ランドローバー・レンジローバー イヴォーク クーペ ダイナミック/イヴォーク ピュア【試乗記】
才色兼備のベイビーレンジローバー 2012.02.28 試乗記 ランドローバー・レンジローバー イヴォーク クーペ ダイナミック(4WD/6AT)/レンジローバー イヴォーク ピュア(4WD/6AT)……640万円/496万円
コンセプトカーがそのまま路上に降り立ったかのような「レンジローバー イヴォーク」。この当代一のスタイリッシュSUVは、箱根でどんなフットワークを見せるのか。
5ドアと3ドアの同時発売
2008年のデトロイトショーにコンセプトカーとして登場した「LRX」の市販バージョンが「レンジローバー・イヴォーク」だ。コンセプトカーの名前が「RRX(レンジローバーX)」ではなく、「LRX(ランドローバーX)」だったということは、08年段階ではレンジローバーとして売るか、それともランドローバーとして売るか、決まっていなかったのかもしれない。それはともかく、レンジローバーを「ヘビーデューティーもこなせるプレミアムSUV」、ランドローバーを「プレミアムSUVにも引けをとらないヘビーデューティー」と分類するなら、イヴォークはレンジローバーの一員であるべきだと、乗ってみて感じた。
試乗前には“カッコスペシャル”なんだろうと思っていた。手持ちのリソースを用い、デザインに力を集中させることでモデルを増やす、どのメーカーもやっているもうけ主義の金太郎あめ商法かと。イヴォークを説明するのに、プラットフォームを「ランドローバー・フリーランダー2」から、エンジンをフォードからそれぞれ拝借して、ボディーだけオリジナルをかぶせた、はやりのクロスオーバーと説明することもできる。が、その説明は正しいようでいて、実際にはまったくふさわしくない。
その説明がなぜふさわしくないかを説く前に、クルマの概要を。5ドアと3ドアがあり、5ドアを「イヴォーク」、3ドアを「イヴォーク クーペ」と呼ぶ。イヴォークには「ピュア」と「プレステージ」、クーペには「ピュア」と「ダイナミック」と、それぞれふたつのグレードが用意される。5ドアと3ドアは全長、全幅、ホイールベースは同じ。全高のみクーペ(1605mm)のほうが3cm低いのだが、デザイン処理が秀逸なので、ドアの枚数以外は全く同じデザインに見える。見分けるには、外から眺めるより運転席でルームミラーを見たほうがいい。クーペのリアウィンドウは「のぞき窓かよ!」ってくらいに天地方向に薄いから。視認性は確保されている。本国にはリア定員2人の4人乗り仕様もあるが、日本仕様は5ドアも3ドアも5人乗り。
エンジンは1種類で、2リッター直4の直噴ターボを横置きする。ハルデックス製センターカップリングを採用したオンデマンド式の4WDも全車共通。レンジローバーが始め、その後多くのSUVが取り入れた「テレイン・レスポンス」(エンジンレスポンス、ギアボックス、ブレーキ、スタビリティコントロールを統合制御して、駆動力を最大限に引き出すシステム)のほか、210mmのロードクリアランス、500mmの渡河水深限界と、レンジローバーを名乗るだけのオフロードスペックを備えている。
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