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WebCG

DEFENDER

時代の先を行くSUV

レンジローバー イヴォーグという選択

SUV全盛の自動車界において、走破性や快適性をはじめとする性能の高さで世界的な人気車種となっているディフェンダー。あらゆるニーズに応えられる豊富なラインナップを誇る、最新モデルの素顔に迫る。

文=今尾直樹/写真=向後一宏、郡大二郎、花村英典、ジャガー・ランドローバー・ジャパン

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自動社界のインフルエンサー 自動社界のインフルエンサー

ディフェンダーの2025年モデルは実に魅力的だ。2019年に70年ぶりの全面改良を受けた現行型ディフェンダーは、6年の歳月で磨かれ、今や成熟の時を迎えているからだ。

2025年モデルの特徴を書き出すと、まずは「90」「110」「130」の3つのボディーのすべてで、3リッター直6ディーゼルと5リッターV8ガソリンが選べるようになっている。スマートフォン時代に合わせて、全グレードに「ワイヤレスデバイスチャージング」が装備されるなど、標準の装備がアップデートされ、新たなオプションパックが導入されてもいる。それぞれのモデルの充実が図られ、主力のディーゼルエンジンが大幅にパワーアップされたことも特筆事項だ。

タフで精悍せいかん、無駄をぎ落としたシンプル&クリーンなデザインは、これぞモダンクラシック! いささかも鮮度を失ってはいない。エバーグリーンの代表といっていいのではあるまいか。しかも3タイプのボディーが、それぞれ独自の魅力を持っていることも強調しておきたい。

ホイールベース2585mmの3ドアの90はそのコンパクトネスで、ホイールベース3020mmの5ドアの110はその万能ぶりで、110のリアオーバーハングを延ばした130はクラス最大級の広大な居住空間で、存在理由を訴えかけてくる。しかもこの3つのボディーはプロポーションが異なるのに、どれもがベストバランスであるかのように見える。これぞマスターピースである。

そしてもうひとつ。2025年モデルの特大ニュースは、新たなフラッグシップ、635PSのV8ツインターボを搭載するオクタの登場だ。オクタの2025年モデルはすでに完売なれど、安心してください。2025年7月15日に受注の始まった2026年モデルでも引き続きラインナップされている。スーパーヒーローモデルは、打ち上げ花火にあらず。4×4オフローダーの老舗ブランド、ランドローバーは、オクタでもって自らの冒険的で挑戦的なスピリットを呼び起こし、ブランド全体に活を入れようとしているのだ。

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多様なパワートレインで期待に応える 多様なパワートレインで期待に応える

2026年モデルについては後述するとして、まずは現在流通している2025年モデルについて、あらためて、もう少し具体的にその魅力を確認してみよう。webCGでは、「D300」から「D350」に名称が変更されたディーゼルの110と同130、新登場のV8の130、それにオクタの試乗記をお届けしている。オクタを含む、どのモデルでも共通しているのは、乗り心地に関する評者たちの賛辞である。

「ディフェンダー130 X D350」に試乗した高平高輝氏は、「巨大で武骨な見た目とは裏腹な、その滑らかでまろやかなパワートレインと乗り心地には誰もが驚くはずである」と評し、「130 V8 P500」に試乗したサトータケシ氏は「このクルマの乗り心地のよさに関しては、ほぼ満場一致で『〇』になるはずだ。(中略)スタイリングのところで“働くクルマ”というフレーズを使ったけれど、パワートレインと足まわりに関してはラグジュアリーSUVだ」と記す。

「史上最もタフで、最も走破性が高く、最もラグジュアリーな新たなヒーローモデル」というキャッチフレーズのオクタさえ、試乗した河村康彦氏は、オフロードでは「路面の凹凸に応じてサスペンションがスムーズに動いてくれるため、こちらは目で見て予想する以上に体の上下動が少なくて済む」し、オンロードでは「想像以上の乗り心地の良さがまずは印象的である」とシンプルに舌を巻く。オンロードでは275/50R22という巨大なタイヤを装着する、0-100km/h加速4秒フラットの怪物だというのに!

本格4×4オフローダーとしては例外的なこの快適性は、これまでのラダーフレームとリジッドサスペンションを投げ捨て、アルミモノコックと4輪独立懸架、それに90と110、130では標準またはオプションとなるエアサスペンション、オクタでは「6Dダイナミクス エアサスペンション」の採用から生まれている。技術革新が新しいスタンダードをもたらした見本といっていい。

90でも、エアサスペンション装着モデルでは誰もが驚く乗り心地が得られるに違いない。さりとて90の魅力はワイルドネスにある。と考えると、エアサスペンションを付けずとも、ラダーフレーム、リジッドの従来型に比べたら天国のごとく快適なはずで、懐にもやさしい。自分はどんな世界観で、どんなことに使うのか。ということをじっくり考えるべきであろう。と、誰に言ってんだか……、本稿を書きながら、ふとそう思う筆者でした。

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つくり手のこだわりが伝わってくる つくり手のこだわりが伝わってくる

2025年モデルで注目の、パワーアップしたディーゼルエンジン、D350ユニットに関して、高平氏は試乗記のなかでこう述べている。

「特に感心するのは直6ディーゼルターボの滑らかさである。今や主力ユニットとなったディフェンダーの3リッター直6ディーゼルターボには、直列6気筒ならこうでなくちゃ、と期待するものがすべて詰まっている。スムーズでたくましく、打てば響くピックアップも申し分ない。しかも48Vのマイルドハイブリッドシステムも備わっているから、アイドリングストップからの再始動も静かで滑らかなうえに、動きだしも当然素早い。巨大なボディーを動かすディーゼルターボだからしょうがないよ、と普通なら諦めなければならない振動や騒音、レスポンスの鈍さといった、その種の我慢が少しも要らないのである」

このご意見、「110 X D350」に試乗した筆者も大いに賛同する。ターボを2基装備する3リッター直6ディーゼルは、これまでのD300に比べて、最高出力は50PSプラスの350PS、最大トルクは50N・m増しの700N・mを発生。パワー、トルクともに厚みを増しているからだろう。「ピークパワーの増加分は正直わからないが、より扱いやすくなったことは確かだ。ひと言で言って楽ちんである」という高平氏のコメントにも筆者は同感である。

130の特徴は3列シートの3列目でも3人が座れる広さを備えていることだ。2列目ではキャプテンシートの設定もあり、5人乗りから、7人乗り、8人乗りまでお好み次第で選ぶことができる。

その130にはもともとディーゼルしかなかったけれど、2025年モデルではV8ガソリンが選べるようになっている。スーパーチャージャーを備えたこの5リッターV8は最高出力500PS、最大トルク610N・mを発生する。1990年代に誕生したAJ型の改良版だけれど、サトー氏によるとこのV8は「古いと感じさせる要素は皆無」。そして「市街地ではせいぜい2000rpmも回せば交通の流れをリードできるくらいトルクはリッチで、この回転域だと音も静かだし回転フィールも滑らか。いっぽうアクセルペダルを踏み込むと状況は一変。3500rpmを超えるあたりから回転計の針が盤面を駆け上がる速度が速くなり、メカニカルな回転フィールとソリッドな排気音が、眠っていた昭和のクルマ好きを呼び起こす」。ディーゼルとは別種の快感がガソリンV8にはしっかとある。

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「さすが」と言いたくなる走り 「さすが」と言いたくなる走り

オクタの4.4リッターV8ツインターボはどうか? というと、こちらは最高出力635PSを6000-7000rpmで、最大トルク750N・mを1800-5855rpmで生み出す高回転型の、BMWゆかりのスポーツエンジンで、河村氏によると「アクセルペダルを深く踏み込めば今や希少となりつつあるゴキゲンなV8サウンドをとどろかせる」。まさにゴキゲンなV8なのだ。

これら直6ディーゼルにふたつのV8ガソリン、そして110で選べる2リッター直4ガソリンターボも含めたそれぞれのパワーユニットが独自の魅力を放って、シリーズ全体の魅力をふくらませている。というディフェンダーの商品戦略がここでもうかがえる。

最後にディフェンダー2026年モデルについて、である。トピックその1は、現行モデル初のフェイスリフトが敢行されたことだ。前後の外観のデザインが変更され、内装ではメインディスプレイが11.4インチから13.1インチに大型化されている。

その2はディフェンダー初のプラグインハイブリッドモデルの追加だ。110に導入されるこれは、2リッター直4ガソリンターボと、105kW(143PS)の電気モーターを組み合わせて、システム最高出力300PS、同最大トルク625N・mを発生する。2026年の注目の一台であろう。

高性能モデルのオクタには「オクタ ブラック」なる新グレードが追加されている。漆黒の専用ボディー色に30以上のパーツをブラックで統一し、タフ・ラグジュアリーを追求したこちらは、オクタの精悍さをグッと引き上げている。写真で見ても、いかにも強そうだ。

最上級グレード「X」とV8モデルには「アダプティブ オフロード クルーズコントロール」が標準装備となり、全グレードに「ソフトクローズ テールドア」が採用されるなど、装備面での改良も施されている。

なお、2026年モデルのデビューを記念して、正規リテイラーでは8月2日(土)と3日(日)の2日間、「DEFENDER 2026 MODEL PRIORITY ODER FAIR」が開催される。来場記念として「DEFENDER オリジナル折りたたみ式ウオーターボトル」が用意されている。

2026年モデルもまた魅力的で、日本上陸が待ち遠しい。とはいえ、2026年モデルの納車はかなり先になる。いち早く入手可能な2025年モデルにも注目したいところだ。