“あの人”もごく普通のポールペンを愛用していた

そのようにボールペンを遊びに使っていたボクが、大学を卒業すると日々ボールペンを使うジャーナリストという職業に就いてしまった。それも、こともあろうに前述の“反スーパーカー”姿勢を貫いた『CAR GRAPHIC』を出している出版社だった。

上司は同誌初代編集長の小林彰太郎氏だった。
「小林氏あたりになると、立派な筆記具を使っているんだろうな」と思っていたボクだったが、小林氏が新米記者だったボクに薦めたのは、なんの変哲もないBicの青ボールペンだった。その名も「Orange」という、軸がオレンジ色の、あれである。
それを聞いたボクは拍子抜けしたものの、実際Bicのボールペンは文字の太さといい、ボールの転がり抵抗といい、そしてボールペン自身が持つ手に要求してくる筆圧といい、絶妙であった。そのうえ100円前後だから、無くしても落としても悔いはない。いわゆるクオリティーとプライスのバランスがえらく良い。
以来ボクもBicの愛用者となり、中学生のとき以来使っていたクロスの銀張りボールペンは机の引き出しにしまい込んでしまった。

Bicカヤックのロゴ。
Bicカヤックのロゴ。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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