



東京→名古屋400km
ディーゼルとガソリン、
2台のジャガーXEの実力を探る
どちらを選ぶかは
あなた次第
文=金子浩久/写真=小林俊樹
Text by Hirohisa Kaneko /
photographs by Toshiki Kobayashi
似て非なるもの
さきほどから東名高速道路を東京から名古屋に向かって「ジャガーXE 20d」で順調に巡航している。
幸い、交通の流れもスムーズで渋滞もない。XE 20dも快調そのもの。まず最初に感じるのは、静粛性が高いことだ。平たんで直線に近ければ8段ATはトップギアに入っているから、100km/hで走行してもエンジン回転が2000rpmにも達しない。実に静かである。
ディーゼルエンジンが騒々しいというのは昔のイメージで、このように高速道路を一定の速度で巡航している際にはエンジン回転が中高回転域にまで入らないこともあって、相対的に車内はとても静かになる。

東名高速を行く「XE 20d」。ディーゼルエンジンの静かさが印象的
別項にもある通り、この2リッター4気筒ターボチャージドエンジンは「インジニウム」と呼ばれている。ジャガー・ランドローバー社が新たに独自に開発し製造している彼らの最新型ディーゼルエンジンだ。ガソリン版も追加されるが、インジニウムシリーズとしてはディーゼル版が第1弾となる。
ライバルたちと排気量で比較した場合に、このエンジンが傑出しているのが43.8kgm(430Nm)/1750-2500rpmという最大トルクだ。ライバルたちは40.8kgm(400Nm)に満たない。
43.8kgmはだてではなく、実に強力な加速力を発揮する。それも公称値通りに2000rpmを下回る低い回転数から力を出してくるのでアクセルペダルを少ししか踏む必要がない。少しの踏み込みで十分以上の加速をする。

43.8kgmもの最大トルクを誇るインジニウムディーゼルエンジン。
サービスエリアに立ち寄り、寄り添いながら東京から一緒に走ってきたと「XE 20t」に乗り換えた。
こちらは、ガソリンエンジンを搭載している。同じ2リッター4気筒直噴ターボながら、最高出力200ps/5500rpm、最大トルク32.6kgm(320Nm)/1750-4000rpm。20dの最高出力は180ps/4000rpmだから、ずいぶんと違う。もっとも、違いは数値だけではない。

200psの2リッター直4ガソリンユニットを搭載する「XE 20t」。

東名高速を行く「XE 20d」。ディーゼルエンジンの静かさが印象的

43.8kgmもの最大トルクを誇るインジニウムディーゼルエンジン。

200psの2リッター直4ガソリンユニットを搭載する「XE 20t」。