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Seiko Prospex Speedtimer
× Datsun 240Z

ラップタイムを可視化せよ

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セイコーと日産のコラボレーションで誕生した特別なスピードタイマーには、歴史ある両ブランドの技術、そしてこだわりが存分に生かされている。コラボレーションモデルの特徴に触れ、その魅力に迫ろう。

セイコー プロスペックス スピードタイマー メカニカル ダットサン240Z コラボレーション限定モデル SBDC219(右) セイコーのワークホースである6Rキャリバーは、日産にたとえるとL20型エンジンのようなもの。その信頼性の高い「エンジン」を、コンパクトなパッケージに収めた。SSケース、ケース径39.5mm、厚さ12mm、自動巻、日常生活用強化防水(20気圧)。17万6000円(税込/2025年9月上旬発売予定)世界限定2500本(うち国内:1000本)。セイコーグローバルブランドコアショップ限定モデル。

セイコー プロスペックス スピードタイマー メカニカル クロノグラフ ダットサン240Z コラボレーション限定モデル SBEC029(左) 1969年にセイコーが開発した自動巻きクロノグラフは、その機構の信頼性の高さで機械式クロノグラフの業界標準となった。その系譜を受け継ぐのが本作だ。SSケース、ケース径42mm、厚さ14.6mm、自動巻、日常生活用強化防水(10気圧)。47万3000円(税込/2025年9月上旬発売予定)世界限定500本(うち国内:120本)。セイコーウオッチサロン限定モデル。

1969年に生まれ、後に世界を制したスピードタイマーとダットサン240Z。今回コラボレーションを組むにあたって、セイコーはこれを単なるデザインウオッチには仕立てなかった。同社が目指したのは、かつてのスピードタイマーがそうであったような、実際に使える腕時計だった。

今回、セイコーがコラボレーションとして発表したのは、機械式がクロノグラフと3針、そしてクオーツのソーラークロノグラフがふたつの計4モデルである。同社はダイヤルにブラックやレッドといった強いカラーを採用。加えて針とのコントラストを強めることで、視認性をいっそう高めた。

セイコー プロスペックス スピードタイマー ソーラークロノグラフ ダットサン240Z コラボレーション限定モデル SBDL121(右)/SBDL123(左) こちらはより軽快に使えるソーラークロノグラフ。ドライビングウオッチとしての視認性を高めるため、ダイヤルと針のコントラストはいっそう強調されている。SSケース、ケース径41.4mm、厚さ13mm、クオーツ、日常生活用強化防水(10気圧)。14万3000円(税込/2025年9月上旬発売予定)(右)世界限定4000本(うち国内:1200本)(左)国内限定300本 ※セイコーオンラインストア、和光、セイコードリームスクエア限定モデル。

注目したいのは針の仕立てだ。メカニカルクロノグラフでは60秒を示すクロノグラフ針と30分積算針、12時間積算針が、3針のメカニカルでは秒針に赤い差し色があしらわれた。時間を見やすくするため、計時に関わる針の色を変えるのは時計業界の定石だ。しかし、クロノグラフでさえもファッションアイテムとなった今、こういったお約束に従ったモデルは希(まれ)になった。また、メカニカルクロノグラフのクロノグラフ針は、この価格帯では珍しく、ダイヤル外周の見返しに重ねられている。針の取り付けは難しくなるが、針の先端が見返しに重なるため、斜めからでも時間は読み取りやすい。

今のセイコーらしく、ディテールも凝っている。クロノグラフ針でクルマのスピードを示すタキメーターは、240Zのメーターで使われていたフォントを忠実に再現、メーターに記載された最高速度である「240」が刻まれた。

取り回しの良さも本作の美点だ。これらの4モデルは、ベルトを取り付ける4つの脚(ラグという)が短く切られている。クルマにたとえるなら、これはオーバーハングを短くするようなもの。結果として、細腕の人に合うだけでなく、シャツの袖やドライビンググローブに引っかかりにくい。また、さらに使いやすくするため、りゅうずを含めた外装からは丁寧に角が落とされている。軽快な着け心地は、ドライビングウオッチにもふさわしい。

セイコーの思いを感じさせるのが、裏ぶたのデザインだ。あえてロゴをそろえないのは、240Zファンならニヤリとするはず。また、裏ぶたのフラットなソーラークロノグラフでは、装着感を邪魔しないよう、浅いエッチングで240Zのイラストが描かれた。

また、メカニカルの3針モデルの内転リングには、ラリーのサービスタイムに従って、15分ごとに色が分けられた。「DATSUN」のロゴも面白い。1969年当時、「DATSUN」のロゴは統一されておらず、車種ごとにデザインされていたため、240Zには複数の専用デザインロゴが装着されていたのだ。現代であれば、ロゴは統一されるのが普通であるが、セイコーはあえて、そのバラバラのロゴをそのまま転用したのである。あえて違いを盛り込んだのは、セイコーの240Zに対する敬意の表れだ。

240Zファン好みのディテールを盛り込んだ4つのコラボレーションモデル。しかしいっそう重要なのは、これが実際使えるドライビングウオッチ、ということだ。しかも信頼性の高い「エンジン」に、視認性の高いダイヤル、そして軽快な取り回しというキャラクターも、1969年の240Zに全く同じなのだ。つまりこれは、本当の意味でのコラボレーションモデル、なのである。



(文=広田雅将/写真=岡村昌宏<CROSSOVER>)