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再々販のうわさが絶えない「トヨタ・ランドクルーザー“70”シリーズ」 その仕様について分かっていること

2023.03.22 デイリーコラム 鈴木 ケンイチ

約10年ぶりのカムバック

トヨタの「70ランクル」が、再販されるといううわさを耳にした。

70ランクルとは、「ランドクルーザー70系」のことで、1984年11月に「ランドクルーザー40系」の後継モデルとして29年ぶりのフルモデルチェンジで誕生したモデルだ。悪路走行に適したヘビーデューティー仕様として、長く世界中で愛されてきた。日本では2004年に生産を終了したが、デビュー30周年を記念し、熱烈なファンの要望に応えるかたちで、2014年8月から約1年間の期間限定で再販売されている。当時は「ランドクルーザー“70”シリーズ」の名称だった。

つまり、今度再販されれば、再々販となることになる。2024年に40周年記念ということになるのだろうか。

そこで気になるのは、一体どのような仕様であるかということだ。ボディータイプは? エンジンは? そうした内容が気になる。

ちなみに、2014年の再販では、4リッターのV6ガソリンエンジンに5段マニュアルトランスミッション、トランスファーレバーで駆動方式を切り替えるパートタイム4WDシステム(デュアルモードオートマチックロッキングハブ付き)がパワートレインに採用されていた。エンジンは国内初導入だった。さらに前後の電動デフロックと、フロントバンパー内にビルトインできる電動ウインチをオプションで設定。そしてボディーは4ドアバンとダブルキャブピックアップの2種類が用意されていたのだ。乗車定員はどちらも5人。価格は4ドアバンが360万円、ピックアップが350万円であった。

2014年8月から1年間の期間限定で販売された「トヨタ・ランドクルーザー“70シリーズ”」。パワートレインは4リッターV6ターボエンジンと5段MTの組み合わせだった。
2014年8月から1年間の期間限定で販売された「トヨタ・ランドクルーザー“70シリーズ”」。パワートレインは4リッターV6ターボエンジンと5段MTの組み合わせだった。拡大
上の「バン」のほかにダブルキャブの「ピックアップ」もラインナップされていた。当時はバンが中東仕様を、ピックアップが南アフリカ仕様を日本向けにチューニングしていた。
上の「バン」のほかにダブルキャブの「ピックアップ」もラインナップされていた。当時はバンが中東仕様を、ピックアップが南アフリカ仕様を日本向けにチューニングしていた。拡大
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豪州仕様はV8ディーゼル

では、今回、もしも再販されるとしたら、どのような仕様になるのか? そのヒントとなるのは、日本と同じ右ハンドル仕様であり、現在も70ランクルが現役で販売されているオーストラリアにある。そのオーストラリアでは、どのような仕様が選べるのだろうか?

まず、ボディーは4種類がある。シングルキャブのピックアップと、ダブルキャブのピックアップ、4ドアのワゴン、トゥループキャリアと呼ばれる2ドアのハイルーフ仕様だ。これらのうち、日本に導入されるとなれば、やはり2014年の時と同じく、ダブルキャブのピックアップと4ドアのワゴン(=バン)ではないだろうか。

そしてパワーユニットはといえば、4.5リッターV8ディーゼルターボの「1VD-FTV」エンジンしかない。排気量は4461㏄で、最高出力205PS/3400rpm、最大トルク430N・m/1200-3200rpm。これに5段マニュアルトランスミッションとトランスファーレバー付きのパートタイム4WDシステムが組み合わされる。

1VD-FTVエンジン搭載車は、もちろん日本で販売されたことはない。このエンジンは海外仕様の「ランドクルーザー200系」などに搭載されていたもので、最新の「ランドクルーザー300系」には、この次の新しい3.3リッターV6ディーゼルが搭載されている。つまり、トヨタ的には最新ではないけれど、それほど古いエンジンではないというわけだ。

もしも、このエンジンを使うというのであれば、日本の排ガス規制に合わせて改良する必要があるだろう。そのコストが高いとなれば、日本ですでに販売されている、何かしらのガソリンエンジンが採用されるかもしれない。それほど数が見込めない再販モデルに、そこまでお金をかけるのか。それとも、前回と同じくエンジンの国内初導入となるのか。どちらに転ぶのかは微妙ではないだろうか。フタを開けてみなければ分からないが、できればV8ディーゼルの導入を期待したいところだ。

オーストラリアでは今でも現役。エンジンは全モデルで4.5リッターV8ディーゼルターボを積む。
オーストラリアでは今でも現役。エンジンは全モデルで4.5リッターV8ディーゼルターボを積む。拡大
2014年に国内発売された“70シリーズ”のダッシュボード。最新のオーストラリア仕様もこれとほとんど変わらない。
2014年に国内発売された“70シリーズ”のダッシュボード。最新のオーストラリア仕様もこれとほとんど変わらない。拡大

今度も人気間違いなし

また、日本では衝突被害軽減自動ブレーキ(AEBS)の新型車への装着が義務づけられている。継続生産車は2025年、輸入車には2026年までの猶予がある。70ランクルは新車とはいえないため、まだ装着なしでもいける。だが、その心配は無用で、オーストラリア仕様にもきちんと「Pre-Collision Safety system with pedestrian and daytime cyclist detection」、すなわち歩行者および日中の自転車を検知可能な衝突被害軽減ブレーキが全車に標準装備されている。トヨタに抜かりはない。

まとめると、ボディーは前回と同様の4ドアバンとダブルキャブピックアップ、パワートレインは5段マニュアルとパートタイム4WDは同じ。エンジンはV8ディーゼルの初導入に期待したいが、不確定な要素もあるというところだ。ちなみに継続生産車のため、オーストラリア仕様ではボディーの見た目などは何も変わっていない。再々販では丸目になるといううわさもあるが、これも不確定だ。

1ナンバー、5MTのみという設定にもかかわらず、前回は発売1カ月で3600台を受注(月販目標の18倍)したという70ランクル。今度も人気になるのは間違いなさそうだ。

(文=鈴木ケンイチ/写真=トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)

オーストラリア仕様では2022年5月の一部改良で衝突被害軽減ブレーキが標準装備となった。
オーストラリア仕様では2022年5月の一部改良で衝突被害軽減ブレーキが標準装備となった。拡大
鈴木 ケンイチ

鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

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