「ターボ」ぐらいの位置づけに

もちろんフィットハイブリッドの「IMAシステム」とプリウスの「THSII」はかなり違う。IMAはエンジン中心の構成で、ヨーロッパじゃ“マイルドハイブリッド”とか“スモールハイブリッド”と呼ばれている。モーターは一個で、イグニッションをヒネればエンジンはすぐにかかるし、加速はエンジン音の高まりと同期するし、加速感も割とフツー。とはいえ、交差点で停止すればエンジンは止まるし、走行距離は短めだがEVモードもある。やっぱり、れっきとしたハイブリッドカーなのだ。

ただねぇ、それが目立たないのよ、特にフィットハイブリッドの場合。実際問題、実用車とは思えないシャープなハンドリングや、しなやかになったとはいえ硬めの乗り心地はいかにも“フィット”だし、担当エンジニアが言うように、パワートレインを共有するインサイトに比べ、よりエンジンの低回転を使うようになって、特に抵抗の少ない低速領域では、静かなエンジン音とも相まって、カーリングのストーンのようにスーッと走る。

そのハイブリッドならではの味わいは、昔より濃くなったとはいえ、やはりフィット。ベースのクルマのイメージが強い。あとは値段も魅力で、“ノーマル”フィットとの値段差は、装備の違いを抜くと20万円ぐらい。
それはまさにターボエンジンとノンターボエンジンぐらいの違いであって、フィットハイブリッドの功罪とは、自らの魅力と価値を白日の下にさらし、ある意味下げてしまったことにほかならないのだ。

今後ますますハイブリッドがフツーな存在になることに間違いはなく、昔でいう「ターボ」や「DOHC」ぐらいの位置づけになっていくのであろう。

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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