マツダ・スカイアクティブ試作車【試乗速報】
全身「スカイアクティブ」が待ち遠しい 2010.11.12 試乗記 マツダの次世代技術「スカイアクティブ」を満載した試作車に試乗。その真価をいち早く体感することができた。エンジンよりシャシーに感動
コンセプトの段階からリアルワールドの入り口へ。そんな発展過程にあるマツダのさまざまな次世代技術「スカイアクティブ」をフル搭載した試作車に、広島県にある同社の自動車試験場――通称「三次(みよし)テストコース」で乗ることができた。ドアミラーの色分けによって外部から識別できるようになっていたこれらのモデルは、「スカイアクティブG」と呼ばれるガソリンエンジン搭載車が2台と、「スカイアクティブD」と呼ばれるディーゼルエンジン車が2台。そして、そのそれぞれに「スカイアクティブMT」と「スカイアクティブドライブ」を名乗る6段MTと6段AT仕様が1台ずつ、という構成だ。
そんな4台は、一見するといずれも同じ現行型の「アテンザ・セダン」に見えるもの。が、実はそれは“世を忍ぶ仮の姿”で、なんとなればそうした白い衣装の下には「“走る歓び”を支える高い剛性と最高レベルの衝突時安全性を実現した軽量高剛性」な「スカイアクティブボディ」と、「ロードスター並みの人馬一体感を追求すると同時に、快適性と安心感を高めた」という「スカイアクティブシャシー」という、こちらも完全新開発同士のコンビネーションが隠されているという。まず当方にあてがわれたのは、ガソリンエンジン搭載のMT仕様。日本での売れ筋は当然AT仕様となろうが、エンジンの素性を知るにはそのアウトプットをダイレクトに引き出してさまざまなチェックができるMT仕様が好都合だ。
そんなテスト車で走り始めると、まず感心させられたのは自慢のスカイアクティブGが発する並外れたパワー感……などでは実はなかった。走り出してすぐに感じられた素直な印象――それは、このモデルが持つフットワークのテイストが何ともしなやか、かつストローク感に富んでいて、端的に言うと「とても乗り心地に優れている」と、そんな事柄だった。
そうした好ましい第一印象は、比較のために現場に用意された“本物”の現行アテンザをチェック走行させた際に確信へと変わった。日本はもとより、欧州でも定評ある現行アテンザの走りの質感もそれ相応に高いもの。しかし、この試作モデルが実現させたフットワークはあらゆる路面でより接地感に優れ、しかも前述のように、より快適性にもたけたものであったからだ。