トヨタ・ヴォクシーZS G's バージョン・エッジ/ノアSi G's【試乗記】
ボディ固めで味濃いめ 2010.08.10 試乗記 トヨタ・ヴォクシーZS G's バージョン・エッジ(FF/CVT)/ノアSi G's(FF/CVT)……367万1850円/356万1000円
トヨタが、“操る楽しさ”にこだわって企画・開発したカスタマイズモデル「G SPORTS」(通称G's)。その第一弾となる「ヴォクシー G's」と「ノア G's」に試乗した。メーカー純正チューンドカーの実力はいかに!?
ミニバンを素材としたワケ
“G SPORTS”の第一弾が「ヴォクシー」&「ノア」と聞いて「なんだかなあ」とは思ったが、乗ってみると、クルマ好きにうれしい仕上がりになっている。やるじゃないか、トヨタ。2010年4月にマイナーチェンジを施され、前後の外観が少し変わったほかシートアレンジも新しくなった人気ミニバンシリーズのヴォクシーとノア。そして、それをベースとして「走りの味付け」を深く追求する「G SPORTS」仕様が、2010年6月30日に発売された「ヴォクシー G SPORTS」と「ノア G SPORTS」(略称G's)だ。
最初にその背景と内容を紹介しておこう。そもそもの発端は豊田章男氏。異例の若さで社長に就任する前から、「どうもトヨタ車は『退屈だ』と思われているらしい」から、「わくわく運転できるクルマを作ろうよ」が口癖だった。そんな盛り上げ策の一環となったのが、これも自らが提唱したウェブサイトの『GAZOO.com』。それも楽しいバーチャルワールドを描くだけでは足りず、「GAZOO Racing」を結成し、自らレースに出走したり、6段MTと強化サスペンションを持つ「iQ」の特別限定車「iQ GRMN」を発売したり、とても積極的な提案が目立つ。
もちろん「G SPORTS」もその延長線上に位置するプロジェクトで、今あるクルマを素材とし、その良さを生かしながら、メーカー自身でなければできない本格的なチューニングを施したもの。いずれ他車種も俎上(そじょう)に載せられるのだろうが、「まずは最も身近で親しまれているカテゴリーから」ということで、ヴォクシーとノアが選ばれた。
これを愛用するお父さんたちはまだ若く、この間まで「MR-S」や「セリカ」で運転の楽しさを満喫していたのに、家族サービスなどの事情からミニバンに乗り換えなければならなくなり、最近ちょっとガッカリ気味だったりするからだ。そこで、ミニバンでも運転を楽しんでもらおうというのが、このクルマの狙いというわけだ。