大切なのは、
薄くて硬いソール
前編で紹介したように、日本発のファッションブランドとしてヨーロッパでも人気を博しているオニツカタイガーが、ドライビングシューズを2024年11月に発売する。そのデザインや質感、素材へのこだわりは報告したとおり。今回は加藤哲也が実際に着用して新旧のスポーツカーをドライブ、その感触を確かめた。用意したのは1974年型ポルシェ911カレラと、フェラーリ296GTSの2台だ。オニツカタイガーのMEXICO 66 DRIVINGを履いてこの2台をドライブした加藤は、次のように切り出した。
「ドライビングシューズにとって大切なことはいくつかあるけれど、ひとつはソールは硬いほうがいいということです。なぜなら、特にスポーツカーの場合はブレーキを踏力でコントロールするので、ここでソールがつぶれたり変形すると、微妙な操作ができない。その点、このドライビングシューズのソールは薄くて硬いから、繊細なコントロールに向いています」

加藤が評価した硬くて薄いソールがしっかりとヒールまでサポートしているので、ヒール&トゥにも対応する。
ブレーキ操作だけでなく、クラッチ操作においても、このシューズの完成度の高さを体感したという。加藤は続ける。
「ご存じの方も多いように、この年代の911は、クラッチがスパッとつながるので、操作が難しい。踏み込んだクラッチペダルをゆっくり戻しながらミートするポイントを探すときに、ここでも薄くて硬いソールのおかげで操作がしやすかった。僕は自分のレーシングシューズでも中敷きを抜くことがあるくらい足裏の感覚を大事にしているけれど、このドライビングシューズは運転する人の気持ちがよくわかっていますね」

MEXICO 66 DRIVINGは、回転落ちの速い水平対向6気筒エンジンをオルガン式のペダルでコントロールするという、難易度の高いタスクをしっかりとこなした。
レーシングシューズの話が出たところで、レーシングシューズとドライビングシューズの違いを尋ねてみた。
「レーシングシューズがほかの靴となにが違うかというと、耐熱性が高いことが一番。火傷(やけど)をするくらいスカットルが熱くなるレーシングマシンもありますから。ただし、そのぶん夏場は暑いし、なにより歩くこととファッション性はまったく考慮していない。その点、このドライビングシューズは単純に格好いいし、デザインが洒落(しゃれ)ているからこのままホテルやレストランにも入れる。古いクルマだとABCペダルの間隔が狭いケースもあって、幅が広い靴だと運転がしにくいけれど、このシューズは細身のフォルムだから、そういう心配もないですね」

今回は繊細なクラッチワークが求められる1974年型ポルシェ911カレラを用意して、MEXICO 66 DRIVINGのドライビングシューズとしての機能を確かめた。