「意外にもすごく静かで振動も少なかったんですよ!」
試乗を終えて帰ってきた藤島知子さんは、驚いたような表情を浮かべている。乗っていたのは、ブリヂストンの「BLIZZAK(ブリザック)VRX2」を装着した「アウディA1スポーツバック」。横浜みなとみらいの市街地や高速道路の湾岸線を走ってきたのだ。冬の訪れはまだ先のはずだが、スタッドレスタイヤをテストしたというのは、やはり、備えは早めにしておいたほうがいいということなのだろうか。
「スタッドレスタイヤは雪や氷の上で性能を発揮することが目的ですね。私は仕事柄、四輪駆動車のテストなどで雪上試乗をすることが多く、スタッドレスタイヤのありがたみは身に染みています。ただ、都会に住んでいる人は、いつも雪の上を走るわけではありません。冬の間も9割以上はドライやウエットのアスファルト路面で運転するわけですから、スタッドレスタイヤの意義を知らない人もいるかもしれません。実際、都内で雪が降った時に夏タイヤで無理やり坂道を上ろうとしている非常に危険なクルマを見たことがあります」
一定の期間は雪道ばかりを走ることになる北国はもちろんだが、実は雪の少ない首都圏でもスタッドレスタイヤは必要だ。気温が3℃以下になると路面が凍結することもある。急に気候が変化してからでは間に合わない。夏タイヤでは、出かけることすら不可能になってしまう。だから、冬が来る前にあらかじめスタッドレスタイヤに交換しておくのが安全運転の心得なのだ。雪に対する大切な備えなのだが、アスファルトの路面を多く走ることになるのも事実である。
「だからこそ、スタッドレスタイヤは氷雪路での性能と同じぐらいオンロードにおける性能も大切なんです。いざという時のためにスタッドレスタイヤを装着するけれど、雪が降らない時はガマンしなければならないというのが以前の常識でした。でも、ブリザックVRX2はオンロードでもしっかり走りますね。一昔前は、スタッドレスタイヤは腰砕けになるという印象がありましたが」
雪道での性能を確保するために、アスファルト路での走りはある程度犠牲にせざるを得なかったのだ。ハンドリングが悪かったり、ロードノイズが大きかったりするのは仕方がないことだとされていた。
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クルマの魅力を女性目線と走り好きの目線で日々リポートしている、モータージャーナリスト藤島知子さん。雪道を走るときや凍結の心配があるときには必ずスタッドレスタイヤ装着のクルマを運転するという藤島さんは、「毎日氷雪路を走るわけではない地域のドライバーも、いざという時の備えとして意識的にスタッドレスタイヤを装着することが重要」と語る。
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今回試したのは、ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザックVRX2」。氷上でのブレーキ性能、摩耗ライフ、静粛性など、さまざまな冬道に効く優れた総合性能で知られる。
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非降雪地帯の都市部では、雪になじみがないために、突然の大雪に慌ててしまうことも。だからこそ、対策はしっかりとしておきたい。写真は東京における降雪の様子。