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【スペック】全長×全幅×全高=4585×1760×1515mm/ホイールベース=2635mm/車重=1410kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブ(154ps/6000rpm、20.2kgm/4250rpm)/価格=216万3000円(テスト車=252万7350円)

三菱ギャランフォルティス スポーツバック スポーツ(FF/CVT)【ブリーフテスト】

三菱ギャランフォルティス スポーツバック スポーツ(FF/CVT) 2009.02.04 試乗記 島下 泰久 ……252万7350円
総合評価……★★★★

ギャランフォルティスシリーズに、5ドアハッチバックの「スポーツバック」が追加された。5ドア人気の高い欧州ターゲットモデルに、リポーターは好評価を下した。その理由は……。

普段使いの良き相棒

「ギャランフォルティス」の新たなラインナップは、「スポーツバック」の名で呼ばれる5ドアハッチバックである。過去に三菱が販売していた「エテルナ」「ランサー」の例を持ち出すまでもなく、かつて日本ではまったく人気のなかった5ドアハッチバックだが、最近では「トヨタ・オーリス」や「スバル・インプレッサ」「マツダ・アクセラスポーツ」など、いくつかのモデルが安定した販売実績をあげている。セダンが「ギャラン」の名を使うことで既存の三菱セダンユーザーの代替需要の受け皿とされているのに対して、このスポーツバックの狙いは、これらの市場に食い込み、新規ユーザーを獲得することだと見るべきだろう。

特徴は、まずはスタイリングだ。逆台形グリルをフィーチャーしたフロントマスクと、大きく寝かされたテールゲートによって印象はグッとスポーティに。「ツーボックス」と呼びたくなるライバル達に対して、こちらはややクーペ的というか、よりカジュアルな雰囲気に仕上げられている。
しかし、決してユーティリティが犠牲にされているわけではない。大開口のテールゲートの存在はもちろん、空間を最大限に活用するパッケージングや使い勝手の良いアレンジは、普段使いのパートナーとして申し分ないものといえる。

走りっぷりも意外と言っては失礼だが、これが悪くなかった。試乗車の「スポーツ」の場合、特に技術的に注目すべきポイントがあるわけではなく、饒舌に魅力をアピールしてくるタイプでもないのだが、動力性能とハンドリング、乗り心地のバランスの良さには目を見張るものがある。どこにも嫌な引っ掛かり感がなく、しかも乗り手の意思を上手に汲んでくれるから、走らせていて爽快なのである。
週末に刺激を求めて乗るのなら、違う選択肢もあるかもしれない。しかし普段使いの良き相棒としてなら、このスポーツバックは結構イイ線をいっている。毎日じわじわと幸せを実感してくれる、そんな気がする。評価は悩んで4つ星としたが、心情的には4.5をあげたいところだ。

それにしても、こんな良い意味でのカジュアル感をもったクルマが「ギャラン」なのは、やはりチグハグな感じがしないでもない。セダンはともかく、こちらにこそは「ランサー」の名を与えても良かったのでは……? 引っ掛かるところがあるとしたら、そんな些細なことぐらいである。

三菱 ギャランフォルティス の中古車

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
ミディアムセダン「ギャランフォルティス」の、5ドアバージョンとして2008年12月に追加設定されたのが「ギャランフォルティス スポーツバック」。欧州では「ランサースポーツバック」の名で販売される。
基本的なコンポーネンツはセダンのものと共通。3種あるグレードの「ツーリング」と「スポーツ」は、2リッター直4+6段マニュアルモード付きCVTの組み合わせで、FFと4WDをラインナップ。ハイパフォーマンスな「ラリーアート」グレードのみ、ターボ付きエンジンを搭載し、2ペダルMTたるツインクラッチSSTを介し、4輪を駆動する。

(グレード概要)
試乗車は中間グレードの「スポーツ」。本革巻きのステアリングホイール&シフトノブやディスチャージヘッドライトなどの装備に加え、スポーツサスペンション、フロントストラットタワーバー、前後16インチの大径ディスクブレーキが奢られる。タイヤサイズはツーリングの16インチに対し、2インチアップの18インチ。

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★
インストゥルメントパネルからドアトリムにかけての、いかにもプラスチック然とした素材は、どうしても雰囲気をチープなものにしてしまう。しかし、高さを抑えて直線基調でまとめたスッキリとしたデザインのおかげで、それほどイヤな感じもない。むしろ道具として考えれば、妙に気取っていないほうがいい。
しかし細部を見ると、ステアリングホイールやシフトノブなど毎日手を触れる肝心な部分には、手にしっとりと馴染むレザーが巻かれているし、シフトパドルはマグネシウム製。瞬間/平均燃費など各種情報を表示して運転に役立てることができるマルチインフォメーションディスプレイにクルーズコントロール、オートライトに雨滴感応オートワイパーなど、最近の三菱車の常で、装備も充実している。ダイヤル式の空調操作パネルは、直感的な操作が可能だ。
高級という感じはしないけれど、使い勝手も装備も及第点をはるかに上回る。そう評価することができるだろう。

(前席)……★★★★
シートの表皮はスエード調ニットと呼ばれる、滑りにくい素材。サイドサポート部分のジャージっぽい風合いの素材はドアトリムにも反復されていて統一感を演出している。見た目はどうということはないが、座ってみるとサイズはたっぷりとしているし、背もたれの形状がよく吟味されていて、背中を心地良く支えてくれるなど、実際の座り心地はなかなかの好印象だ。
手動の調整式レバーが樹脂製で、まるで剛性感のないつくりであることとか、細かな部分で損をしているとは思うが、全体に真面目なつくりは悪くない。

(後席)……★★★
余裕ある室内長を活かして、後席のスペースにはまるで不足を感じる部分はない。身長177cmの筆者が座ってみても、頭上にも横方向にもしっかり寸法が確保されているし、膝の前には握り拳が縦に1個以上入るだけの余裕がある。ただし、シートクッションはやや張りが強く、落ち着いて座れない感もなくはない。また、足元フロアも広さはいいのだが、爪先が入るフロントシートの下あたりに、手前側が高くなる段差があるのが気になる。細部の煮詰めで、もっと心地良い空間となるはずだ。

(荷室)……★★★★
どんな荷物も難渋せずに飲み込んでくれそうな大きな開口部をもつテールゲートを開くと、出現するのは広くフラットなスペース。最大幅は1395mmもあるから、ゴルフバッグなどの積み込みも容易に違いない。また、テールゲート側からのレバー操作で、リアシートの背もたれは左右別々に前に倒すことができる。それでも荷室はほぼフラットなまま。奥行きは約1570mmにも達する。
フロアボードは片手で簡単に高さを2段階に調整することができる。上段にしておけば荷室はフラットになり、容量を稼ぎたい時は下段にすれば、高さ90mm分を稼ぎ出すことが可能。スキートンネルがあれば完璧だったかもしれないが、現状でも機能は非常に充実しているといえるだろう。


三菱ギャランフォルティス スポーツバック スポーツ(FF/CVT)【ブリーフテスト】の画像 拡大

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クリックすると、シートアレンジによる荷室の変化が見られます。
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【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
連続可変バルブタイミング機構のMIVECを搭載した2リッターユニットは、CVTと組み合わされる。さすがCVTに関しては手慣れているだけに、発進はスムーズで力強く、特有の回転上昇の先行感もない、きわめてリニアなフィーリングを実現している。その後の加速も同様。エンジンは低回転域からしっかりとトルクが出ていて、アクセルの踏み込み量は最小限でも、スーッと心地良く加速してくれる。
ランサーエボリューションと同じマグネシウム合金を用いたシフトパドルは、その材質だけでなく、なかなかの操作感をも誇る。Dレンジからの操作ですぐにマニュアル変速が可能で、その変速スピードも実用的。もともとのエンジンとCVTのマッチングの良さから、あえてマニュアル変速したくなる場面はそれほどないのだが、エンジンブレーキを活用したい時などに、とても有効なのはたしかだ。
総じてドライバビリティに文句はない。胸躍らせるような部分が濃いかといえば、そうでもないが、思いのままに心地良く走るさまは、使っていて実に良い気分にさせてくれる。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
走り出して、まず好感触を覚えるのが、しっとりとしていてナチュラルなステアリングフィール。クルマの今の状況が掌にしっかり伝わり、操舵に対して正確にレスポンスし、そして雑味が少ない。これだけで、真面目につくられたクルマを操っているなという気分にさせてくれる。
乗り心地も良かった。三菱車の多くに見られる味つけで、基本的には非常にソフト。そのぶん、大きな入力に対してはガツンと底付きしてしまいがちではあるが、ボディがテールゲート付きとしては高い剛性を確保しているせいもあってか、総じて快適に過ごすことができる。18インチタイヤを履いているのだと考えれば、なおのことポイントは高い。限界的な挙動などは試していないが、ステアリングの操舵感の通りコーナリングは素直で、ソフトに思えたサスペンションも、当然大きめに動きはするものの、余計なお釣りまでもらってくるわけではないので、意外なほど不安感はない。直進性の良さも、大いに満足できるものだった。乗用車としての心地良い走りのつくり出し方、演出力には高い点数をつけることができそうだ。

(写真=高橋信宏)

【テストデータ】

報告者:島下泰久
テスト日:2009年1月14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:2666km
タイヤ:(前)215/45R18(後)同じ(いずれも、ヨコハマADVAN A10)
オプション装備:ルーフスポイラー=4万2000円/7インチワイドモニターHDDナビゲーション+リアビューカメラ=22万5750円/サイド&カーテンエアバッグ=8万4000円/寒冷地仕様=1万2600円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(5)
テスト距離:123.2km
使用燃料:16.31リッター
参考燃費:7.55km/リッター

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