



東京→仙台400km
ディーゼルエンジンを搭載する
ジャガーの素顔に迫る
道を極めた「品」と「格」
文=笹目二朗/写真=荒川正幸
Text by Jiro Sasame /
Photographs by Masayuki Arakawa
新たな価値を持つエンジン
ディーゼルエンジンを搭載した「ジャガーXE」のデリバリーが始まった。燃費がどれほどなのかチェックしながら、さーっと1000kmくらい走ってくる、そんなグランドツーリングに出るチャンスだ。道中、美しい景色を眺めて、うまいものを食べて……発想は安直ながら、クルマの旅の面白さは、いつもそんなところから始まるものである。
「そうだ、松島へ行ってみよう」。日本三景の筆頭である松島には、しばらく足を運んでいない。“うまいもの”は和食かな。いまどきの作法で、インターネットを使ってチェックしたところ、宮城県・塩竈にある評判の和食の店「千松しま(ちまつしま)」が目にとまった。

道中立ち寄った、仙台城大手門跡にて。
この料理とジャガーの取り合わせは、互いに通じるところがあって、好ましいと思った。和食の深遠さは、素材の選定はもとより、塩加減と甘味の絶妙なバランスにある。それらは長い経験による歴史の産物であり、ジャガーのクルマ造りにも通じるものがある。
どんなおいしいものでも、同じ品ばかりたくさん食べると飽きてしまう。その点、厳選されたうまいものを少しずつ、いろいろ試すという、少量多種を味わう料理はいい。いろいろ試してその中で気に入ったうまいものを、家庭で奥さんにも作ってもらうのもいいだろう。

塩竃の「千松しま」では、旬の食材を生かした料理が、バリエーション豊かに供される。写真はそのごく一部。
ジャガーもまた、すでに確立された良い点をいくつも持っているが、近年のバリエーションの多様さは、選択の楽しみをさらに広げてくれる。インジニウムエンジンと名付けられた新開発のディーゼルエンジンには、新たな価値がある。世界一厳しいといわれる日本の排ガス規制値をクリアしており、さらに、静粛性やパワーの点でも最高レベルの性能を示す。
かつてディーゼルは、エンジンの騒音がやかましく排ガスもクリーンではないとされた。そんなイメージとジャガーは相いれないものと考えられるかもしれないが、新エンジンとの組み合わせは、ジャガーの品格を落としたりはしない。欠点を補ってしまえば、あとは好燃費の利点が残るのみ。燃費のいいジャガーともなれば、その魅力は倍増する。多種多様なジャガーがあるのは、喜ばしいことなのだ。そんなジャガーXEで、北へと走りだすとしよう。

ディーゼルエンジンを搭載する、スポーティーサルーン「ジャガーXE」。松島湾に面した波止場にて。

道中立ち寄った、仙台城大手門跡にて。

塩竃の「千松しま」では、旬の食材を生かした料理が、バリエーション豊かに供される。写真はそのごく一部。

ディーゼルエンジンを搭載する、スポーティーサルーン「ジャガーXE」。松島湾に面した波止場にて。