アウディA8 4.2 FSI クワトロ(4WD/8AT)/4.2 TDI クワトロ(4WD/8AT)【海外試乗記】
戦う用意はできた 2010.03.04 試乗記 アウディA8 4.2 FSI クワトロ(4WD/8AT)/4.2 TDI クワトロ(4WD/8AT)アウディのフラッグシップ「A8」がフルモデルチェンジ。洗練の度合いを増したニューモデルは、Lクラスサルーン市場の勢力図を変えるのか?
シャシーから一新
今、プレミアムブランドの中でもっとも勢いがあるアウディといえども、「メルセデス・ベンツSクラス」を筆頭とする強大なライバルが割拠するLクラスサルーンの市場では、まだ挑戦者の立場にある。スペインはマラガにて試乗した、6年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型「アウディA8」は、それゆえに相当な力が注がれていることを、ひしひしと感じさせる上々の出来映えだった。
もっとも、明らかにキープコンセプトの見た目だけでは、意気込みは伝わりにくいかもしれない。しかし、下半身の厚みが増して全体の線や面に抑揚がついたそのボディは、旧型と並べれば新しさは一目瞭然。サイズもより長く、より幅広くなっており、実物は押し出し感を確実に強めている。
そしてなによりその顔、特にそのLEDヘッドランプはインパクト大だ。後ろに迫られたら思わず道を譲ってしまいそうな強面は、理屈抜きにカッコ良いというものではないが、鮮烈な印象をもたらすことは間違いない。
アルミ製のボディは、完全に新しい世代のもの。サイズアップし、剛性を静的ねじりで25%向上させながら、車重は「4.2 FSI クワトロ」で1835kgと、先代モデル(本国仕様)とまったく変わっていないのだ。当然、この数値はライバルに対しても、依然として圧倒的に優位に立つものである。
シャシーも当然、完全に一新されている。フロントデフの位置を前に出して前輪の位置を前進させ、ロングホイールベース化を実現しているのは「A4」などと同様。サスペンションもフロントが5リンク式となるなど、すべて見直されている。しかもギア比可変ステアリングシステムのダイナミックステアリング、さらには後輪左右のトルク配分を可変式とするスポーツディファレンシャルまで設定される。
エンジンはガソリンがV型8気筒4.2リッターFSI、ディーゼルがV型8気筒4.2リッターTDIの2種でスタート、少し遅れてV型6気筒3リッターTDIも投入される。いずれも8段ATが標準装備となる。