シューマッハがアイロン!?

しかしながら、ここ数カ月の傑作といえば、あのミハエル・シューマッハーだろう。シューマッハーがTシャツ姿で、アイロンがけをしているものだ。2010年10月、フランス・パリ市内の地下鉄駅に貼られたポスターである。

よく読むと、パリを本拠地とする脳・骨髄研究所「ICM」のポスターであることがわかる。ICMは2006年に設立された機関で、アルツハイマー病をはじめとする脳神経外科関係の研究推進を目的としている。その発起人には、映画監督リュック・ベッソン、FIA会長ジャン・トッドらとともに、シューマッハー自身も名を連ねている。地下鉄構内にポスターが貼られたのは、パリ交通営団グループの社会福祉財団もICMをサポートしているからだ。

アイロンをかけるシューマッハーの上には
「ミハエル・シューマッハーのやっていることは、別段変わったことではありません。脳や骨髄の病気(を救うこと)を除いては」と記されている。そして下部には、「あなたもシューマッハーのように、ICMの研究を助けましょう」と文章が続いている。

そういえば以前シューマッハーは、フェラーリF1ドライバー引退後の2007年に、フィアット商用車のテレビCMで園芸店主に扮(ふん)し、「シューミーの新しい仕事」と称して出演したことがあった。
しかし今回のアイロンがけパフォーマンスは少々おとなし過ぎたようだ。派手な巨大広告がひしめく地下鉄ホームで、せっかちなパリジャン、パリジェンヌたちにはあまり注目されていなかった。
だからこそ、筆者のようにシューマッハーであることを発見したときの感激が大きいといわれれば、それまでだ。だが、「やはり次のバージョンはレーシングスーツ姿で台所仕事とかしてたほうがウケるんじゃないの?」と、皇帝に対して余計なお節介が頭に浮かんだ筆者である。

(文と写真=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)

アイロンをかけるシューマッハー。さりげなさすぎて……。
アイロンをかけるシューマッハー。さりげなさすぎて……。 拡大
シエナの街角で。町内会が教会の前に立てたクリスマスツリー。
シエナの街角で。町内会が教会の前に立てたクリスマスツリー。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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