YOKOHAMA iceGUARD 7の歴代最強性能は氷上・雪上だけではなかった
いつもの道を いつものように 2022.10.24 2022-2023 Winter webCGタイヤセレクション<AD> 氷にも雪にも効く歴代最強の冬道性能を誇るヨコハマの最新スタッドレスタイヤ「アイスガード7」。自慢の氷上・雪上性能を寒さ厳しい冬の北海道で、乾燥路面での実力を秋も深まる首都圏のロングドライブルートでチェックした。大きく進化した第7世代
ヨコハマで初となるスタッドレスタイヤが、1985年に誕生した「ガーデックス」。以来、36年という長い年月の間に育まれたさまざまなノウハウを結集させて「ヨコハマスタッドレスタイヤ史上最高の氷上性能」をうたうのが、その第7世代にあたる2021年9月に発売された「アイスガード7」だ。
このモデルには、ヨコハマスタッドレス史上最大の接地面積と溝エッジ量を実現したという新規開発のトレッドパターンや、50%摩耗時にサイプが太くなる新形状の「クワトロピラミッド グロウンサイプ」などなど、当然のように基本的なデザイン面から新しいテクノロジーが満載されている。
一方、新開発のトレッドコンパウンドである「ウルトラ吸水ゴム」の効果を純粋に検証できるようにと、2月のとある日に訪れた北海道・旭川のテストコースTTCHにはトレッドパターンを一切刻まないいわゆるスリック状態の特製タイヤが用意され、氷温を自在にコントロール可能な室内氷盤試験場や屋外の総合試験路を試走する機会に恵まれた。
その結果をかいつまんで紹介すれば、マイナス二桁など氷温が特に低い条件下では「トレッドパターンがなくても意外に走れてしまう」ものの、表面が凍っていてもその温度が0度に近いようなやや高めの温度であったり、ちょっと無理な走行をしてひとたび滑り出したりすると、コントロール性が一気に低下して溝なしタイヤではたちまち歯が立たなくなってしまうことを実感した。
すなわちスタッドレスタイヤとは、優れたコンパウンドと計算されたトレッドパターンがそろって、初めてバランスの良いパフォーマンスを示すのだと、このときあらためて教えられることになったのである。
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ロングライフにも自信あり
かくしてさまざまな設計要件が吟味され、その結果、高度なバランスが実現されたヨコハマ・アイスガード7は、“史上最高”を語るのも納得と思える氷上・雪上の性能を味わわせてくれた。
ヨコハマのTTCHで人工的につくり出されたバリエーション豊かな路面とシチュエーションにおいて、ミニバンからハイパフォーマンスカーにいたるまで多彩なテスト車両を乗り換えながら走行した際の印象はもちろんのこと、テストコースを飛び出したリアルワールドな路面上でも、「トヨタ・カローラ ツーリング」を駆りながら確かな接地性やコントロール性を感じ取ることができた。
氷雪路でのグリップ力が高いことはもちろん、テストコースではなかなかお目にかかれない路面を斜めに横切るような天然の段差や、わだちに遭遇した場合でも、不意に進路を乱されるようなことがなかった。この両方の体験が、アイスガード7に寄せる大きな信頼感と好印象につながったことは間違いない。
しかし、初期の高い性能が果たしてどのくらいの期間にわたって続いてくれるのかといった評価項目は、正直なところなかなか検証が難しい。けれどもこのタイヤの場合には、開発当初からそうした点にも注力されている。前述した摩耗時にサイプの太さが拡大されるクワトロピラミッド グロウンサイプの採用や、経年によるゴムの硬化を抑制してしなやかさをキープする「オレンジオイルS」を配合するなど、新技術と実績ある技術とを織り交ぜたその対策は実に念入りである。
こうなると次は、本来はスタッドレスタイヤが想定する場面とは異なる、氷も雪もない状態での走りも気になってくる。そこで今回は、あえてそんな完全なるドライ路面での走行を検証してみることとした。
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凍結路面ではスタッドレスに軍配
秋のドライの舗装路面という、ある意味スタッドレスタイヤが本来想定する場面とはかけ離れた条件下でのチェックを行うことに、なかには「そんなことに意味はないよ」と声を上げる人が現れるかもしれない。一方で、逆に「そこのところを詳しく知りたかった」と、そうした意見を持つ人もいることだろう。
確かに、年間を通じて履きっぱなしで過ごしたいのであれば、このところ話題のオールシーズンタイヤという選択肢もある。けれども、そうしたオールシーズンタイヤの多くが積雪路面に対してはスタッドレスタイヤとさして遜色ない性能を示す一方で、凍結路面での性能はやはりスタッドレスタイヤに軍配が上がる。そのためにタイヤメーカーも「オールシーズンタイヤは凍結路面の走行に適さず」と注意喚起を行っていることはご存じのとおりである。
そこで問題となるのが、アイスバーンやミラーバーンと呼ばれる凍結路面。交通量の多い幹線道路などで積雪があると、雪が降った当初は圧雪状態であっても、多くの車両がそれを踏み固め磨くことで一晩明けるころには完全な凍結路面となって、結局オールシーズンタイヤでは走行不可な状況になってしまう場面が見受けられる。
実は筆者自身がサブで使用している車両は、そうしたシーンを懸念しあえてオールシーズンではなくスタッドレスタイヤを通年装着している。もちろん、そんな使い方はイレギュラーで経済性の面からも推奨できないことは承知のうえだが、年間の走行距離は1000kmにも達しないので摩耗面は問題とならず、さらに高速道路を走行する機会もないのでETC車載器すら装着していないといった状況下にある。少数派であることは間違いないが、多少の不利益を理解のうえであえてスタッドレスタイヤを長めに装着するユーザーにとっても、ドライ路面での実力を知っておくことはむだではないだろう。
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ドライ路面でも違和感なし
かくしてカローラ ツーリング+アイスガード7という組み合わせで完全にドライの舗装路上を走り始めると、率直なところまず感じられたのは「速度が増すにつれて標準タイヤに比べればちょっとノイズが大きくなるかな」という印象であった。それは、見るからにゴツいブロックパターンを持ったオフロード用タイヤや、まだスタッドレスタイヤが誕生する以前の、いわゆるスノータイヤが発するほどに顕著で大きなノイズではない。
一方で、ステアリングへの反力やコーナリング時の安定性、さらにユニフォーミティー(真円性)など走りの性能に関する項目やその乗り味に関して、いずれもごく自然で違和感を覚えるような部分はなく、こちらはたとえ“履きっぱなし”で過ごしても気になるところはないというのが偽らざる感想だ。
もちろん、ステアリング操作に対してのシャープさやダイレクト感に突出するような印象は認められないが、「トレッドコンパウンドが柔らかいから」と想像されるフニャフニャと頼りない感触や安定性に欠けるといったことは皆無である。反対にこの“普通さ”こそが、特筆すべきポイント。パッセンジャーは、きっと“特別なタイヤ=スタッドレスタイヤ”を装着していることにすら気がつかないだろう。つまり、その程度のささいな違いしか存在しないということだ。
推奨するわけではないがオンシーズン以外の装着期間が長くなってしまうような場合でも、つまり凍結・積雪路面以外を走行するにあたっても、特段の問題は生じないとアイスガード7のパフォーマンスや快適性を結論づけることができる。氷上・雪上性能を磨き上げながら、それだけにとどまらないのがアイスガード7の持ち味である。
繰り返しになるが、オールシーズンをうたうタイヤであっても凍結した路面は不得意である。非降雪地帯であっても、ひとたび積雪があれば走り慣れた近所の幹線道路がたちまち予想できなかったほどのひどい凍結路面と化す可能性があることは言うまでもない。「冬になったらスタッドレスタイヤに交換」を習慣づけるのは、たまに降雪がある程度の地域に暮らす人であっても決して無意味ではないはずだ。
(文=河村康彦/写真=花村英典)
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車両データ
トヨタ・カローラ ツーリング ハイブリッド E-Four
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4495×1745×1460mm
ホイールベース:2640mm
車重:1430kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:98PS(72kW)/5200rpm
エンジン最大トルク:142N・m(14.5kgf・m)/3600rpm
モーター最高出力:72PS(53kW)
モーター最大トルク:163N・m(16.6kgf・m)
システム総合出力:122PS(90kW)
タイヤ:(前)205/55R16 91Q/(後)205/55R16 91Q(ヨコハマ・アイスガード7)
燃費:31.0km/リッター(JC08モード)/26.8km/リッター(WLTCモード)
価格:284万9000円
トヨタ・カローラ ツーリング
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4495×1745×1460mm
ホイールベース:2640mm
車重:1290kg
駆動方式:FF
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:140PS(103kW)/6200rpm
最大トルク:170N・m(17.3kgf・m)/3900rpm
タイヤ:(前)205/55R16 91Q/(後)205/55R16 91Q(ヨコハマ・アイスガード7)
燃費:14.6km/リッター(WLTCモード)
価格:201万3000円