マセラティ・クアトロポルテS(FR/6AT)【試乗記】
磨かれた艶めき 2009.04.07 試乗記 マセラティ・クアトロポルテS(FR/6AT)……1753.1万円
フェラーリ譲りのエンジンを積むスポーティサルーン「マセラティ・クアトロポルテ」に、フェイスリフトが施された。ATの採用と同時に加わった上級グレードで感じた、このクルマの魅力とは……。
より精悍な表情に
その華やかさは相変わらず。2004年に日本に上陸した5世代目となる「マセラティ・クアトロポルテ」のエクステリアは、5年が経った今でもまったく色褪せることのない優雅さを湛えている。
2008年秋に行なわれたマイナーチェンジは、その美しさをさらに際立たせるものだ。フロントグリルやバンパー、サイドスカートなどのデザインを刷新し、フロントのポジションランプやテールランプにLEDを採用するなどしたことで、イメージを違えることなく、より精悍な表情をつくりだしている。古さなんて、まだまだ感じさせはしない。
この小変更と同時に投入された新グレードが、「クアトロポルテS」だ。長いノーズの下に収まるV型8気筒ユニットを、従来の4.2リッターから、グラントゥーリズモS用をリファインした4.7リッターに載せ換えたのが、その最大の特徴。赤く塗られたヘッドカバーをもつこのエンジンは、最高出力430ps、最大トルク50.0kgmというスペックを誇る。4.2リッターとの差は30ps、5.0kgmにも及ぶが、求めたのは単純な数字ではない。たとえば2500rpmの段階で最大トルクの8割以上を発生するなど、よりフレキシビリティに富んだ特性を実現し、しかもシリンダーライナーの低摩擦コンパウンド仕上げ、クランクシャフトのバランス取りなど、丁寧な作業によってフィーリングも大幅に向上させているのである。
このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、トランスアクスル式のロボタイズドMTではなく、6段ATとなる。しかし、そのプログラムは4.2リッターモデルよりスポーティ志向の専用品とされている。