メルセデス・ベンツSクラス ハイブリッドロング(FR/7AT)【試乗速報】
日本車を追いかけて 2009.09.18 試乗記 メルセデス・ベンツSクラス ハイブリッドロング(FR/7AT)……1489.6万円
メルセデスの旗艦「Sクラス」に、ハイブリッドモデルが加わった。欧州生まれのハイブリッドカーは、どのような味付けなのか? 一般道を中心に試乗した。
リチウムイオン電池を採用
今年大注目のハイブリッドカーなのに、しかも“天下”のメルセデス・ベンツの新型車なのに、あまり注目されていないのはどうして? と思ってしまうのが、今回乗った「Sクラス ハイブリッドロング」である。
フルモデルチェンジではないからニュース性はイマイチだし、1000万円を超える価格は多くのユーザーには無縁だし、「輸入車初のエコカー減税!」といっても庶民からは反感買いそうだし、なにより国内には10車種ものハイブリッドカーがある。こんな状況では静かな船出もやむなし、だったのかもしれない。
メカニズムも、いつも威風堂々としたメルセデスとは思えぬほど控えめだ。エンジンはSクラスではもっとも小さな3.5リッターV6をベースに、アトキンソンサイクル化などの最適化を施したもので、279psと35.7kgmを発生。直後に配置される薄型モーターは20ps、16.3kgmにとどまる。7段ATを介して後輪を駆動する点は、他のSクラスと同じだ。
ハイブリッドシステムはホンダと同じパラレル式で、アイドリングストップ、加速アシスト、回生ブレーキは行うが、モーターで発進はしない。「な〜んだ」という声が聞こえてきそうだが、注目すべき点もある。量産ハイブリッドカーで初めてリチウムイオン電池を使い、それをエンジンルーム内に収めることでガソリン車と同じ524リッターのトランク容量を確保したことだ。
ケータイやパソコンで発火事故が起きた事例もあるリチウムイオンを、エンジンの近くに置いて心配ないの? と不安を抱く向きもあろうが、メルセデスはエアコンの冷風を通して、温度を15〜35度に保つという技で対処した。たしかに停車中にボンネットを開けて手をかざしても、全然熱くなかった。
でもさすがに直後に運転席を置くことははばかられたのか、日本仕様も左ハンドルだけである。車体はわが国での販売の7割を占めるロングボディのみだ。