BMW 328iモダン(FR/8AT)【試乗記】
価値ある変化 2012.02.13 試乗記 BMW 328iモダン(FR/8AT)……645万2000円
BMWの基幹モデル「3シリーズ」の新型が日本上陸。さて、その仕上がりは? 新たな2リッター直4ターボを搭載する「328i」で確かめた。
止まっていても駆け抜けている
ずいぶんと早く試乗会場に着くと、すでに新しい「BMW 3シリーズ」が並んでいた。「カッコいい……」。「アルファ・ロメオ156」以来だろうか? 久々に骨太の(!?)うれしい驚きをもって、ニューモデルを眺めた。
東京モーターショーで展示された、息をのむようなハンサムカー、未来派のコンセプトモデル「i8」。そのイメージを上手に採り込んだ、“止まっていても駆け抜けている”スポーティーなセダンが、「F30型」3シリーズである。低い位置に置かれたヘッドランプ、相対的に盛り上がりが強調された筋肉質なボンネット。リアへ駆け上がるキャラクターラインは、先代の、薄い布をヒョイとつまんだような上品さは薄れ、ヘラで削ったかにライン下部が抉(えぐ)れて、力感が強められた。空力への配慮を直感させる、かすかにキックしたトランクエンドの処理もスタイリッシュだ。
真横から見ると、リアバンパーまわりがちょっとモタついているのが残念だが、一歩動いて斜め後ろから観察すると、前と後ろ、それぞれのフェンダーが外側へ張り出しているのがハッキリして、精悍(せいかん)。
「顔付きは、『Z4』のアクを漉(こ)して万人向けにした感じだなァ」「リアまわりは、『BMWの典型的なL字型ライト』はともかく、『7シリーズ』っぽい」「キャビンのフォルムは居住性を考慮して意外と丸っこい。にもかかわらず、後輪駆動らしいフロントの長さとボンネットまわりのデザインを生かして、いかにも低く構えた印象を与えているのがさすが」「ヘッドライトとのつながりを意識して、キドニーグリルの外側をあえて露出しているところがニクイね」などなど、興奮冷めやらぬ脳みそに、次々と駄メモが書き込まれる。
18インチのホイールを見ながら、「あと半巻きほど車高を落としてタイヤとホイールアーチの隙間を詰めればさらに……」などと、つい20世紀的な嗜好(しこう)が頭をよぎってしまうあたりに観察者の限界が露呈するが、それはともかく、「そろそろ買い換えを……」と考えているガイシャオーナーの間では、新しい3シリーズ、大いに話が弾むんじゃなかろうか。