日産フェアレディZバージョンST(後編)

2023.03.23 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 新型「日産フェアレディZ」に試乗して、その仕上がりに納得できない表情の多田哲哉さん。元トヨタのチーフエンジニアは、この人気車種のどんなところを問題視しているのだろうか。

あと50万円使えたら……

今の時代、スポーツカーのような商品で事業性を確保するのは至難の業である。新型Zもエクステリアデザインやエンジンこそまったく新しいが、基本骨格=プラットフォーム部分は従来のZ34型そのままの部分が多い。それもこれも、スポーツカーは今どき、まったくもうからないからだ。

「でも、トヨタや日産くらいの規模の会社なら、『86』やZがもうかるかどうかなんてゴミみたいな話なんです。失敗したところで、会社の経営に影響があるわけではありません。それに、どこの自動車メーカーにも、スポーツカーをやりたくてしようがない技術者は山のようにいます。そういう人たちに任せておけば、スポーツカーはできます」

「あとはお金。さすがに会社としては、もうからない事業に面と向かってゴーサインは出せない。会社にバレないように、手を替え品を替え、開発費をいろんなところに押し込んで捻出するのが、僕がトヨタでやっていたようなチーフエンジニアの役目であり醍醐味(だいごみ)です」

「自動車メーカーの上層部にも『頼むから、うまくだましてくれよ。そうすれば黙認するのに』と思っている人は多いんです」

……といったことを、ほかでもない多田さんが言うのだから説得力がある。

「Zもプラットフォームが古すぎるというか、古くてもいいけれど、田村さんたちが力を入れてクルマづくりができる環境を用意してほしいと思います」

 
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