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ミニバンとしての本質を追求したミドルクラスのパイオニア

【徹底解説】新型ホンダ・ステップワゴン 2022.07.29 ニューモデルSHOWCASE より便利に、より快適にと、ミニバンとしての本質を追求して登場した6代目「ホンダ・ステップワゴン」。シンプルで力強いスタイリングが目を引く新型を、装備の充実度や車内の快適性、燃費、バリエーションの豊富さなど、さまざまな見地から徹底解剖する。

箱型ミニバンの躍進を支えた立役者

ホンダ・ステップワゴンは、俗に“5ナンバーワンボックスミニバン”と呼ばれてきたジャンルの一台だ。全長4.7m未満、全幅1.7m未満という日本の5ナンバー枠にボディーを収めつつ、そこに7~8人という“3世代家族全員”が乗れるスペースを確保していたのが特徴だ。

昭和の時代にそうした需要を担っていたのは、商用キャブオーバーバンをベースに内外装を豪華に仕立てたクルマだった。しかし、1996年にその種のバンを持たないホンダが、乗用車専用FFプラットフォームを土台としたステップワゴンを出して以降、様相は一変する。その2年前に発売された「オデッセイ」をキッカケに、日本にはミニバンブームが到来しており、ステップワゴンも大ヒットしたのだ。これを受けて、キャブオーバーバンベースの乗用ワゴンを手がけていたトヨタや日産も、同種のミニバンを次々と投入。ステップワゴンが開拓した市場は一大ジャンルとして定着した。

現在、この市場はステップワゴンと「トヨタ・ノア/ヴォクシー」「日産セレナ」の“三つどもえ”状態にある。しかも、この2022年には1月にノア/ヴォクシーが、5月にはステップワゴンがフルモデルチェンジ。さらに2022年末もしくは2023年の早い時期でセレナもフルモデルチェンジするとのウワサである。そうなれば、同セグメントの3車種すべての新型がそろい踏みすることになり、市場は近年にない盛り上がりになりそうだ。

今回の主役である新型ステップワゴンは、通算6代目のモデルとなる。プラットフォームやパワートレインを先代からキャリーオーバーした改良型ではあるが、ボディーサイズはひとまわり拡大。全幅は全車1730mm、全長は4800~4830mmといずれも3ナンバー枠にはみ出し、初代以来の“5ナンバー~”というキャッチフレーズは使えなくなった。

その分、“押し出し”や内外装の質感は大幅向上したほか、ミニバンの要であるシートも、ベンチシート仕様の2列目以外はすべて新しくなった。また、静粛性や乗り心地も徹底的に磨かれている。

2022年5月に登場した6代目「ステップワゴン」。「オデッセイ」が廃止となったこともあり、新型は国内市場におけるホンダの上級ミニバンとしての役割も担うこととなった。(写真:向後一宏)
2022年5月に登場した6代目「ステップワゴン」。「オデッセイ」が廃止となったこともあり、新型は国内市場におけるホンダの上級ミニバンとしての役割も担うこととなった。(写真:向後一宏)拡大
標準モデル「エアー」のインストゥルメントパネルまわり。同グレードに見る明るくカジュアルな車内空間は、ライバルにはない独自の心地よさを追求したものとなっている。(写真:向後一宏)
標準モデル「エアー」のインストゥルメントパネルまわり。同グレードに見る明るくカジュアルな車内空間は、ライバルにはない独自の心地よさを追求したものとなっている。(写真:向後一宏)拡大
車内空間では、ダッシュボードと高さをそろえた水平なベルトライン(ガラスエリア下端のライン)が特徴。シートの設計を刷新するなど、随所で快適性の向上が図られている。(写真:荒川正幸)
車内空間では、ダッシュボードと高さをそろえた水平なベルトライン(ガラスエリア下端のライン)が特徴。シートの設計を刷新するなど、随所で快適性の向上が図られている。(写真:荒川正幸)拡大
グレードは(写真向かって右から)「エアー」「スパーダ」「スパーダ プレミアムライン」の3種類。すべてのグレードが、ガソリン車とハイブリッド車「e:HEV」の両方に設定されている。(写真:荒川正幸)
グレードは(写真向かって右から)「エアー」「スパーダ」「スパーダ プレミアムライン」の3種類。すべてのグレードが、ガソリン車とハイブリッド車「e:HEV」の両方に設定されている。(写真:荒川正幸)拡大
ホンダ の中古車

【ラインナップ】
標準モデルを「エアー」と命名

比較的スタイリングがおとなしく、価格も手ごろな標準系と、いわゆるカスタム系デザインの「スパーダ」という、2系統のモデルが用意されるのは従来どおりである。ただし、新型では標準系スタイルのモデルにも新たに「エアー」という名前が与えられた。

パワートレインは前記のとおり先代の改良型で、1.5リッターターボ車(以下、ガソリン車)と2リッターハイブリッド車(以下、e:HEV)をラインナップ。ガソリン車でのみFFのほか4WDが選べるのも変わりない。シートレイアウトは、2列目に新型キャプテンシートを採用した7人乗りと、ベンチシートの8人乗りの2種類がある。

ラインナップで従来モデルから明確に変わったのは、先代ではスパーダ専用だったe:HEVが標準系のエアーでも選べるようになったことがひとつ。これによって、スタイリングとパワートレイン、そして乗車定員(=2列目のシートタイプ)の組み合わせが、ほぼ自由に選べるようになった。

もうひとつのニュースが、スパーダをベースにプラチナ調クロームグリルや17インチホイール(FFのみ)、スエード調表皮&プライムスムースのコンビシート、2列目シートヒーター、「アダプティブドライビングビーム」などの専用装備を追加した最上級モデル「スパーダ プレミアムライン」が登場したことだ。プレミアムラインは生産終了した上級ミニバン、オデッセイの市場もカバーする役割を担っており、新型ステップワゴンでは唯一、7人乗り専用となる。

【主要諸元】

グレード名   エアー エアー エアー エアー スパーダ スパーダ スパーダ スパーダ スパーダ
プレミアムライン
スパーダ
プレミアムライン
e:HEVエアー e:HEVエアー e:HEVスパーダ e:HEVスパーダ e:HEVスパーダ
プレミアムライン
基本情報 新車価格 299万8600円 302万0600円 324万0600円 326万2600円 325万7100円 327万9100円 347万7100円 349万9100円 346万2800円 365万3100円 338万2500円 340万4500円 364万1000円 366万3000円 384万6700円
駆動方式 FF FF 4WD 4WD FF FF 4WD 4WD FF 4WD FF FF FF FF FF
動力分類 エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン エンジン ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド
トランスミッション CVT CVT CVT CVT CVT CVT CVT CVT CVT CVT
乗車定員 7名 8名 7名 8名 7名 8名 7名 8名 7名 7名 7名 8名 7名 8名 7名
WLTCモード燃費(km/リッター) 13.9 13.9 13.3 13.3 13.7 13.7 13.1 13.1 13.2 13.1 20.0 20.0 19.6 19.6 19.5
最小回転半径 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m 5.7m 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m 5.7m
エンジン 形式 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC 直列4気筒DOHC
排気量 1496cc 1496cc 1496cc 1496cc 1496cc 1496cc 1496cc 1496cc 1496cc 1496cc 1993cc 1993cc 1993cc 1993cc 1993cc
最高出力 (kW[PS]/rpm) 110[150]/5500 110[150]/5500 110[150]/5500 110[150]/5500 110[150]/5500 110[150]/5500 110[150]/5500 110[150]/5500 110[150]/5500 110[150]/5500 107[145]/6200 107[145]/6200 107[145]/6200 107[145]/6200 107[145]/6200
最高トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 203[20.7]/1600-5000 175[17.8]/3500 175[17.8]/3500 175[17.8]/3500 175[17.8]/3500 175[17.8]/3500
過給機 ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー ターボチャージャー なし なし なし なし なし
燃料 レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー
モーター 最高出力 (kW[PS])                     135[184]/5000-6000 135[184]/5000-6000 135[184]/5000-6000 135[184]/5000-6000 135[184]/5000-6000
最高トルク (N・m[kgf・m])                     315[32.1]/0-2000 315[32.1]/0-2000 315[32.1]/0-2000 315[32.1]/0-2000 315[32.1]/0-2000
寸法・重量 全長 4800mm 4800mm 4800mm 4800mm 4830mm 4830mm 4830mm 4830mm 4830mm 4830mm 4800mm 4800mm 4830mm 4830mm 4830mm
全幅 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm 1750mm
全高 1840mm 1840mm 1855mm 1855mm 1840mm 1840mm 1855mm 1855mm 1845mm 1855mm 1840mm 1840mm 1840mm 1840mm 1845mm
ホイールベース 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm 2890mm
車両重量 1710kg 1710kg 1790kg 1790kg 1740kg 1730kg 1810kg 1800kg 1740kg 1810kg 1810kg 1810kg 1840kg 1830kg 1840kg
タイヤ 前輪サイズ 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/55R17 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/55R17
後輪サイズ 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/55R17 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/60R16 205/55R17
シンプルでクリーンなイメージを追求したという「エアー」。控えめなメッキモールなどで、上質感もプラスしている。
シンプルでクリーンなイメージを追求したという「エアー」。控えめなメッキモールなどで、上質感もプラスしている。拡大
ハイブリッド車「e:HEVエアー」のインストゥルメントパネルまわり。「エアー/e:HEVエアー」では、グレーに加えてブラックの内装色も選択できる。
ハイブリッド車「e:HEVエアー」のインストゥルメントパネルまわり。「エアー/e:HEVエアー」では、グレーに加えてブラックの内装色も選択できる。拡大
カジュアルな雰囲気のメランジのシート表皮。ソファのようなふっくらとしたキルティングが施されている。
カジュアルな雰囲気のメランジのシート表皮。ソファのようなふっくらとしたキルティングが施されている。拡大
ルーフスポイラーやサイドスカートなどの空力パーツを装着した「スパーダ」。厚みのあるフロントグリルも特徴だ。
ルーフスポイラーやサイドスカートなどの空力パーツを装着した「スパーダ」。厚みのあるフロントグリルも特徴だ。拡大
ダッシュボードの上面やメーターバイザー、ドアライニングなど、各所にプライムスムース(合成皮革)のソフトパッドが採用される。
ダッシュボードの上面やメーターバイザー、ドアライニングなど、各所にプライムスムース(合成皮革)のソフトパッドが採用される。拡大
シート表皮はファブリックとプライムスムースの組み合わせ。「エアー」と同様に、2列目ベンチシートの8人乗りも選択できる。
シート表皮はファブリックとプライムスムースの組み合わせ。「エアー」と同様に、2列目ベンチシートの8人乗りも選択できる。拡大
最上級グレード「スパーダ プレミアムライン」。各所に施されたクロームメッキの装飾が特徴で、FF車には17インチの専用アルミホイールが装備される。
最上級グレード「スパーダ プレミアムライン」。各所に施されたクロームメッキの装飾が特徴で、FF車には17インチの専用アルミホイールが装備される。拡大
インテリアでは、スエード調表皮のソフトパッドをダッシュボードの上部やドアライニングに採用。
インテリアでは、スエード調表皮のソフトパッドをダッシュボードの上部やドアライニングに採用。拡大
スエード調表皮とプライムスムースのコンビシート。「スパーダ プレミアムライン」では2列目シートは左右独立式のみの設定で、ベンチシートの8人乗り仕様は選択できない。
スエード調表皮とプライムスムースのコンビシート。「スパーダ プレミアムライン」では2列目シートは左右独立式のみの設定で、ベンチシートの8人乗り仕様は選択できない。拡大

【パワートレイン/ドライブトレイン】
熟成の進んだ1.5リッターターボとe:HEVを搭載

パワーユニットは従来どおり、ガソリンエンジン(1.5リッター直噴ターボ)と2リッターガソリンエンジン+ハイブリッドのe:HEVという2本立てで、ともに過去のモデルの改良版だ。ただし、どちらもオデッセイや「シビック」「CR-V」「アコード」などの主力車種に使われてきた系列で、それらでの開発を経て磨かれた新世代ユニットのひとつと考えてよい。

価格的に手ごろなのはガソリン車だ。この1.5リッターターボエンジンは先代ステップワゴンで世に出た後、新たなモデルに搭載されるごとに改良されてきた。新型ステップワゴンのものは最新のシビックと基本的に共通の「L15C型」だが、ハイオク指定のシビックとは異なり、指定燃料はレギュラーガソリンとなる。長年の熟成によって得た、過給ラグを感じさせないリニアな特性が自慢だという。

それに組み合わせられるCVTに、ブレーキを強めに踏むと一気にレシオを下げてエンジンブレーキを強める「ステップダウンシフト制御」などが組み込まれたのは、昨今のホンダ車に共通する改良点。4WD機構も同様で、電動ポンプで制御する油圧多板クラッチを使ったオンデマンド型のシステムは、「走破性はもはや他社に勝るとも劣らない」と開発陣が胸を張るものである。

e:HEVも、各部のシステムはすべて最新の“第3世代”に刷新されている。数値的な性能にはあまり変化はないが、バッテリーを内蔵するパワーコントロールユニットから最大の熱源となっていたDC-DCコンバーターをなくしたことで、冷却効率を改善。バッテリーの出力を向上させたという。エンジンはクランクシャフトの強化などで静粛性を高めているが、「シビックe:HEV」に搭載される新開発の直噴ユニットではなく、1世代前のポート噴射型である。

ガソリン車がFFで13.2~13.9km/リッター、4WDで13.1~13.3km/リッター、e:HEVが19.5~20.0km/リッターというカタログ燃費に大きな進化は見られないが、「実燃費はそれ以上に改善している」とは開発陣の弁だ。

ガソリン車に搭載される1.5リッター直4直噴ターボエンジン。新型「ステップワゴン」のものは、排気系やターボチャージャーの改良によって過給応答性を改善。爽快な加速フィールを実現している。
ガソリン車に搭載される1.5リッター直4直噴ターボエンジン。新型「ステップワゴン」のものは、排気系やターボチャージャーの改良によって過給応答性を改善。爽快な加速フィールを実現している。拡大
CVTには全開加速時やブレーキング時にステップ変速する制御を採用。昨今のホンダ車ではおなじみの機能だ。
CVTには全開加速時やブレーキング時にステップ変速する制御を採用。昨今のホンダ車ではおなじみの機能だ。拡大
ハイブリッドシステムには、普段はモーターで走行し、巡航時などエンジンのほうが効率がよいシーンではエンジンで走行する2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を採用。(写真:荒川正幸)
ハイブリッドシステムには、普段はモーターで走行し、巡航時などエンジンのほうが効率がよいシーンではエンジンで走行する2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を採用。(写真:荒川正幸)拡大
燃費性能はガソリン車が13.1~13.9km/リッターで、「e:HEV」が19.5~20.0km/リッター。カタログ上の数字は従来型とほぼ同じだが、開発者いわく「実燃費は改善している」という。(写真:向後一宏)
燃費性能はガソリン車が13.1~13.9km/リッターで、「e:HEV」が19.5~20.0km/リッター。カタログ上の数字は従来型とほぼ同じだが、開発者いわく「実燃費は改善している」という。(写真:向後一宏)拡大

【ボディーサイズ/デザイン】
サイズアップとシンプルで力強いデザインがトピック

このジャンルはかつて、狭い日本の交通環境に合致する5ナンバーサイズであることが大きな売りだった。しかし昨今は、その枠をはみ出したカスタム仕様の上級グレードが売れ筋となっていたという。新型ステップワゴンも、あえて5ナンバーという先入観を取り去ったうえで、「現代の市場で受け入れてもらえるサイズはどれくらいか?」を入念に調査したという。その結果として導き出されたのが「全長4.8m、全幅1.73m」というもので、新型ステップワゴンはその調査結果を反映したサイジングとなっている。

ただ先述したとおり、プラットフォーム自体は先代からのキャリーオーバーだ。30mm強の拡幅はすべてデザインのためにあてられており、室内幅は先代と変わらず、トレッドの拡大もホイールのオフセット変更によって行っている。

新型ステップワゴンのデザインに関して、開発責任者からデザイナーへの要請は「とにかくシンプルな箱にしてほしい」というものだった。商品コンセプトに「安心×自由」というキーワードがあるが、力強く頼りがいのあるプロポーションが安心を、そのプロポーションを強調するシンプルな意匠が、場所や人を選ばない自由を表現しているだという。

とくにボンネットの突き出しが明確なフロントまわりや、太いリアクオーターピラー、3ナンバー化で得た張りのあるサイド面、そして低すぎないベルトライン……が安心で自由なデザインのハイライト。ボンネットにはビジュアル上の押し出しだけでなく、車両感覚のつかみやすさにも寄与する工夫がなされているという。

また、先代の自慢だった「わくわくゲート」が廃止されたのも新型ステップワゴンのニュース。その決断には賛否両論あるが、少なくともデザイン上では、サブドアの廃止は力強くシンプルなリアの造形にひと役買っている。

従来モデルよりひとまわりサイズが拡大した「ステップワゴン」。カクカクとした、フロントセクションが明確に突き出た2ボックスのスタイリングは、どこか初代や2代目をほうふつとさせる。(写真:向後一宏)
従来モデルよりひとまわりサイズが拡大した「ステップワゴン」。カクカクとした、フロントセクションが明確に突き出た2ボックスのスタイリングは、どこか初代や2代目をほうふつとさせる。(写真:向後一宏)拡大
突き出したボンネットは、車両感覚のつかみやすさに寄与。狭い場所でクルマを動かす際に気になる、前方・前側方の障害物との距離も把握しやすくなっているという。
突き出したボンネットは、車両感覚のつかみやすさに寄与。狭い場所でクルマを動かす際に気になる、前方・前側方の障害物との距離も把握しやすくなっているという。拡大
ボディーカラーは全7種類。3種類の無彩色は全車で選択可能となっており、それとは別に「エアー」には「シーグラスブルー・パール」と「フィヨルドミスト・パール」を、「スパーダ」系のグレードには「トワイライトミストブラック・パール」と「ミッドナイトブルービーム・メタリック」を、専用色として用意している。
ボディーカラーは全7種類。3種類の無彩色は全車で選択可能となっており、それとは別に「エアー」には「シーグラスブルー・パール」と「フィヨルドミスト・パール」を、「スパーダ」系のグレードには「トワイライトミストブラック・パール」と「ミッドナイトブルービーム・メタリック」を、専用色として用意している。拡大
5代目「ステップワゴン」(右上)には、テールゲートから乗降できるサブドア「わくわくゲート」が用意されていたが、6代目(左下)では廃止となってしまった。
5代目「ステップワゴン」(右上)には、テールゲートから乗降できるサブドア「わくわくゲート」が用意されていたが、6代目(左下)では廃止となってしまった。拡大

【インテリア/荷室/装備】
大幅に快適性が高められた3列目シートに注目

すでに何度も触れているとおり、新型ステップワゴンの骨格や走行メカはほぼすべて“従来改良型”で、ゼロから新規に開発されたコンポーネントはない。よって室内空間も大きくは変わっていない。そのかわり、シートや運転席まわりなどに見る調度や機能には、話題の新機軸が満載である。

新型のインテリアは質感向上と運転のしやすさ、安心感の追求が開発のテーマだったそうで、ソフトパッドがあしらわれたダッシュボードは、このクラスではちょっとぜいたくな仕立てだ。また前席に採用されたホンダ最新の「ボディースタビライジングシート」を筆頭に、フル液晶メーター、ステアリングホイール、e:HEVのシフトスイッチ、角度が改良されたペダルなど、運転席のインターフェイスはことごとく新しい。

2列目のキャプテンシートと3列目シートも新設計で、まずは1列目より2列目、さらに3列目……と着座位置が高まる“スタジアムレイアウト”の度合いをさらに強めている。また、前後ロングスライドと横方向のスライドを組み合わせたセカンドキャプテンシートは、前方向へのスライド量も拡大。2列目チャイルドシートの子供を前席から世話できるようにしたのも新しい。

ただ、最大のハイライトは3列目かもしない。新型ステップワゴンではその設計を“最高の特等席”というコンセプトで見直し、大人の長時間乗車に耐えられるよう座面の厚みや背もたれのサイズを大きくしている。ステップワゴンの3列目といえば、トヨタや日産の左右跳ね上げ式とは異なる床下収納が伝統的な特徴だ。その点については、さらに操作性を軽くするなどの改良を加えつつ、伝統の収納方式を踏襲した。

先述のとおり、先代最大の特徴だったわくわくゲートはこの新型ステップワゴンでは廃止され、バックドアは一般的なハッチゲート式に戻されている。そのかわりとして、パワーテールゲート仕様には、開閉途中の好きな角度でゲートをストップできる機能が追加された。ただし新型ノア/ヴォクシーのように、手動式のテールゲートに途中で開口を止めるような機能は備わっていない。

「e:HEVスパーダ」のインストゥルメントパネルまわり。運転席まわりでは、場所によってリムの断面形状が異なるステアリングホイールも新型の特徴で、EPSの制御変更とともに、操舵フィールの改善を図っている。(写真:荒川正幸)
「e:HEVスパーダ」のインストゥルメントパネルまわり。運転席まわりでは、場所によってリムの断面形状が異なるステアリングホイールも新型の特徴で、EPSの制御変更とともに、操舵フィールの改善を図っている。(写真:荒川正幸)拡大
運転席と助手席には、座面や背もたれにサスペンションマットを用いた「ボディースタビライジングシート」を採用。お尻や背中を面で支える構造により、長時間座っていても疲れにくいシートとなっている。(写真:荒川正幸)
運転席と助手席には、座面や背もたれにサスペンションマットを用いた「ボディースタビライジングシート」を採用。お尻や背中を面で支える構造により、長時間座っていても疲れにくいシートとなっている。(写真:荒川正幸)拡大
2列目キャプテンシートは、前後方向に加え、左右方向にもスライドが可能。「スパーダ」系のグレードにはオットマン(足置き)も標準装備される。(写真:荒川正幸)
2列目キャプテンシートは、前後方向に加え、左右方向にもスライドが可能。「スパーダ」系のグレードにはオットマン(足置き)も標準装備される。(写真:荒川正幸)拡大
大幅に快適性が向上した3列目シート。背もたれの大型化や座面の肉厚化によって座り心地が改善したほか、遮音材・吸音材の追加採用により、静粛性も向上している。(写真:荒川正幸)
大幅に快適性が向上した3列目シート。背もたれの大型化や座面の肉厚化によって座り心地が改善したほか、遮音材・吸音材の追加採用により、静粛性も向上している。(写真:荒川正幸)拡大
3列目シートの格納方法は、従来型と同じく床下格納式。座席の背面には、格納時に広げることで床面の隙間を覆うボードが備わっている。
3列目シートの格納方法は、従来型と同じく床下格納式。座席の背面には、格納時に広げることで床面の隙間を覆うボードが備わっている。拡大

【バイヤーズガイド】
「エアー」にも充実装備の仕様があれば……

新型ステップワゴンのグレード構成は、シンプルではあるが自由度が大きい。大きくいうと「エアー」「スパーダ」「スパーダ プレミアムライン(以下、プレミアムライン)」という3つのグレードがあり、全車でガソリンFF、ガソリン4WD、e:HEVという3つのパワートレイン+駆動方式と、7人乗りと8人乗りのシートレイアウトが自由に選べる。唯一の例外は、「プレミアムライン」では8人乗りが選べないだけだ。

予防安全・運転支援システムも、先行車や対向車の状況に応じてヘッドライトの照射範囲を細かく制御するアダプティブドライビングビームが「プレミアムライン」専用装備となる以外は、差別化されていない。よって、安全装備の充実度でグレード選びが制限される心配もほぼない。

「エアー」のシンプル&クリーンなデザインを好む向きもあろうが、注意が必要なのは、「エアー」はやはりベーシックグレードであるということだ。本革巻きのステアリングホイールやパワーテールゲート、前席シートヒーター、7人乗りの2列目オットマンなど、人によっては必須アイテムになりそうな装備が付くのは「スパーダ」以上で、「エアー」ではオプションでもこれらが入手できないのはちょっと残念だ。

個人的に「エアー」のデザインにはひかれつつも、革巻きステアリングとシートヒーターは必須の装備で、またミニバン特有の巨大なテールゲートはやはり電動パワー式であってほしいという筆者の場合、必然的に「スパーダ」以上のグレードを選ぶしかない。加えて、新型の2列目キャプテンシートはクッション厚が増して座り心地も改善されているそうなので、シートレイアウトは7人乗りが好ましい。パワートレインは好みと予算で選べばいいと思うが、最近のホンダの4WDは、雪道だけでなく雨や強風のもとでの走行安定性も上がっている。というわけで、筆者が個人的に購入するとすれば、「スパーダ」のガソリン4WDが最有力となるだろう。

(文=佐野弘宗/写真=向後一宏、荒川正幸、本田技研工業/編集=堀田剛資)

シンプルなエクステリアに明るく開放的な車内空間と(黒内装の設定もあるが)、他車にはない魅力を持つ「エアー」。しかし、その装備はいささか簡素だ。(写真:荒川正幸)
シンプルなエクステリアに明るく開放的な車内空間と(黒内装の設定もあるが)、他車にはない魅力を持つ「エアー」。しかし、その装備はいささか簡素だ。(写真:荒川正幸)拡大
「エアー」のステアリングホイールはウレタン製で、革巻きはオプションでも選択不可。シートヒーターも備わらず、4WDを除くと空調もトリプルゾーン式のフルオートエアコンではなく、「左右独立温度調整式オートエアコン+リアマニュアルクーラー」となる。(写真:向後一宏)
「エアー」のステアリングホイールはウレタン製で、革巻きはオプションでも選択不可。シートヒーターも備わらず、4WDを除くと空調もトリプルゾーン式のフルオートエアコンではなく、「左右独立温度調整式オートエアコン+リアマニュアルクーラー」となる。(写真:向後一宏)拡大
USBポートについても、「スパーダ」系のグレードでは1~3列目シートのすべてに装備されているのに対し、「エアー」ではフロントのセンターコンソールに備わっているだけだ。
USBポートについても、「スパーダ」系のグレードでは1~3列目シートのすべてに装備されているのに対し、「エアー」ではフロントのセンターコンソールに備わっているだけだ。拡大
「スパーダ」系のグレードに標準装備される電動テールゲート。狭い場所では、リモコンキーやテールゲートスイッチで開口を止めることが可能。メモリー機能により、開度を記録することもできる。
「スパーダ」系のグレードに標準装備される電動テールゲート。狭い場所では、リモコンキーやテールゲートスイッチで開口を止めることが可能。メモリー機能により、開度を記録することもできる。拡大
装備の充実度を考えると、やはり「スパーダ」より上のグレードを選ぶべきだ。パワートレインは好みに応じて選択していいだろう。(写真:向後一宏)
装備の充実度を考えると、やはり「スパーダ」より上のグレードを選ぶべきだ。パワートレインは好みに応じて選択していいだろう。(写真:向後一宏)拡大
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