、エンジンが始動したとしてもその存在感は希薄だ。
新型「アウトランダー」は容量20kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載。先代モデルよりも長いBEV走行が可能になったほか、エンジンが始動したとしてもその存在感は希薄だ。拡大
ドライブモードセレクターの側面にはローレット加工が施される。モードは「ターマック」「グラベル」「エコ」「パワー」など多彩で、使いこなす楽しみもある。
ドライブモードセレクターの側面にはローレット加工が施される。モードは「ターマック」「グラベル」「エコ」「パワー」など多彩で、使いこなす楽しみもある。拡大
ワンペダルドライブを可能にする「イノベーティブオペレーションモード」を採用。アクセルオフ時の回生ブレーキが強くなるため、滑らかなドライブが味わえる。
ワンペダルドライブを可能にする「イノベーティブオペレーションモード」を採用。アクセルオフ時の回生ブレーキが強くなるため、滑らかなドライブが味わえる。拡大
全車速対応のアダプティブクルーズコントロールと車線維持支援機能を標準装備。マップデータを使ってカーブや分岐などでは適切な速度に調整してくれる。
全車速対応のアダプティブクルーズコントロールと車線維持支援機能を標準装備。マップデータを使ってカーブや分岐などでは適切な速度に調整してくれる。拡大
三菱のプラグインハイブリッド車はCHAdeMO規格の急速充電に対応しているのもメリット。充電器に空きがあれば、サービスエリアなどでの休憩時に気軽にチャージできる。
三菱のプラグインハイブリッド車はCHAdeMO規格の急速充電に対応しているのもメリット。充電器に空きがあれば、サービスエリアなどでの休憩時に気軽にチャージできる。拡大

よりカジュアルなエクリプス クロス

しかし、新型アウトランダーの運動性能の新しさは、実は週末のドライブで出くわす普通のシチュエーションでも存分に感じることができるだろう。後輪側の駆動力をしっかり押し出したワインディングロードでの身のこなしは、単に小さく素早く曲がるというだけでなく、ロールの姿勢にさえ積極的に寄与しているようで、その安定感はちょっと異次元的でもある。これもまた、モーターならではのきめ細かな制御ステップによるところなのだろう。

もうひとつ感心させられたのはADASのレーンキープ制御だ。車線を逸脱しそうになると警告の後に補正が入るのは他と同じながら、新型アウトランダーは片輪に駆動制御を加えることで、物理的にブレーキをつまむ制御よりも滑らかな車線復帰が可能となっている。ADASにも作動の質感が求められつつあるなか、アウトランダーはモーター走行の利をこんな領域でも生かしているというわけだ。

取材にはエクリプス クロスPHEVも同行したので要所で乗り比べることもできたが、新装なったアウトランダーに比べるとやはり明確にカジュアルでファンだった。駆動制御がもたらす旋回感という点ではアウトランダーと同じ傾向にあるものの、体躯や重量の利もあって動きは歴然と軽やかだ。一方で動きの落ち着きや乗り心地の丸さなどはアウトランダーの側に分がある。両車のすみ分けはデザインの印象そのままに、スポーティーとラグジュアリーという捉え方になるだろうか。ただし、メカニズムや内外装により新しさを感じられるのはやはりアウトランダーだ。

確かテレビCMもそんな趣向だったように覚えるが、新型アウトランダーには三菱が今までクルマづくりで培ってきたDNAが、ふんわりしたイメージではなく、きちんと体感できるレベルで内包されている。パジェロの力強さや「i-MiEV」の優しさ、そこに「ランエボ」の物理特性までもが加わるわけだ。クルマの電動化によってどんな未来が考えられるのか。面倒や不自由に悩まされることなくそれが思い切り体感できるという点において、このクルマの存在意義は日に日に高まっているのだろう。

(文=渡辺敏史/写真=郡大二郎)

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クーペスタイルの「エクリプス クロス」は、「アウトランダー」と比べるとカジュアルな魅力にあふれている。車重が軽いため、その走りも軽やかだ。
クーペスタイルの「エクリプス クロス」は、「アウトランダー」と比べるとカジュアルな魅力にあふれている。車重が軽いため、その走りも軽やかだ。拡大
前方視界が開けているのは「アウトランダー」と共通する美点。どちらかといえばインテリアのつくりもカジュアルなので、ガシガシと使い倒したい。
前方視界が開けているのは「アウトランダー」と共通する美点。どちらかといえばインテリアのつくりもカジュアルなので、ガシガシと使い倒したい。拡大
ドライブモードセレクターはトグルスイッチ式を採用。シフトセレクターのすぐ右側の、手の届きやすいところにレイアウトされる。
ドライブモードセレクターはトグルスイッチ式を採用。シフトセレクターのすぐ右側の、手の届きやすいところにレイアウトされる。拡大
ドライブモードは「ターマック」「グラベル」などの全5種類。ターマックは旋回力が最も高くなるモードで、プラグインハイブリッド車専用となっている。
ドライブモードは「ターマック」「グラベル」などの全5種類。ターマックは旋回力が最も高くなるモードで、プラグインハイブリッド車専用となっている。拡大
新型「アウトランダー」と「エクリプス クロス」という、2台の強力なプラグインハイブリッド車を擁する三菱自動車。電動車の魅力をガマン要らずで味わえるのが魅力だ。
新型「アウトランダー」と「エクリプス クロス」という、2台の強力なプラグインハイブリッド車を擁する三菱自動車。電動車の魅力をガマン要らずで味わえるのが魅力だ。拡大
三菱アウトランダーP
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車両データ

三菱アウトランダーP

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4710×1860×1745mm
ホイールベース:2705mm
車重:2110kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.4リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:133PS(98kW)/5000rpm
エンジン最大トルク:195N・m(19.9kgf・m)/4300rpm
フロントモーター最高出力:116PS(85kW)
フロントモーター最大トルク:255N・m(26.0kgf・m)
リアモーター最高出力:136PS(100kW)
リアモーター最大トルク:195N・m(19.9kgf・m)
タイヤ:(前)255/45R20 101Q/(後)255/45R20 101Q
ハイブリッド燃料消費率:16.2km/リッター(WLTCモード)
価格:532万0700円

三菱エクリプス クロスP
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三菱エクリプス クロスP

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4545×1805×1685mm
ホイールベース:2670mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.4リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:128PS(94kW)/4500rpm
エンジン最大トルク:199N・m(20.3kgf・m)/4500rpm
フロントモーター最高出力:82PS(60kW)
フロントモーター最大トルク:137N・m(14.0kgf・m)
リアモーター最高出力:95PS(70kW)
リアモーター最大トルク:195N・m(19.9kgf・m)
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H
ハイブリッド燃料消費率:16.4km/リッター(WLTCモード)
価格:451万円