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スバルが誇るセグメントの定番 実力派ミドルクラスSUVのすべて

【徹底解説】新型スバル・フォレスター 2022.12.27 ニューモデルSHOWCASE 佐野 弘宗 国産ミドル級SUVのなかでも、定番車種のひとつにあげられる「スバル・フォレスター」。その特徴はなんといっても、SUVのど真ん中をいく真面目なキャラクターだ。装備の設定や使い勝手、パワートレインの種類、燃費性能と、さまざまな視点からその魅力を解説する。

成熟が進んだ今こそ買いどき

スバル・フォレスターは、もともとオフロード4WD的な商品=今でいうSUVをもっていなかったスバルが、当時の“ライトクロカンブーム”に応えるカタチで1997年に発売したクルマだ。その2年前にはツーリングワゴンをリフトアップした「レガシィグランドワゴン(北米名アウトバック)」も登場していたが、全身が専用デザインとなるSUV専用機種は、スバルとしてはフォレスターが史上初だった。

その初代フォレスターは「トヨタRAV4」や「ホンダCR-V」といった競合車(ともに当時は初代モデル)に対しても全高は低く、ステーションワゴン派生型の都会的なパッケージングが特徴だった。しかし、フルモデルチェンジごとに実用性や走破性をレベルアップさせたことで、通算5代目となる現行型では、高い悪路走破性やゆとりある室内空間、SUVらしいタフ感のあるデザインに使い勝手のよさ……と、あらゆる点でセグメント屈指にアウトドアが似合うSUVになった。

現行フォレスターの国内デビューは2018年6月20日。スバルは1年ごとに定期改良を実施するのが通例で、熱心なスバルファンの間では最初期型をA型、その後は改良ごとにB型、C型、D型、E型……という呼称で区分けするのがお約束となっている。ちなみに、デビューから3年が経過したD型になるときに大幅改良、一般的にいうマイナーチェンジが実施されるのも恒例行事。それをもって、「スバルはあえて熟成されたD型以降の“後期型”を購入するのが賢い」と断言するスバルマニアも少なくない。

この原稿を書いている2022年末時点での最新のフォレスターは、2022年8月に発売されたE型にあたる(参照)。2021年に大幅改良を済ませているから後期型と定義することもできる。また、最新のE型では「レヴォーグ」や「インプレッサ」でおなじみの本格スポーツグレード「STI Sport」が初登場したのもニュースとなった。

今や、グローバルマーケットにおけるスバルの最量販モデルである、ミドルクラスSUVの「フォレスター」。写真は充実した装備が特徴の「アドバンス」。(写真:田村 弥)
今や、グローバルマーケットにおけるスバルの最量販モデルである、ミドルクラスSUVの「フォレスター」。写真は充実した装備が特徴の「アドバンス」。(写真:田村 弥)拡大
インテリアの造形は、SUVらしく広さ感と力強さを重視したもの。グレードによって装飾パネルやシート表皮などを細かく使い分け、キャラクターの差異化を図っている。(写真:田村 弥)
インテリアの造形は、SUVらしく広さ感と力強さを重視したもの。グレードによって装飾パネルやシート表皮などを細かく使い分け、キャラクターの差異化を図っている。(写真:田村 弥)拡大
2018年のデビューということで、決して新しいモデルではないが、今日におけるユーザーの要望はしっかりカバー。たとえばUSBポートは、前席用と後席用にそれぞれ2個ずつ、計4個を装備している。(写真:田村 弥)
2018年のデビューということで、決して新しいモデルではないが、今日におけるユーザーの要望はしっかりカバー。たとえばUSBポートは、前席用と後席用にそれぞれ2個ずつ、計4個を装備している。(写真:田村 弥)拡大
2022年8月に追加された「STI Sport」。足まわりを中心にSTIが手を加えたスポーツグレードだ。(写真:向後一宏)
2022年8月に追加された「STI Sport」。足まわりを中心にSTIが手を加えたスポーツグレードだ。(写真:向後一宏)拡大
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【ラインナップ】
グレードごとに異なるキャラクターに注目

5代目フォレスターの発売当初のパワートレインは、2.5リッター自然吸気エンジンと2リッター+モーターのハイブリッド=「e-BOXER」の2機種。2.5リッターのほうが価格も手ごろでグレード数も多い主力モデルという位置づけでスタートした。しかし、2020年に2.5リッターのかわりに最新の1.8リッターターボが搭載されると(参照)、今度はその1.8リッターターボがe-BOXERより上級のスポーツモデルという位置づけとなった。

フォレスターのグレード構成は単なる装備の上下や価格の高い安いではなく、それぞれに明確なキャラクターが与えられているのが特徴だ。e-BOXERの「ツーリング」が一応は最安価なエントリーグレードとなるが、それ以上に街乗りからアウトドアまでカバーするオールラウンドな機能性を売りとする。次に手ごろな「X-BREAK」は、オフロード色の強い内外装デザインに加えて、シート表皮もよりはっ水性の高いポリウレタンになるなど、レジャーシーンで使い倒されることを想定する。そしてe-BOXERで最上級となる「アドバンス」は、より高度な運転支援システム(ADAS)を標準装備するハイテクグレードなのだ。

1.8リッターターボは明確なスポーツグレードという位置づけで、シート表皮もはっ水タイプのかわりにウルトラスエードや本革などが使われる。なかでも最上級のSTI Sportは、各部がSTIならではの特別デザインとなるほか、サスペンションもフロントに機械式可変ダンパーを備えた専用チューニングとなる。

【主要諸元】

グレード名   ツーリング X-BREAK アドバンス スポーツ STI Sport
基本情報 新車価格 299万2000円 313万5000円 323万4000円 335万5000円 363万円
駆動方式 4WD 4WD 4WD 4WD 4WD
動力分類 ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド エンジン エンジン
トランスミッション CVT CVT CVT CVT CVT
乗車定員 5名 5名 5名 5名 5名
WLTCモード燃費(km/リッター) 14.0 14.0 14.0 13.6 13.6
最小回転半径 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m 5.4m
エンジン 形式 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC 水平対向4気筒DOHC
排気量 1995cc 1995cc 1995cc 1795cc 1795cc
最高出力 (kW[PS]/rpm) 107[145]/6000 107[145]/6000 107[145]/6000 130[177]/5200-5600 130[177]/5200-5600
最高トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 188[19.2]/4000 188[19.2]/4000 188[19.2]/4000 300[30.6]/1600-3600 300[30.6]/1600-3600
過給機 なし なし なし ターボチャージャー ターボチャージャー
燃料 レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー
モーター 最高出力 (kW[PS]) 10[13.6] 10[13.6] 10[13.6]    
最高トルク (N・m[kgf・m]) 65[6.6] 65[6.6] 65[6.6]    
寸法・重量 全長 4640mm 4640mm 4640mm 4640mm 4640mm
全幅 1815mm 1815mm 1815mm 1815mm 1815mm
全高 1715mm 1730mm 1715mm 1715mm 1715mm
ホイールベース 2670mm 2670mm 2670mm 2670mm 2670mm
車両重量 1620kg 1630kg 1640kg 1570kg 1570kg
タイヤ 前輪サイズ 225/60R17 225/60R17 225/55R18 225/55R18 225/55R18
後輪サイズ 225/60R17 225/60R17 225/55R18 225/55R18 225/55R18
日本における現行型「フォレスター」の正式発表は2018年6月20日。当初は2リッターハイブリッドと2.5リッター自然吸気エンジンがラインナップされていたが、後に後者は廃止となり、かわって1.8リッターターボが登場した。
日本における現行型「フォレスター」の正式発表は2018年6月20日。当初は2リッターハイブリッドと2.5リッター自然吸気エンジンがラインナップされていたが、後に後者は廃止となり、かわって1.8リッターターボが登場した。拡大
車両価格が300万円を切る「ツーリング」だが、駆動方式は4WDでちゃんと「アイサイト」が付き、ステアリングホイールもシフトセレクターも革巻き……と、廉価モデル的な安っぽさはない。
車両価格が300万円を切る「ツーリング」だが、駆動方式は4WDでちゃんと「アイサイト」が付き、ステアリングホイールもシフトセレクターも革巻き……と、廉価モデル的な安っぽさはない。拡大
アウトドアレジャーなどに好適な「X-BREAK」。現行のラインナップで唯一、ルーフレールが標準装備となる。(写真:郡大二郎)
アウトドアレジャーなどに好適な「X-BREAK」。現行のラインナップで唯一、ルーフレールが標準装備となる。(写真:郡大二郎)拡大
インテリアでは、外装と同じく各所にオレンジのアクセントを採用。シート表皮にははっ水性ポリウレタンを用いている。(写真:郡大二郎)
インテリアでは、外装と同じく各所にオレンジのアクセントを採用。シート表皮にははっ水性ポリウレタンを用いている。(写真:郡大二郎)拡大
1.8リッターターボエンジンを搭載した「スポーツ」。黒一色のグリルとダーク調のホイール、2本出しのマフラーなどが特徴だ。(写真:郡大二郎)
1.8リッターターボエンジンを搭載した「スポーツ」。黒一色のグリルとダーク調のホイール、2本出しのマフラーなどが特徴だ。(写真:郡大二郎)拡大
インテリアでは各所にスエード調素材を採用。シート表皮はスエード調素材と本革の組み合わせとなっている。(写真:郡大二郎)
インテリアでは各所にスエード調素材を採用。シート表皮はスエード調素材と本革の組み合わせとなっている。(写真:郡大二郎)拡大
「STI Sport」のボディーカラーは白や黒などの無彩色のみ。バンパーガードやサイドクラッディングなどがいずれも黒で統一されていることから、一目でそれとわかる。(写真:向後一宏)
「STI Sport」のボディーカラーは白や黒などの無彩色のみ。バンパーガードやサイドクラッディングなどがいずれも黒で統一されていることから、一目でそれとわかる。(写真:向後一宏)拡大
インテリアカラーはブラックとボルドーのツートン。シート表皮にはナッパレザーが用いられる。(写真:向後一宏)
インテリアカラーはブラックとボルドーのツートン。シート表皮にはナッパレザーが用いられる。(写真:向後一宏)拡大

【パワートレイン/ドライブトレイン】
パワーユニットは「e-BOXER」と1.8リッターターボ

現在用意されるパワーユニットは2種類。主力は2リッター直噴の自然吸気エンジンにモーターを追加したe-BOXERである。構造的にはエンジンを切り離したEV走行も可能だが、1モーター式のために“エンジンで発電しながらモーターで駆動する”というシリーズハイブリッド走行はできない。よって、実際のEV走行はゼロ発進や低負荷走行などにかぎられ、走行感覚も“マイルドハイブリッド+α”といった印象だ。

こうした仕組み自体はe-BOXERが初めて世に出た2013年から基本的に変わっておらず、最高出力3.6PS、最大トルク65N・mというモーター性能も受け継がれている。ただ、2018年のフォレスターへの搭載時に、電池をニッケル水素式からリチウムイオン式に進化させている。0.6kWhという総電力量は同じなのだが、リチウムイオン化に伴ってシステム電圧は100Vから118Vに引き上げられ、性能と効率は少しアップした。とはいえ燃費はWLTCモードで14.0km/リッターと、ライバルに対して一歩ならず譲るところがあるのは否めない。

いっぽう、上級仕様のスポーツとSTI Sportに搭載される1.8リッターターボは、レヴォーグやアウトバックでもおなじみの、スバルの最新鋭エンジンである。もともとは従来の1.6リッターターボの代替ユニットとして開発されたが、最大トルクは自然吸気エンジンでいうと3リッター級となる300N・mに達しており、フォレスターではスポーツエンジン的な位置づけとなる。と同時に、13.6km/リッターというWLTCモード燃費は、上述のe-BOXERと比べてもほぼ同等といっていい。

変速機は全車おなじみの「リニアトロニック」=チェーン式CVTで、駆動方式も全車共通で4WD。そのシステムは、センターに油圧多板クラッチを使う「アクティブトルクスプリットAWD」と呼ばれるものだ。つまりは一般的にオンデマンド型といわれるタイプだが、クラッチを完全に切り離して2輪駆動になることはなく、フルタイム4WD状態を維持するのがスバルのこだわりだという。また、ボタンひとつで悪路走破性を高める「X-MODE」も全車標準装備。このモードをオンにすると、アクセル特性がマイルドになるほか、センターの油圧多板クラッチの締結力を引き上げ、また空転しそうなタイヤにブレーキも作動させる。

「e-BOXER」はCVTに1基のモーターを内蔵したシンプルなハイブリッド機構だ。前後重量配分を適正に保つべく、バッテリーは車両後方に積まれる。
「e-BOXER」はCVTに1基のモーターを内蔵したシンプルなハイブリッド機構だ。前後重量配分を適正に保つべく、バッテリーは車両後方に積まれる。拡大
現行型「レヴォーグ」で初採用された「CB18」型1.8リッター4気筒ターボエンジン。「アウトバック」にも搭載されており、日本市場ではスバルの上級モデル用エンジンとして定着している。
現行型「レヴォーグ」で初採用された「CB18」型1.8リッター4気筒ターボエンジン。「アウトバック」にも搭載されており、日本市場ではスバルの上級モデル用エンジンとして定着している。拡大
駆動システムは水平対向エンジンを核としたスバル伝統の「シンメトリカルAWD」。4WD機構には、路面や走行状態に応じて前後の駆動力配分を可変制御する「アクティブトルクスプリットAWD」を採用している。
駆動システムは水平対向エンジンを核としたスバル伝統の「シンメトリカルAWD」。4WD機構には、路面や走行状態に応じて前後の駆動力配分を可変制御する「アクティブトルクスプリットAWD」を採用している。拡大
悪路走行をサポートする電子制御システム「X-MODE」のコントローラー。状況に応じて「SNOW・DIRT」「DEEP SNOW・MUD」の2種類の悪路モードを選択可能で、また下り坂などで一定の車速を保って低速走行する「ヒルディセントコントロール」も備わっている。(写真:郡大二郎)
悪路走行をサポートする電子制御システム「X-MODE」のコントローラー。状況に応じて「SNOW・DIRT」「DEEP SNOW・MUD」の2種類の悪路モードを選択可能で、また下り坂などで一定の車速を保って低速走行する「ヒルディセントコントロール」も備わっている。(写真:郡大二郎)拡大

【ボディーサイズ/デザイン】
SUVとしての真面目なパッケージとデザイン

4640mmという全長は、同クラスの国産SUVでいうとトヨタRAV4と日産エクストレイルの中間にあたる。つまりはこのセグメントのど真ん中のサイズということだ。対して1715~1730mmという全高はクラスで高めの部類に入り、全体にボクシーで押し出しの強いスタイリングが5代目フォレスターの特徴といってもいい。基本骨格はおなじみの「スバルグローバルプラットフォーム」(SGP)である。

そのパッケージレイアウトもデザインも、いわばSUVの王道的な仕上がりといっていい。デビューから4年以上が経過した今となっては、室内空間そのものはクラストップとはいいがたいが、たっぷり確保された室内高のなかにゆったり配置された高めのシートポジションは健康的で、どの席からも見晴らしはいい。

最新型のエクステリアデザインは2020年の大幅改良で仕立て直されたもの。「BOLDER(=大胆な)デザイン」というスバル最新のデザインコンセプトにのっとった、立体的なグリルやフロントパンパー、ホイールに加えて、最新のスバル車に共通するC字モチーフのランプを前後に採用している。グレードによってフロントグリルの内部処理やホイールデザイン、ルーフレールや差し色の違いはあるが、ホイールアーチはすべてブラックアウトさせるなど、どのグレードでもアウトドアに似合うSUVらしいテイストが意図的に残されている。

ドアはサイドシルからリアホイールアーチまでをフルカバーする構造で、乗降時にパンツやスカートの裾が汚れにくい工夫がしてある。このあたりも、スバルがフォレスターを本格SUVとして設計している証左だ。

現行「フォレスター」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4640×1815×1715mm(ルーフレール装着車は1730mm)。ライバルと比べて全幅が抑えられており、見切りのよいボディー形状とも相まって、このクラスでは取り回しがしやすい。
現行「フォレスター」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4640×1815×1715mm(ルーフレール装着車は1730mm)。ライバルと比べて全幅が抑えられており、見切りのよいボディー形状とも相まって、このクラスでは取り回しがしやすい。拡大
C字型の発光部がモダンなヘッドランプ。内側の“くの字”の切れ込みが、2020年8月以降のマイナーチェンジモデルの特徴だ。(写真:田村 弥)
C字型の発光部がモダンなヘッドランプ。内側の“くの字”の切れ込みが、2020年8月以降のマイナーチェンジモデルの特徴だ。(写真:田村 弥)拡大
ホイールの意匠はグレードに応じて異なる。写真上段が左から「ツーリング」「X-BREAK」の17インチホイール、下段が左から「アドバンス」「スポーツ」「STI Sport」の18インチホイール。ツーリングとアドバンスを除く3グレードには、オールシーズンタイヤが装着される。
ホイールの意匠はグレードに応じて異なる。写真上段が左から「ツーリング」「X-BREAK」の17インチホイール、下段が左から「アドバンス」「スポーツ」「STI Sport」の18インチホイール。ツーリングとアドバンスを除く3グレードには、オールシーズンタイヤが装着される。拡大
「フォレスター」のドアはボディー下端までカバーしており、悪路や雪道を走行してもドアシルが汚れにくい。乗降時に衣服を汚す心配が少ないのだ。(写真:田村 弥)
「フォレスター」のドアはボディー下端までカバーしており、悪路や雪道を走行してもドアシルが汚れにくい。乗降時に衣服を汚す心配が少ないのだ。(写真:田村 弥)拡大

【インテリア/荷室/装備】
実用にそった装備の設定や荷室のつくりがうれしい

インテリアデザインは2018年のデビュー時から基本的に変わっていない。アウトドア的な遊び心というより、質感の高い乗用車感覚を重視している。ダッシュボードの一番高い位置に、トリップコンピューターやADAS、車両の傾斜角、4WDの駆動状況、X-MODEの作動状況などの情報が表示されるカラーマルチファンクションディスプレイを配すのは、この世代(つまりはひと世代前)のスバル車に共通するレイアウトだ。

先述のとおり、シート表皮は主力のe-BOXER車はすべてはっ水タイプが標準となり、とくにオフロード志向の強いX-BREAKはさらにはっ水能力の高いポリウレタン素材なのも特徴である。対してスポーツモデルである1.8リッターターボ車のそれには、スエードや本革が使われる。

シートヒーターはフロントが全車標準装備で、リアシートヒーターとステアリングヒーターも安価なツーリング以外は標準装備となる。また、ツーリングでもオプションでこれらは装着可能。とくにリアシートヒーターの設定の充実ぶりが、いかにもスバルらしいところだ。

5代目フォレスターの設計開発時の責任者をつとめた布目智之氏が、もともとインテリア設計出身のエンジニアだったこともあり、荷室へのこだわりは強い。単純な容量はクラスの平均的なレベルといっていいが、リアゲートを開いたときの開口部に邪魔な凹凸がないのが印象的だ。

さらにワンタッチで可倒するリアシートを倒したときにも、床面がキレイにほぼフラットとなるのも美点。またアウトドア志向のX-BREAKは荷室関係でも差異化が図られており、はっ水タイプのフロアボードや荷室用のLED照明は、基本的に同グレードの専用装備となる。

現行「フォレスター」のインストゥルメントパネルまわりは、基本的に現行「レヴォーグ」や「クロストレック」よりひと世代前のもの。メーターは全車アナログ式で、操作系は物理スイッチが占め、ダッシュボードのディスプレイも上下2段に分かれている。(写真:向後一宏)
現行「フォレスター」のインストゥルメントパネルまわりは、基本的に現行「レヴォーグ」や「クロストレック」よりひと世代前のもの。メーターは全車アナログ式で、操作系は物理スイッチが占め、ダッシュボードのディスプレイも上下2段に分かれている。(写真:向後一宏)拡大
アイポントの高さと広いガラスエリアにより、前席の見晴らしは良好。「アドバンス」にはオプションで、ブラックもしくはブラウンのナッパレザーシートが用意される。(写真:田村 弥)
アイポントの高さと広いガラスエリアにより、前席の見晴らしは良好。「アドバンス」にはオプションで、ブラックもしくはブラウンのナッパレザーシートが用意される。(写真:田村 弥)拡大
前後席間距離は946mmと、十分な広さ。後席ベンチレーションが全車に装備され、「ツーリング」以外ではシートヒーターも標準装備となるなど、快適性も上々だ。(写真:田村 弥)
前後席間距離は946mmと、十分な広さ。後席ベンチレーションが全車に装備され、「ツーリング」以外ではシートヒーターも標準装備となるなど、快適性も上々だ。(写真:田村 弥)拡大
荷室容量はVDA計測で520リッター。荷室高は884mm、フロア幅は1100~1585mm、フロア長は5人乗車時で908mm、後席格納時で最長1856mmとなっている。(写真:向後一宏)
荷室容量はVDA計測で520リッター。荷室高は884mm、フロア幅は1100~1585mm、フロア長は5人乗車時で908mm、後席格納時で最長1856mmとなっている。(写真:向後一宏)拡大

【バイヤーズガイド】
特別仕様車「XTエディション」は要チェック

スバルといえば独自のADAS機能「アイサイト」が知られる。今やスバルの自社開発車としては最古参となってしまった現行フォレスターゆえ、搭載されるADASについても最新の「アイサイトX」の用意はない。それでも、緊急自動ブレーキや後退時ブレーキアシスト、誤発進抑制機能(前後)、渋滞追従機能、全車速対応のアダプティブクルーズコントロール、車線維持アシスト、前走車発進お知らせ機能、青信号お知らせ機能などの「アイサイトコアテクノロジー」は全車標準装備である。

ただし、リアビークルディテクションや緊急レーンキープアシストなどからなる「アイサイトセイフティプラス」、および「ドライバーモニタリングシステム」を標準装備するのが「アドバンスト」以上のグレードとなるのは注意が必要だ。むろんツーリングとX-BREAKでも(電動シートなどとの抱き合わせではあるが)これらをオプションで追加することは可能なので、両グレードを購入候補にあげている向きは、ADAS機能をフルトッピングする予算を計上しておくことをお勧めする。

それ以外の点においてはグレートごとに大きな差があるわけではなく、デザインとキャラクター、パワートレインの好みで選んでも大きな後悔はないと思われる。ただ、1.8リッターターボの購入を考えている人は、2022年12月22日に発売されたばかりの“AWD車誕生50周年記念”と銘打たれた特別仕様車「XTエディション」の存在はチェックしておくべきだろう。

XTエディションでは、1.8リッターターボのスポーツをベースに、北米向けの車体色である「ガイザーブルー」を特別採用したほか、各ディテールもブラックでまとめられる。さらにフロントビューモニターやスマートルームミラーをセットにしたアイサイトセイフティプラス、そしてルーフレールやはっ水シート表皮、はっ水ラゲッジボードも標準装備して、お値段はベースと同じ335万5000円である。装備内容から考えて買い得なだけでなく、そもそも1.8リッターターボ車ではっ水シート/フロアボードが同時に手に入るのは、現時点ではこの特別仕様車だけなのだ。

(文=佐野弘宗/写真=向後一宏、郡大二郎、田村 弥、スバル、webCG/編集=堀田剛資)

スバルのADAS「アイサイト」のステレオカメラ。2021年8月の改良で広角化されたほか、ソフトウエアも見直され、より幅広いシーンでドライバーをアシストできるよう性能向上が図られた。(写真:田村 弥)
スバルのADAS「アイサイト」のステレオカメラ。2021年8月の改良で広角化されたほか、ソフトウエアも見直され、より幅広いシーンでドライバーをアシストできるよう性能向上が図られた。(写真:田村 弥)拡大
センターモニターの上部に備わる「ドライバーモニタリングシステム」のカメラ。ドライバーの居眠りやわき見を検知すると警報音や警告表示で注意を喚起するほか、乗車時にはドライバーの顔を認識して、自動でシートポジションやディスプレイの表示、エアコンの制御などを、個々人の設定に合わせて調整する。(写真:郡大二郎)
センターモニターの上部に備わる「ドライバーモニタリングシステム」のカメラ。ドライバーの居眠りやわき見を検知すると警報音や警告表示で注意を喚起するほか、乗車時にはドライバーの顔を認識して、自動でシートポジションやディスプレイの表示、エアコンの制御などを、個々人の設定に合わせて調整する。(写真:郡大二郎)拡大
2022年12月に発売された「XTエディション」。「スポーツ」をベースとした特別仕様車で、専用の内外装デザインと、アウトドアレジャーに好適な機能・装備を特徴としている。
2022年12月に発売された「XTエディション」。「スポーツ」をベースとした特別仕様車で、専用の内外装デザインと、アウトドアレジャーに好適な機能・装備を特徴としている。拡大
1.8リッターターボ車でレジャー志向のモデルとなると、現状では「XTエディション」だけ。ターボ車の走りと多機能性の両方を求める向きは、要チェックである。
1.8リッターターボ車でレジャー志向のモデルとなると、現状では「XTエディション」だけ。ターボ車の走りと多機能性の両方を求める向きは、要チェックである。拡大
佐野 弘宗

佐野 弘宗

自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。

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