ジャガーXF 3.0プレミアムラグジュアリー(FR/6AT)【ブリーフテスト】
ジャガーXF 3.0プレミアムラグジュアリー(FR/6AT) 2008.07.31 試乗記 ……776.0万円総合評価……★★★
ジャガーの新世代スポーツサルーン「XF」。今までのジャガーとは異なるディテールを持ち、その走りにも期待が高まるモデルだ。3リッターモデルでその乗り味を試す。
ジャガーだから価値がある
モデル的には「Sタイプ」の後継車種となるジャガーのミディアムサルーン「XF」。ただしその外観からもわかるように、内側ライトをシャープに切れ込ませることで「伝統の丸目2灯」を敢えて廃し(入門モデルといえるXタイプがより逆にこれを強調しているのが面白い)、意欲的にジャガーの未来を切り開こうとする、ニューエイジコンセプトをはらんだモデルである。
ゆえにボディシェイプもいわゆる箱型セダンではなく、4ドアクーペ的スタイルだ。ただしジャガーも実際の車内空間は狭苦しくしたくない。果たしてできあがった姿は、事前に発表されたショーモデルほどのやり過ぎ感はなくなったが(それはまるでXKセダンとも言えるものだった)、より現実的なサイドグラスエリアを持ちながらも、セダンとしては美しいプロポーションとなった。このバランスを一歩間違えたら、実に中途半端なものとなっただろう。
こと日本という環境においては今の時代、とりたてて広くもなく、荷物も満載できず、5人しか乗れないセダンを選ぶ理由は希薄だ。それでもセダンを選ぶ理由は、このクルマの場合なら、「ジャガーだから」だろう。
そんなブランドへの期待値に後押しされ、XF購入を決断したら、そのドライバーは自分がブランドバリュー以上の価値を手に入れたことに気づくはずだ。
これまでのジャガー路線とは違ってかなり斬新なデザイン。ゆえに好き嫌いはハッキリ分かれそうである。4ドアクーペを実践するスタイルは美しいが、そのディテールは意地悪く言えば、「前からみたらレクサス、後ろを見ればアストン」のようにも見える。ドアやフロントウィンドウの縁取り、トランクなどに飾られるメッキモールはきらびやかだが、どうも二番煎じな印象もうける。もともとはイギリスのお家芸ともいえる手法ではあるのだが。
これを打ち消すためにもボディカラーの選択は重要。個人的には試乗車のラディアンスレッドは「レクサスGS」的すぎて、もっと寒色系のほうが似合ってると思えた。イメージカラーであるフロストブルーや、ルナーグレイなどを選ぶと、やっぱりジャガー。二次元でこれを伝えるのは難しいから、ぜひとも実車をご覧あれ。