「レクサスLM」の国内価格を予測する
2023.05.17 デイリーコラムついに日本でも発売
それにしても、今回の編集部からのお題はいくらなんでもむちゃすぎる(笑)。「『レクサスLM』の価格を予測せよ!」というのだから。
明確なヒントも何もない現時点で、これを当てたら大預言者といってもいいだろう。
ところで、レクサスLMと聞いても、ピンとこない人もいるかもしれない。日本で売っていないモデルなのだから当然だ。
2020年から中国や東南アジアなどで販売が始まったこのモデルの最大のポイントは、ミニバンだということ。プレミアムブランドのあのレクサスが、ついにミニバンをラインナップに加えたのだから大きな話題にならないわけがない。それが、フルモデルチェンジを受けて新型となり、ついに日本でも発売されることになったのだ。
同車の最大のターゲットはファミリーユーザーではなく、ショーファードリブンとして移動に活用する富裕層。ショーファードリブンといえばかつてはセダンが定番だったが、中国を筆頭に、欧州などに比べると移動平均速度の低いアジアではミニバン化が急速に進んでいるのだ。運転は雇われ運転手に任せ、渋滞で時間を過ごすことも多いとなれば、より室内が広くて乗り降りだってしやすいミニバンのほうが移動空間として優れているというわけである。
価格の決定は発売直前
そんなレクサスLMの車体のベースとなっているのは「トヨタ・アルファード/ヴェルファイア」。しかし内外装はさらに上質になり、また3列シートだけでなく後席に超豪華なシートを組み合わせた2列シートモデルを用意するなど、ファミリーミニバンとの違いを明確にしている。
先日の上海モーターショーでお披露目された新型の車体やパワートレインなどメカニズムのベースはもうすぐ登場すると思われる新型アルファード/ヴェルファイアで、日本デビューは今年の秋ごろ。まずは「2.4リッターターボハイブリッドに4WDを組み合わせた4人乗り仕様」から導入されるという。
ちなみにこのパワートレインは、「レクサスRX500h」や「クラウンRS」に搭載されているものと基本的な構造が同じだ。
さて、価格はいくらくらいになるのか?
この予測が難しい理由は2つある。
ひとつは、参考となるモデルがないこと。日本に先代モデルは存在しないし、ライバルと呼べるようなモデルも見当たらない。つまり“相場”がないのだ。だから価格を予想するのが難しい。
もうひとつは、実際の発売まで半年ほどあること。実は、新型車の価格はギリギリまで調整が行われ、決まるのは、それこそカタログを完成させなければならないタイミングにあたる発売直前だったりする。価格はライバルの動向を直前まで見て決めることが多いのだ。
また会社内におけるその車両の役割によっても、値づけは変わってくる。自動車メーカーにとって販売する車両の役割は一般的に「ガッチリもうけを出す車種(しっかり利益を出す)」と「工場稼働率を高めるために利益低めでも大量に販売を見込む車種(利益率低め)」、そして「採算度外視のフラッグシップ的存在(車両価格は高いけど利益率は低い)」の3つの分類がある。LMに関してはひとつめの「ガッチリ」だろうか……?
ヒントはランクルとLXの価格差にあり!
……と当たらなかった時の言い訳ばかり並べてみたが、そろそろ覚悟を決めて予想価格をお伝えしよう。
筆者の予想はずばり、ボトムとなる「2.5リッターハイブリッドの3列シート」で1300万円だ。
デリバリー開始が最も早く、ラインナップにおいて最もLMらしさを堪能できる「2.4リッターターボハイブリッド+2列4人乗りモデル」はおそらく1700万円に近いだろう。
ヒントとしたのはまず、「トヨタ・ランドクルーザー」と、基本的に同じ構造を持った「レクサスLX」との価格差だ。ランクルの最上級グレード(「GRスポーツ」を除く)が730万円(現行アルファードのハイブリッドモデルの最上級仕様とほぼ同じ)なのに対し、レクサスLXのベーシックグレードの価格は1250万円にもなる。だからレクサスLMのボトムグレードもこのあたりがひとつの基準となるのではないだろうか。
そのうえで、レクサスLMの4人乗りモデルは、まずインテリアの違いだけで3列シートよりも100万円以上高いのは確実だ。そのうえ、エンジンがターボ化され、リアモーターも強力になって走りの水準が大きく高まるパワートレインは、それに伴って価格もアップ。それも100万円近い“上乗せ”となるだろう。
そう考えて積み上げたうえに、「レクサスLS」のハイブリッドモデルにおいてベーシックグレードと上級仕様の価格差が450万円ほどあることにも鑑みると、上級グレードの価格は1700万円前後となってもおかしくはない。
というわけで、レクサスLMの予想価格は1300万~1700万円。あくまで予想なので、当たらなくてもあしからず。
(文=工藤貴宏/写真=トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)

工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。