三菱自動車の新型「アウトランダー」の開発コンセプトは明快だ。開発のまとめ役を務めたC & D-seg商品開発プロジェクト マネージャーの前 勝美氏によれば、「上質」「安全」「環境」が三本柱だという。
「従来型は特徴が非常にはっきりとしたモデルで、スポーティーな走行性能と7人乗車できる3列シートが支持されました。ただし、この二つがやや突出しすぎている感もありました。そこで特徴は生かしつつ、上質さと安全性能、そして燃費を向上させて、バランスのいいSUVに仕上げたいと考えたのです。もちろん、『パジェロ』や『ランサーエボリューション』で培ってきた四駆の技術もさらに磨き上げていますが、ポイントは上質と安全と環境です」
前氏は、さらに具体的に“三本柱”について説明してくれた。
「お客さまに上質さを感じていただくために、主にデザインの質感と乗り心地の向上に取り組みました。安全に関しては、予防安全技術の『e-Assist(イーアシスト)』を搭載しています。e-Assistとは、ミリ波レーダーとカメラを用いて衝突を回避したり被害を軽減したりするためのシステムです。燃費に関しては……、これは何か特別な解決策があったわけではなく(苦笑)、パワートレインの高効率化や車体の軽量化など、総力戦で目標を達成しました。このあたりの苦労話は、ぜひ担当した技術者から話を聞いてください」
技術者のみなさんやデザイナーにお話をうかがう前に、商品企画部の篠崎哲夫主任が興味深い話を聞かせてくれた。従来型アウトランダーとは異なり、新型アウトランダーには“弟”がいるというのだ。
「従来型アウトランダーがデビューした5年後の2010年に、『RVR』が発表されています。したがって、もう少しコンパクトでスポーティーなSUVという役割はRVRに任せることができた。新型アウトランダーは“兄”として、もう少し大人っぽいクルマ作りをすることができたのです」
では、上質で大人っぽいモデルに仕上げたという部分を、まずはデザイン面から見てみたい。
C & D-seg商品開発プロジェクト マネージャー
商品企画部 主任