フォード・マスタングV8 GT クーペ プレミアム(FR/5AT)【試乗記】
直線班長 2009.12.28 試乗記 フォード・マスタングV8 GT クーペ プレミアム(FR/5AT)……480.0万円
スペシャルティカーの代名詞「フォード・マスタング」がモデルチェンジ。V8モデルに試乗し、アメリカのちょっと濃いめの味付けを楽しんだ。
7色のインテリア
ここで紹介する新型「フォード・マスタング」の4.6リッターのV8モデルに乗る数日前に、別の取材で4リッターV6を試乗した。V6に乗っての感想は、「ブイロクで十分じゃん」というもの。その時点ではV8には乗っていなかったわけですが、約1.6トンのボディをゼロ発進からスムーズに加速させ、高速巡航でも粛々と仕事をするV6には、なんの不満も感じなかった。それどころか、いい具合に焼けたステーキからにじみ出る肉汁のようなトルク感を生むV6ユニットは、このクルマの魅力のひとつであるとさえ感じた。V8モデルは肉汁がさらに濃厚になっているのか、あるいはスパイシーな味付けになっているのか。興味津々で乗り込む。
“新型”とはいえ、マスタングのプラットフォームは2005年から09年まで生産された先代と共通。フロントマスクを中心にお色直しをして、さらに多少のパワーアップを図った今回のモデルチェンジは、フルモデルチェンジというよりも大がかりなマイナーチェンジに近いかもしれない。V6とV8、さらにそれぞれのコンバーチブルをラインナップするのも先代と同じだ。V8モデルのV6との外観上の違いは、フロントグリル内で2灯のフォグランプが丸い目をパッチリ見開いている点。ただし日本仕様は法規の関係でフォグランプとしては機能しないため、「フロントアクセサリーランプ」というビミョーな名称になっている。
シートに腰掛けてキーをひねると、一瞬ボディがぐらりと揺れてからエンジンが始動、低くて重いアイドル音が耳に届く。暗い駐車場の中でライトを灯してちょっとギョッとしたのは、メーターパネルやカップホルダー、それに足元を照らす照明がオレンジ色だったから。しかも映画に出てくるアメリカのドライブインの看板みたいに毒々しいオレンジ。これは、メーターパネルのバックパネルの色を125色から選べる「MyColorイルミネーション」と、照明の色を7色から選べる「アンビエント・ライティング」によるもの。おもしろいのでハワイのカクテルみたいなブルーでそろえてみたら、チープだけどポップな空間になって楽しくなった。