フォード・クーガ インディビデュアル(4WD/5AT)【短信】
素直な個性派 2012.10.28 試乗記 フォード・クーガ インディビデュアル(4WD/5AT)……398万円
フォードの中型SUV「クーガ」のラインナップにこの秋、「インディビデュアル」が加わった。このスポーティーに装った最上級グレードは、いかなる走りを見せるのか。
巻き返しを図る欧州フォード
「フォード・クーガ」は、フォードはフォードでもヨーロッパ・フォードが開発したSUVだ。日本におけるヨーロッパ・フォードは、オペル同様、非プレミアム欧州車として、通が選ぶクルマの地位を得ていた。今でも「Ka」「フィエスタ」「フォーカス」「モンデオ」などに大切に乗り続けるファンは少なくない。多くもないが。
けれど、本来コストパフォーマンスに優れるはずの非プレミアム欧州車も、日本へ持ってくるとそこそこいいお値段となってしまうため、高級なブランドだと喧伝(けんでん)せざるを得なかったり、本国でオプションの装備をてんこ盛りにして売らざるを得なかったりして、魅力が伝わりにくい面があった。
モンデオなんて「ホンダ・アコード」や「トヨタ・カムリ」と同じ価格ならもっと善戦したはずだ。イタリア車やフランス車、それにアメリカ車も根本的には同じ問題を抱えているのだが、彼らには日本車とは似ても似つかないデザインやコンセプトがあり、ひと目ぼれしているうちにサッと契約させることができる!?
そんなこんなで、非プレミアム欧州車は日本での商売が難しく、オペルは取り扱いがなくなってしまったし、フォードも一時期ヨーロッパ製フォードの輸入を取りやめ、「マスタング」や「エクスプローラー」など、わかりやすいアメリカ〜ンなプロダクトばかりを取りそろえていた。
が、2010年に発売したこのクーガからヨーロッパ製フォード車の輸入を再開した。さらに来年にはフォーカスの再輸入も決まっている。円高を背景に再チャレンジ! という単純な話ではないのだろうが、クーガの場合には長年販売し続けた「エスケープ」の後継としての意味合いもある。
フォーカスとクーガはプラットフォームを共有する。ということは、当時は同じグループだったマツダの「アクセラ」とも血がつながっているということになる。『週刊朝日』のように血脈がどうのこうの言うつもりはないが、クーガにもあの辺のボディー剛性感を思い浮かべてもらっていい。