アウディS5 4.2FSI クワトロ(4WD/6AT)【試乗記】
大人の高性能クーペの逸品 2008.06.23 試乗記 アウディS5 4.2FSI クワトロ(4WD/6AT)……883.0万円
「アウディA5」のハイパフォーマンスバージョン、「S5」。流麗なボディに高出力エンジンを組み合わせ、どんなクルマに仕上がったのか?
機能に裏付けられたエレガンス
その美しさは、単に巧みな造形のみによってもたらされているわけではない。アウディS5が美しいのは、その流麗なフォルムの向こう側に優れた機能が透けて見えるからだ。
古典的なクーペの文脈を踏まえながら、プロポーションを現代的なものと感じさせるA5/S5の短い前後のオーバーハングは、前輪位置を前に出すことで、相対的なエンジン搭載位置を後ろに下げた結果である。手の込んだ凹面のプレスで描かれたフェンダーラインは、実は4輪のホイールアーチを強調するもの。クワトロの4輪で大地を蹴るさまをかたちに表している。
アウディといえば、これまでもそのデザインは機能に裏付けされたものではあったと言える。しかし、それをここまでエレガンスと強く結びつけるとは……。何度見ても感心し、見入ってしまう力が、その外観には宿っているのだ。
S5にはさらに、専用のグリル、前後バンパー、スポイラー形状のトランクリッドにシルバー塗装のミラーなどが与えられているが、いずれもその姿にすんなり溶け込み、それでいてどこか特別な雰囲気をも匂わせる。そして実際、その走りっぷりも期待を裏切らない仕上がりとなっている。