
ジャガーについて話をする時には、かつて“猫足”といわれた乗り心地について触れないわけにはいかないだろう。実際、XJ SUPERSPORTのステアリングを握っていると、他の同等のサイズのサルーンたちとは、明らかに違ったフィーリングが伝わってくる。車体を路面に強引に押さえつけるのではなく、強靱(きょうじん)なボディーを土台にサスペンションを柔らかく動かし、しなやかに軽やかにタイヤを路面へと接地させる。これはジャガー独特の持ち味だ。
その上、ステアリングはクイックだから、強引な操作をすると姿勢を乱すことも。そうではなくXJを操るには、行きたい方向を見据えて、スッと舵(だ)を“当てて”やればいい。すると、思った方向へときれいに、導かれるように向きが変わっていく。このターンインが決まると、この上なく気持ちがいい。
ボディーの大きさを意識させられることは皆無。ドライバーがクルマを操るというよりは、両者が有機的に溶け合って一体となったかのような感覚。これこそXJ SUPERSPORTをはじめとする、ジャガーのフットワークの真骨頂である。