第1回:雄渾なるラグジュアリー 「キャデラック・エスカレード」を知る・試す
フルサイズの幸せをあなたに 2023.09.01 乗る人すべてに幸せを CADILLAC ESCALADEの世界<AD> アメリカが誇るプレミアムブランド、キャデラック。そのフラッグシップを担うのが「エスカレード」だ。路上で圧倒的な存在感を放つラグジュアリーSUVは、ドライバー/パッセンジャーを問わず、乗る人すべてに豊かな時間を提供する、懐の深い一台となっていた。選ばれる理由がある
世界最強のSUV選手権があるとしたら、どのクルマが優勝するだろう。個人的に強く推したいのが、キャデラック・エスカレードだ。
ごく低回転域からトルクがたっぷりな動力性能、高品位のオーディオを含めたインフォテインメントシステム、それに理知的なパッケージングなど、積極的に選ぶ理由がいろいろある。北米の路上では、こうしたフルサイズのSUVを多く見かけるが、日本に正規輸入されるモデルの数はごく少数。そのなかで、エスカレードを手がけるゼネラルモーターズの日本法人は頑張っている。
極端なことをいえば、日本で売らなくても、アメリカ大陸だけ相手にしていれば、じゅうぶん採算のとれるはずのモデルだ。それだけに、日本のクルマ好きとしては「ありがたや~」と思うのだ。なにしろ、クルマ好きというのは多元主義の持ち主が多い。SUVに関しても、さまざまなキャラクターのなかから、自分に合うモデルを見つけたい。
そこにあって、エスカレードの個性は光る。このクルマは、全長5400mmの余裕あるサイズの3列7人乗りボディーを、3060mmもあるロングホイールベースのセパレート型シャシーに載せている。
全高も1930mmもあって、乗りこんだときの守られ感はハンパじゃない。周囲のクルマのルーフを見下ろすほどに高いドライビングポジションなのだ。大型SUVを好む人は、この“守られ感”が好きなのだろう。装甲スーツみたいなものかもしれない。でも、エスカレードまでいこうという人は多くない。そこが希少価値ともいえる。
モダンデザインの歴史が宿る内外装
エスカレードのよさは、そのサイズをしっかり生かして、広い室内と大きな荷室を実現したパッケージングだ。あえてこのサイズのSUVを買うという人への見返りがちゃんとある。冒頭でふれたとおり、エスカレードの魅力はサイズだけじゃないのだ。走らせてみても同様で、6.2リッターV型8気筒エンジンのたっぷりしたトルクと、セパレート型シャシーと電子制御サスペンションによる乗り心地は、他ではなかなか手に入らない。
ボディースタイルは端正だ。前後長がたっぷりとられたルーフと、ほとんど垂直に見えるテールゲートと、面積を大きくとったサイドウィンドウ。理性的なデザインである。北米では、かつてのセダンに代わり、ショーファードリブンとして使われるケースが多々あるというのも納得できる。ボディースタイルにはある種のフォーマル性すらあり、多用途性の高いデザインだ。エスカレードで意識させられるのは、モダンデザインの大きな潮流は、北米から発している事実である。
インテリアでは特にダッシュボードが目をひく。湾曲型38インチ大型OLEDディスプレイを、ウッドパネルやソフトなレザー素材とうまく組み合わせている。デザインと素材のコンビネーションも考え抜かれていて、機能を追求するドイツ車や、質感を重視するイギリス車とはまた一線を画す、独自の審美性を知らしめてくれる。
米国は、ヴァルター・グロピウスやミース・ファン・デル・ローエら、バウハウスのデザイナーたちが戦時中に亡命した先だし、その前にも流線形というスタイルを確立したレイモンド・ローウィがいた。大戦前から活躍していたチャールズとレイのイームズ夫妻や、ハリー・ベルトイアらが米国のメーカーのためにデザインした家具は、いまも、世界的に人気が衰えていない。
エスカレードのシートは、スタイル的なけれん味はないけれど、長いあいだ座っていても疲労感がなく、出来がよい。シンプルな美だ。座っていて、米国家具のことをふと思い出したりした。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
比類のない充実したドライブフィール
6156ccの排気量を持つV型8気筒エンジンは、いまもオーバーヘッドバルブ(OHV)。シリンダー橫にカムシャフトを配して、それがプッシュロッドを突き上げて、ロッカーアームを介して吸排気バルブを開け閉めする。日本も欧州も、1970年代の前半あたりまではOHVエンジンだったが、より効率よくパワーが引き出せるからと、カムシャフトがシリンダーの上に配置されるSOHCやDOHCが主流になった。
米国車は、このままだとOHVからOHCをすっとばして一気に電気に移行しそうだ。独自の進化がおもしろい。OHVにこだわる理由は、シリンダーヘッドにカムシャフトがないので、重心高を下げられたり、整備性が容易であったりなど、いくつか考えられる。
排気量が大きければ、高回転型にしてパワーを追求する必要がないといえる。じっさい、東京でエスカレードを気持ちよく走らせるのに、エンジン回転数は1500rpmあたりでじゅうぶんという印象だ。この感覚、慣れるとけっこう気持ちがいい。
モノコック構造のSUVと異なる、ボディーがやや揺れる感じに、多少の違和感をおぼえる人がいるかもしれない。しかしすぐ慣れる。運転している私の意思どおり動いてくれる感覚がしっかりある。ちょっと強引なたとえだけれど、いいアウトドア用ブーツを履いて大地を踏みしめていくさまを連想した。
サスペンションシステムは、前後ともに独立懸架。シャシーは伝統的なセパレート型でも、オンロードでの走行性能が強く意識されているのだろう。くわえて、連続可変式の磁性流体ダンパー「マグネティックライド」とエアサスペンションが標準装備され、走行状況に応じて身のこなしや車高が変わる。乗り心地も快適だし、車体のステアリングレスポンスも良好だ。
エスカレードで高速道路を走っていると、すばらしく気分がよい。静粛性は高いが、V8エンジンの存在はアクセルペダルへの反応などから感じられ、クルマとコミュニケーションをはかっていられる気分になる。電子制御エアサスペンションのおかげで、フラット感が確かにあって、車高は高いのに、路面にしっかり張り付いているような感覚がうまくもたらされている。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
快適な2列目シートと高品位のオーディオシステム
くわえて、居住性の高さもエスカレードの大きな魅力であると、あらためて思い知る。“2−2−3”の7人乗りのシートアレンジは、2列目の2つのシートのあいだが大きく空いていて、3列目へのウオークスルーが容易。その3列目シートも、身長175cmの私が座っても、ヘッドルームもレッグルームもじゅうぶんだった。
アームレストを備えた2列目のキャプテンシートは、人によっては、エスカレードにおける最も居心地のいい場所というかもしれない。1列目シートとの間隔が大きいうえ、頭上の空間もじゅうぶん。目の前には、12.6インチの後席エンターテインメントシステムが備わり、HDMIやUSB接続で、音楽ばかりか、ゲームも楽しめる。
28チャンネル・36スピーカーのAKG「Studio References」システムも標準装備だ。AKGのオーディオの音は、モロ私の好みである。ナチュラルな再生能力というか、「無理して低音を強調した、クラブでかかる音楽のような音づくり」なんてことはない。
特に、最近の音源では細かいニュアンスまでていねいに再生され、音楽を楽しむためだけに夜の首都高をエスカレードで走り回るなんて人がいても、納得できそうな出来栄えだ。スピーカーは、ドアパネルなどにくわえてフロントシートのヘッドレストや天井各所にも設けられており、オーディオの設定次第でホールの特等席のように前方から音を浴びたり、車内にいる全員で音楽に囲まれているような感覚を楽しめたりもできる。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
門戸は広く開かれている
遠出をしても快適、いや遠出でこそエスカレードが本領を発揮するとよくわかったのは、東京から上信越自動車道を走り、ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリーまで出かけたときだ。といっても、過去にも数度にわたりエスカレードで小さな遠出をしたことがあったので、私にとってはいわば再確認の旅みたいなものだったのだが。
ヴィラデスト(と省略させていただきます)は、もともと文筆家であり画家でもある玉村豊男氏が、小諸の少し先、東部湯ノ丸インターに近いところで2003年にオープン。私は玉村氏の著書『料理の四面体』(1980年)の大ファンだったので、時々訪れているのである。氏とお話をさせてもらったことはあまりないのだけれど、いつ訪れても美しく、かつ清潔な場所である。エスカレードはワインをたっぷり積んで帰れるのも美点なのだ。
こうした遠出を後押ししてくれるのは、抱負な安全と運転支援の装備。フロントの歩行者対応ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能)、レーンキープアシスト(車線内走行アシスト)とレーンディパーチャーウォーニング(車線逸脱警告機能)、リアクロストラフィックアラート、サラウンドビジョンなどが標準装備だ。さらに、真っ暗ななかでも赤外線センサーで前方の4フィート(121センチ)以上の高さを持つ生き物……すなわち歩行者や大型動物の存在をとらえるナイトビジョンも、継続的に採用されている。
サイズは大きく、それに見合う広い乗車空間とラゲッジスペースを持ち、最新の運転支援技術や、高品位のオーディオなどを備える。くつろげるライドフィールに充足感に満ちた運転感覚など、乗る人すべてに確かな恩恵が用意されている。このウェルビーイングこそが、エスカレードというクルマが持つ価値といえるだろう。
くわえて、ゼネラルモーターズ・ジャパンでは、エスカレードに興味を持つ人向けに残価保証型リースプログラム「CADILLAC OWNER EXPERIENCE PLAN」を用意している。3年間のクローズドエンド方式で、登録時自賠責保険・税金などの必要コストはいずれも月額に含まれる。クローズドエンドとは、リース期間が終了した時点で車両を返却する方式で、残価精算などはない。
月々の支払いを均等化できるため、合理的な出費の管理が可能となる。法人や事業主はもちろん個人でも利用できるそうだ。アフターサービスについてもキャデラック正規ディーラーのスタッフが万全の体制でサポート……と、すっかり付き合いやすくなったのも、いまのエスカレードの特長なのだ。
(文=小川フミオ/写真=花村英典/撮影協力=ヴィラデスト ガーデンファーム アンド ワイナリー)
→第2回:夏の信州でひたる文化と自然 「キャデラック・エスカレード」で行く涼の旅
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
車両データ
キャデラック・エスカレード スポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5400×2065×1930mm
ホイールベース:3060mm
車重:2740kg
駆動方式:4WD
エンジン:6.2リッターV8 OHV 16バルブ
トランスミッション:10段AT
最高出力:416PS(306kW)/5800rpm
最大トルク:624N・m(63.6kgf・m)/4000rpm
タイヤ:(前)275/50R22 111H M+S/(後)275/50R22 111H M+S(ブリヂストン・アレンザA/S 02)
価格:1800万円