常識を破った!? テレビCMも人気

イタリアでジュークは、ベースモデルのガソリン1.6リッターがFFのみ、直噴ガソリンターボ1.6リッター「DIG-T」がFFと4WD、ディーゼル1.5リッターがFFというラインナップである。トランスミッションはターボモデルの4WD車のみCVTで、あとは5段または6段のマニュアルだ。

1万6490ユーロ(約186万円)から2万7290ユーロ(約308万円)という価格設定も絶妙である。なぜならは、「トヨタ・アーバンクルーザー(日本名:イスト)」は1.3リッターにもかかわらず一番安いモデルで1万7600ユーロ(約199万円)する。かといって、「RAV4」は2リッターで2万4650ユーロ(約279万円)からだ。ジュークは、その隙間を見事に突いているのである。

加えてスタイルは、アグレッシブなデザインを好むボクの周囲の若者イタリア人たちが直感的に「ベッラ!(いいっすねえ!)」と感嘆するデザインだ。これまでキャシュカイに乗っていたものの、いきなり子供ができてしまって家計上泣く泣く手放した知人も、ジュークが気になって仕方がないようである。

イタリアにおけるジュークのテレビCMもイカしている。スローな女性ボーカルの「Twinkle Twinkle Little Star(キラキラ星)」をBGMにしたものだ。「小さいけれども輝く星=ジューク」ということだろう。
映像の中では、ジュークが街を走りだすと、行くところ行くところで電気のスイッチが入ったり、静電気がおきたりする。おもちゃ屋さんのショーウィンドウにあるリモコンカーは走り出し、コインランドリーの洗濯機は勝手に回転を始め、洗剤があふれだす。人の髪は、子供の頃下敷きで静電気を起こしたように逆立つ。しまいには、街のビルやネオンがすべてショートして火花を散らす。そして“オチ”が面白い。夜のお仕事(?)を終えて家に入ろうとした女装のお兄さんが、脱いだアフロヘアーのカツラをふたたびかぶり、ジューク襲来で沸き立つ街へ戻ろうとする。

実は先にルノーにも、「女装していたお父さんが、息子に見つかる」というフランス版CMがあった。お堅い自動車業界では画期的である。出入りしている広告代理店にかなりのプレゼン能力があるとみた。いずれにせよ、そうした斬新なイメージづくりも、ジューク人気を陰で盛り上げているに違いない。CMをアップロードした動画投稿サイトは3万1000アクセスを超えている。

イタリアにおける「ジューク」のボディカラーは、自動車マーケットのトレンドに違わず、黒が人気だ。
イタリアにおける「ジューク」のボディカラーは、自動車マーケットのトレンドに違わず、黒が人気だ。 拡大
イタリア北部のアウトストラーダを疾走する「ジューク」。
イタリア北部のアウトストラーダを疾走する「ジューク」。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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