インフラ整備に注力あるのみ アウディが2023年の電動化戦略を発表

2023.01.20 自動車ニュース webCG 編集部
アウディ ジャパンの電動化戦略について説明する、ブランド ディレクターのマティアス・シェーパース氏。
アウディ ジャパンの電動化戦略について説明する、ブランド ディレクターのマティアス・シェーパース氏。拡大

アウディ ジャパンは2023年1月20日、東京都内で年頭記者会見「Audi New Year Press Conference 2023」を開催し、2022年の業績を報告するとともに、2023年の電動化戦略を発表した。

記者会見の会場には、故ケン・ブロックがドライブしたモンスターEV「アウディS1 e-tronクワトロ フーニトロン」(写真中央)のほか、アウディブランドの市販EVがずらりと並べられた。
記者会見の会場には、故ケン・ブロックがドライブしたモンスターEV「アウディS1 e-tronクワトロ フーニトロン」(写真中央)のほか、アウディブランドの市販EVがずらりと並べられた。拡大
アウディ ジャパンの資料から。2022年は登録台数が前年より減少したものの、EVの占める割合は高まった。この傾向は2023年もさらに加速するとみられている。
アウディ ジャパンの資料から。2022年は登録台数が前年より減少したものの、EVの占める割合は高まった。この傾向は2023年もさらに加速するとみられている。拡大
2022年に導入後、2000台以上の受注があった「Q4 e-tron」。2023年は通年での販売となるため、インポーターの期待も高まっている。
2022年に導入後、2000台以上の受注があった「Q4 e-tron」。2023年は通年での販売となるため、インポーターの期待も高まっている。拡大
アウディはブランドとして強力にEV化を推進することを明言している。3年後の2026年には発表される新車がEVのみとなり、2033年には内燃エンジンの生産を(中国を除いて)停止する計画だ。
アウディはブランドとして強力にEV化を推進することを明言している。3年後の2026年には発表される新車がEVのみとなり、2033年には内燃エンジンの生産を(中国を除いて)停止する計画だ。拡大
シェーパース氏によれば「日本国内の充電器は決して少なくない」。しかし、その99%は出力が49kW以下であるなど、出力の低さがネックになっている。記者会見でシェーパース氏は何度も「(この状況を)早急に変えないといけない」「とにかく時間がない」と口にした。
シェーパース氏によれば「日本国内の充電器は決して少なくない」。しかし、その99%は出力が49kW以下であるなど、出力の低さがネックになっている。記者会見でシェーパース氏は何度も「(この状況を)早急に変えないといけない」「とにかく時間がない」と口にした。拡大
充電に関する事業提携の基本合意書締結を発表した、パワーエックスの伊藤正裕氏(写真左)とマティアス・シェーパース氏(同右)。
充電に関する事業提携の基本合意書締結を発表した、パワーエックスの伊藤正裕氏(写真左)とマティアス・シェーパース氏(同右)。拡大

2023年はEV比率を3倍に

アウディとも関係の深かったラリードライバー、ケン・ブロック(2023年1月2日急逝)の追悼で幕を開けた、アウディ ジャパンの年頭記者会見。ブランド ディレクターのマティアス・シェーパース氏はまず、「アウディに限らず、クルマが売れない年だった」と2022年の業績を振り返った。登録台数は、前年比92.1%の2万0750台。「ただ、そんななかでも電気自動車(EV)を808台登録し、全体に占める割合を前年の約1.5%から約3.9%へと伸長させたこと、さらに、新型EV『Q4 e-tron』が導入できたのは特筆すべきことだった」と胸を張った。

インフラの面では、同社は急速充電ネットワークの拡充を重視する電動化戦略を発表しており、全国52カ所・52基の150kWの急速充電器の設置を実現している。

「日本市場におけるキーは、急速充電の拡充だ」とシェーパース氏が力説するとおり、2023年はここからさらに計画を推進し、全国のアウディe-tron店に既に設置されている50基の50kW-90kW急速充電器を、より大出力な150kW急速充電器へと置き換え、出力150kWの急速充電器を全国合計102基にすることで急速充電ネットワークを拡充する計画だ。

また2023年は、ドイツ・ニュルンベルクやスイス・チューリッヒに設置されているアウディの都市型充電コンセプトである「Audi charging hub」を、欧州以外では初めて東京に設置。自宅で充電できない都市部のユーザーの利便性を大きく広げ、新たなライフスタイルを提供すると意気込む。

プロダクトについては、現在需要に追いついていない「e-tron GT」の供給量を増やし、e-tronシリーズのハイエンドモデル「Q8 e-tron」も導入する予定。これにより、EVの販売比率を、前年比3倍となる12%にまで高めるという。

この会見に続いては、大型蓄電池の製造・販売を手がける新興企業、パワーエックスの伊藤正裕 取締役兼代表執行役社長CEOも登壇。シェーパース氏とのトークセッションを通して、再生エネルギーの蓄電・活用の重要性について語るとともに、「規制緩和で、日本も200kWクラスの充電が可能な(=充電時間が大幅に短縮できる)環境が見えてきた。EVとのかかわり方は変わり、世の中が一気にEV化していく可能性がある」などとコメントした。

また両氏は、アウディ ジャパンとパワーエックスが充電に関する事業提携の基本合意書を締結したことも発表。アウディはパワーエックスが開発する超急速充電器「Hypercharger」を日本国内のアウディe-tron店へ導入すること、両社が共同で日本国内へのAudi charging hubの設置運営に関して協議・検討していくことを明らかにした。

(webCG)

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