プジョー207スタイル(FF/5AT)【試乗記】
芳醇なフレンチミニ 2009.03.19 試乗記 プジョー207スタイル(FF/5AT)……210.0万円
207のラインナップに突如舞い降りてきた、エントリーモデル「207スタイル」。このクルマ、廉価ではあっても、ビギナー向けではないようだ。
207シリーズで唯一、シーケンシャル5段MTを搭載
「スタイル」は、コンパクト系プジョーの中でもベーシックラインを受け持つ、カジュアルな車種を示す名称。全長4m級のチャーミングなカプセル「207」にも、2008年の夏にスタイルが加わった。これで207は、標準モデルを含め上級仕様のフェリーヌとシエロ、スポーティなGT、さらに筋肉質のGTiまで、3/5ドアのハッチバックだけでも6車種が勢ぞろいしたことになる。そのうちフェリーヌとシエロだけがATと、かなりマニア受けしそうな組み合わせなのもおもしろい。
その中でひときわ特徴が際立つのがスタイルで、ただの5段MTではなく、同シリーズとしては初めて2ペダルのシーケンシャル5段MTを搭載する。もちろんフルオートモードも選ぶことができ、その名をRMT(ロボタイズド・マニュアル・トランスミッション)という。207は大好きだが、長年ずっと使われてきた4段AT(AL4)では少し物足りないし、だからといって3ペダルの5段MTでは、洒落たシティカーとして使うのに面倒くさい、と思っていたファンがいたとすれば、とてもぴったり来る組み合わせだろう。これならAT限定免許でも、MTらしい素直なダイレクト感を満喫できる。
フロントに横置きされて前輪を駆動する4気筒ツインカムは、シリーズで最も小さい1360ccで、最高出力は88ps/5250rpm、最大トルクは13.6kgm/3250rpmにすぎず、207(1598cc)の120ps、16.3kgmとくらべるとかなり見劣りする。しかし本国では、同じ1.4リッターでも73psの仕様からあって、それでも立派にオートルートを疾走し、パリの渋滞も駆け抜けているのだから、問題ない。少し上乗せした88ps版なら、発進停止の多い日本でも通用するはずだ。