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オニツカタイガー MEXICO 66 DRIVING

こんな
ドライビングシューズを
待っていた!

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帯に短し、襷(たすき)に長し。正直なところ、これが以前から存在するドライビングシューズに対する印象だった。けれども、ペダルを正確に扱う機能と、クルマを降りてそのままホテルやレストランに入れるデザイン性を両立したシューズがついに登場した。前編・後編の2回にわたって紹介したい。

オニツカタイガー
MEXICO 66 DRIVING

価格 3万3000円(税込)

問い合わせ先: オニツカタイガージャパン

https://www.onitsukatiger.com/jp

世界のファッショニスタに
愛されるブランド

この春、カーグラフィック代表の加藤哲也は出張先のフランスで興味深い体験をしたという。

「とある欧州メーカーの国際試乗会に招かれて、ルマンに行きました。オフィシャルの撮影チームも来ていて、いかにもクリエイターっぽいおしゃれな青年がドローンを飛ばしていたんだけれど、彼の足元を見るとオニツカタイガーのスニーカーを履いているわけ。フランス人なのにイタリアントリコロールカラーのスニーカーを選んでいた理由は謎だけれど、シューレースが赤で、すごく格好よかった。自分も含めてクルマ好きはヨーロッパに憧れる人が多いけれど、フランス人が日本製のスニーカーを履いているのを見て、かなり誇らしい気分になりました。日産スカイラインのGT-Rや、ホンダNSXなど、日本の高性能車が海外で高く評価されているとうれしくなる。あの気持ちとまったく同じ」

日本で誕生したオニツカタイガーのスニーカーは、いまや欧州のファッショナブルな人々の間でも人気のアイテムとなっている。

オニツカタイガーのスニーカーを意識するようになったという加藤は、帰路に立ち寄ったパリでも、感度の高いファッショナブルな人々がこのブランドを履いていることに驚いたという。そして、このオニツカタイガーがドライビングシューズを発表するということで、今回、取り上げることになった。加藤は言う。

「以来、オニツカタイガーが気になって、帰国してから銀座の店舗に行ってみたんだ。魅力的な商品が多くて、このブランドがどんなドライビングシューズを出すのか気になる」

ドライビングシューズを紹介する前に、オニツカタイガーというブランドの歴史を遡(さかのぼ)ってみたい。

ヨーロッパから、ブランド
復活を望む声があがった

創業者の鬼塚喜八郎が、スポーツシューズを作る鬼塚株式会社を神戸に設立したのは1949年。日本の青少年育成に貢献し、より良い未来を再建することが起業の目的で、そこには「スポーツ競技には人生を変える力がある」というひたむきな想いがあった。喜八郎は、古代ローマから伝わる「もし神に祈るならば、健全な身体に健全な精神があれかしと祈るべきだ」という言葉に感銘を受けたのだという。ちなみにラテン語の原文は 「Anima Sana in Corpore Sano」で、この頭文字が後にアシックスという社名につながる。

おもしろいのは喜八郎はスポーツの経験もなければ、靴づくりに関しても素人だったということだ。それなのに、喜八郎が最初に取り組んだのは、当時、スポーツシューズでも最も難易度が高いとされたバスケットボールシューズだった。一番難しいところからチャレンジしたいという喜八郎の志の高さによるもので、バスケットボールの強豪だった神戸高校の体育館に通い、球拾いを手伝いながら選手の動きを研究したという。喜八郎は2007年に亡くなっているけれど、こうしたエピソードから、その人となりをうかがい知ることができる。

今回の主役であるMEXICO 66 DRIVINGのオニツカタイガーストライプ。その意匠が刺繍(ししゅう)となっている点に注目したい。レザーを採用している一般的なモデルよりも、エクスクルーシブな雰囲気を醸す。

ブランドのアイコンとして
MEXICO 66が誕生

オニツカタイガーストライプと呼ばれるデザインが採用されたのは、2年後のメキシコ五輪に向けて1966年に発表したシューズから。当初はメキシコラインと呼ばれ、現在ではオニツカタイガーを象徴するデザインとなっている。

1977年にオニツカと他の2社が合併してアシックスを設立。ここで一度、オニツカタイガーのブランドが休止することになる。オニツカタイガーが復活したのは、2002年。アシックスがスポーツアイテム、そしてオニツカタイガーがファッションアイテムを扱うということで完全に役割を分担、ブランドの差別化が図られている。

興味深いのは、ヨーロッパから復活を望む声があがり、それに応えるかたちで再びオニツカタイガーというブランド名を名乗るようになったことだ。

ちょうどこの時期は、1990年代のハイテクスニーカーのブームが終わり、トレンドに敏感な若者たちは、懐古的なスニーカーに目を向けはじめていたタイミングだった。そんな時代の空気を読み取り、またファンからの復活を望む声も後押しし、オニツカタイガーというブランドがリスタートすることにつながった。

新生オニツカタイガーは、シューズはもちろんアパレルやアクセサリーまで展開するファッションブランドとして立ち上がった。そして2002年、ブランド復活と同時に発表したスニーカー、MEXICO 66をイタリアのメンズファッション見本市、ピッティ・イマジネ・ウオモに出展。すると、このレトロな風貌のスニーカーがヨーロッパで大反響を巻き起こした。はたして、このブームは逆輸入のかたちで日本にも伝わった。

2002年にオニツカタイガーがグローバルなファッションブランドとして復活する際に発表されたのがMEXICO 66。数あるオニツカタイガーのシューズのなかでも、世界中で愛される永遠のスタンダードだ。本文にあるように、このスニーカーはオニツカタイガーの歴史を継承しつつ、最新モデルとして現代的にアップデートしたものだ。

いまもブランドのアイコンとして世界中で愛されているスニーカーであるMEXICO 66には、1960年代から続く進化の系譜がある。その源流となるのが当時アスリート向けに発売されたリンバーアップというトレーニングシューズ。この時点ではまだオニツカタイガーストライプは採用されていないけれど、続く1961年に発売された2代目リンバーアップのデザインには、今日のMEXICO 66へと受け継がれていくレガシィの数々が見てとれる。2代目リンバーアップは1999年、ブランド誕生50周年の記念モデルとして復刻される。そしてそのレトロでミニマルなルックスが時代の流れと呼応して、大好評を博した。こうした動きを受けて、2代目リンバーアップを現代的にアップデートした最新モデルとして開発されたのがMEXICO 66。われわれが注目しているドライビングシューズも、このMEXICO 66をベースに開発されたという。

最上のデザインと、
最高の機能

前述したように、オニツカタイガーはスニーカーだけにとどまらず、さまざまなファッションアイテムを展開している。これが人気を博し、いまや1号店のパリのほか、ロンドン、ミラノ、上海、バンコク、シンガポール、そして表参道や銀座など、世界の主要都市に出店している。こうしたアイテムを手がけた経験を注ぎ込み、クルマから降りたときにすぐに街の風景に馴染(なじ)むような意匠を目指して、デザインの開発を行った。

いっぽうでは、機能面の開発にも注力した。特に重視したのはソールで、ペダルを踏んだときにダイレクト感を伝える薄さと、クラシックカーの踏み応えのあるペダルも楽に扱える剛性の高さを両立している。

こうして、世界のファッショニスタを魅了してきたデザインと高機能が1足のドライビングシューズに結実した。それがオニツカタイガーMEXICO 66 DRIVINGだ。

オニツカタイガーMEXICO 66 DRIVING

このドライビングシューズの試着インプレッションは後編で加藤哲也が担当するので、ここではデザイン的なハイライトを説明したい。

素材は滑らかな牛革で、「MEXICO 66」をベースにしたモダンなシルエットとなっている。

ポイントのひとつはオニツカタイガーストライプで、通常はレザーを採用しているけれど、このシューズは刺繍(ししゅう)になっている。間近に見ると、そのステッチの美しさにはっとさせられる。

2番目のポイントはヒール部分のメタルパーツ。一般的なモデルだと印字となっている「Tiger」のエンブレムが、光を反射して輝く。

メタルパーツのロゴとともに注目してほしいのは、ヒールのこの部分がフラップになっていること。遊び心を感じさせる。

3番目はトゥの部分で、この形状はブランドのアイコンであるMEXICO 66から継承している。

ペダルの操作性を左右するソール(写真左)にも工夫が凝らされており、デザイン的にはヘリテージを現代風に再解釈している。またトゥの部分のデザイン(同右)は、MEXICO 66や、さらにその原型であるリンバーアップを踏襲。これまで歩んできた歴史を感じさせる。

オニツカタイガーのドライビングシューズ、MEXICO 66 DRIVINGは2024年11月に販売となる。後編ではそれに先駆けて、実際に新旧のスポーツカーをドライブ、そのインプレッションをお届けする。


(文=サトータケシ/写真=岡村昌宏<CROSSOVER>)

オニツカタイガー
MEXICO 66 DRIVING

価格 3万3000円(税込)

問い合わせ先: オニツカタイガージャパン

https://www.onitsukatiger.com/jp