ポルシェ・ボクスターS(MR/7AT)【試乗記】
ポルシェのすすむ道 2009.06.30 試乗記 ポルシェ・ボクスターS(MR/7AT)……1011万7000円
310psを発生する3.4リッターエンジンに、新型トランスミッションPDKを組み合わせた、オープンミドシップスポーツ「ボクスターS」。燃費向上や環境性能にも配慮した最新ボクスターの走りを試す。
13年の歴史
「ポルシェ・ボクスター」が登場したのは1996年。それ以降、排気量アップや高性能版「S」の追加、タイプ「986」から「987」への進化などを経て、2008年大掛かりなメカニカルチェンジを実施した。内容は現行「911」と同じで、エンジンの直噴化(ボクスターS)とデュアルクラッチ式トランスミッションPDKの導入がトピックだ。
この間基本構造を変えずに13年。水冷ボクサーエンジンを積んだ新世代ポルシェの旗手として誕生したボクスターも、いつしかロングセラーの名が似合うスポーツカーになったというわけだ。
13年という時間はなにを変えたのか。いちばんの違いはドライビングの快適性だ。試乗した「ボクスターS」は、3.4リッターから310ps/36.7kgmを発生する。初期の2.5リッターは204ps/25.0kgmだったから約1.5倍だ。
その結果、当初は線の細さを感じた加速はいまや強烈という表現が似合うほどになった。でもそれ以上に、回転を上げなくても俊敏なダッシュが手に入るので、ラクに速いという印象のほうが大きい。
排気量が1リッター近く拡大されたことで、スポーツカーユニットらしいメリハリは薄まりつつある。でもそれが乗りやすさに直結しているのは事実だし、4000rpmあたりでフォーッという抜けのいい音を響かせつつ、吹け上がりが勢いづくという演出は健在だ。