古典車趣味存続のカギ

修理工場の標準装備品であるヌードカレンダーを見ればわかるように、とかくクルマの世界というと、むくつけき男性+セクシーなマスコットガールという組み合わせが定着してしまった。
そのあまりに使い古された、ときには低俗ともいえるムードが、たとえ同性愛の人でなくても今日クルマ趣味を忌避する人を生み出してしまったのは事実であろう。

欧州の同性愛の人たちのなかには、高い社会的地位や収入を得て、かつ古いものに対して高い造詣をもつ人がいる。古典車ファンの人口が減少するなか、こうした強い結びつきをもった人たちの愛好会は、これからもこのジャンルが存続するにあたって大切な存在になる、とボクは読んだ。

ところでクイアレンカークラブのパフォーマンスは、まだまだ続いていた。彼らが展示していた4台目のクルマだ。本物のボルボ製霊きゅう車のテールゲートから、これまた本物のお棺がオーバーハングしているのだ。お棺の中をのぞくと、パナールやローバーといった、もはや消滅したメイクのミニカーが何台も安置されていた。
それだけではなかった。垂れた糸にくくられた1台のミニカーが、今まさにお棺に収まろうとしている。そのクルマとは「サーブ900カブリオレ」だった。
思わず、「皆さん、なかなかきついっすねえ」と日本語でつぶやいてしまった筆者だった。

(文と写真=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)

ボルボ霊きゅう車とお棺。
ボルボ霊きゅう車とお棺。 拡大
ボルボ霊きゅう車のお棺の中には消滅したクルマのミニカーが。そこに加わりかけているのはサーブ……。(写真右側に浮いています)
ボルボ霊きゅう車のお棺の中には消滅したクルマのミニカーが。そこに加わりかけているのはサーブ……。(写真右側に浮いています) 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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