日産フェアレディZバージョンST(前編)
2023.03.16 あの多田哲哉の自動車放談 トヨタで「86」や「GRスープラ」といったスポーツカーの開発を取りまとめてきた多田哲哉さん。そんなプロの目に、新型「日産フェアレディZ」はどう映るのか? 率直な感想を聞いてみた。けっこうな価格の割には……
フェアレディZを前にして多田さんは「Z432が憧れのクルマでした。Z432にはありとあらゆる最新技術が詰まっていて、あんなスポーツカーをいつかつくりたいと思ったんです。やっぱり日産にはああいう心が震えるクルマをつくってほしい」と話し始めた。
Z432とは1969年から1978年に生産された初代フェアレディZ(S30)に、レーシングカー直系の直列6気筒DOHC 24バルブエンジン(当時としては超ハイテクだった)を押し込んだ「フェアレディZ 432」のことだ。S30は10年弱の期間に約55万台が生産されたといわれるが、Z432の生産期間は4年間で、台数はわずか400台前後。ほとんど幻といっていいほど希少なスーパースポーツカーだ。
早速、新しいZでひとっ走りしてきた多田さんは開口一番「田村さんはもうちょっと高い値段で売りたかったと思います。でも、営業からは安くつくれと、がんじがらめだったのではないでしょうか」とおもんぱかった。
ここでいう田村さんとは、言うまでもなく、Zに加えて「GT-R」の開発責任者を務めてきた田村宏志氏のことだ。田村氏の肩書は現在、トヨタのチーフエンジニアに相当するチーフプロダクトスペシャリストから「アンバサダー」に変わっているが、いまだに日産スポーツカーの顔であることに変わりはない。
「新しいZの価格は一番高いのでいくらでしたっけ……400万円台?」と多田さん。いえいえ、最上級グレードとなる今回の「バージョンST」の本体価格は646万2500円。最も安価な素グレードでも524万1000円である。まあ、現在は受注停止中だが……。
「その価格だと、この内装の質感はまったく物足りません。本当なら随所にメタルパーツなんかを入れたかったんだろうし、例えばこのインナーミラーも、今どき珍しいフレーム付きの最も安価なタイプです」
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