2008年のデトロイトモーターショーでお披露目されたランドローバーのコンセプトカー「LRX」は、その鮮烈なスタイリングが大きな話題を呼んだ。デザインを担当したのは、ジェリー・マクガバン氏。現在はジャガー・ランドローバーとなった同社のクリエイティブを統括するトップだ。
しかし、LRXで注目すべきは形だけではない。16年前の当時掲げたコンセプトは「サステイナビリティー」だ。リサイクル材の使用や材料置換による軽量化、ディーゼル+モーターで前後に伝達系を持たないハイブリッド4WDなど、クラシック&アナログなキャラクターこそが売りだったランドローバーを未来へと導く、その指標となるものだった。
そして2010年、LRXの意志を受け継ぐモデルとして登場したのがレンジローバー イヴォークだ。斬新な3ドアのスタイリングはほぼそのままに、実用的な5ドアも設定されたイヴォークは、ランドローバー史上最大のヒット作となる。後に同クラスのSUVがスポーツクーペ的なデザインコンセプトを多用するようになったのも、イヴォークの影響が大きかったからだということは、想像に難くない。
そして2018年に2代目となったイヴォークは、LRXから続く趣旨をしっかり継承しながら、よりスタイリッシュに、よりサステイナブルに変貌を遂げた。
内装では、リサイクル材を採用し、テキスタイルにもファブリックの選択肢を設けるなど、持続可能性により踏み込んだ配慮がなされている。そして2022年には、プラグインハイブリッドモデル(PHEV)が加わった。「リアをモーター駆動とする電動4WD」といえば、まさにLRXが掲げたメカニズムだ。2代に及ぶ伏線の回収にはちょっと感心させられる。