スズキ・スイフトXS(FF/CVT)【試乗速報】
モア・ヨーロピアン 2010.09.22 試乗記 スズキ・スイフトXS(FF/CVT)……153万8250円
スズキを代表するコンパクトカー「スイフト」。2010年8月にフルチェンジした新型は、大ヒットとなった先代からどう進化したのか? 上級グレード「XS」を試した。
標準仕様もスポーティ
新型車のプレス試乗会は、夏場だとたいてい箱根で開かれる。"走れる"からだ。だが、それゆえに、箱根の試乗会には落とし穴がある。どんなクルマでも、ついついスポーツカーのように攻めてしまいがちなのだ。「スイフト」も、とくにそういうクルマではない。普通の実用ハッチだからこそ、ウチのヨメさんも先代モデルをまる5年愛用している。走行距離はまだ1万5000kmに届かないが、5年使ってもぜんぜん"ヤレない"のが、国内外で大成功を収めた先代スイフトの脱スズキ的アドバンスだと思う。
話を戻して、フルチェンジした新型スイフト・イン箱根。いつもの悪い癖で最初から飛ばし気味に試乗を始めて、アレっ!?と思った。これ、"スポーツ"だっけ? いや、そんなわけはない。まだスポーツは出ていないゾ。
なんて考え違いを誘発させるほど新型スイフトの第一印象はスポーティだった。いつもより多めにアクセルを踏み込んでも、こっちの予想以上についてくる。エンジンも足まわりも、タダの実用コンパクトハッチとは思えない。試乗車は2WDの「XS」。今回出た1.2リッターシリーズでは最もスポーティなモデルではあるが、タイヤが15インチから16インチになり、ブレーキが多少強化されるくらいで、サスペンションそのものは他と変わらない。パワーユニットは共通だ。
でも、スポーティに感じた最大の要因は、そのパワーユニットにある。1.2リッターエンジンは、パワーもトルクもキャリーオーバーだが、今回あらたにVVT(可変バルブタイミング)機構を排気側にも備えるなどの小改良を受けた。いちばん変わったのはCVTで、従来のアイシン製からJATCO製に切り替わった。効率的な動力伝達のために、副変速機を内蔵したもので、日産が「マーチ」や「ジューク」で採用している。スズキも軽自動車ではすでに使っている。副変速機が付いたら、もう"無段"変速機じゃないじゃん、とツッコミたくなるが、自動で切り替わる2段の減速ギアを備えたこのCVTは、なるほどレスポンスがいい。