



東京→京都・大阪500km
ジャガーXEディーゼルの
ビジネスマンズエクスプレスとしての実力を探る
遠くへ行く車
文=高平高輝/写真=田村 弥
Text by Koki Takahira /
Photographs by Wataru Tamura
ディーゼル車はもっと加速する
ご承知のようにヨーロッパではディーゼルモデルが新車販売の6割以上を占めているが、日本では増えつつあるとはいえまだ数%という状態だ。いかに交通環境が違うとはいっても、常識的に考えればこの数字がこれからもずっと低いままであるわけがない。ディーゼル車の長所が少しずつ日本に浸透している最中に例の一件が明るみに出たのは実に残念だが、その不正行為を取り上げてディーゼルそのものを悪者扱いするのはまるでお門違いだ。故意の違法行為を理由にディーゼルエンジンがプラグインハイブリッドや電気自動車に取って代わられる、などという一部のテレビや新聞報道もあまりにも短絡的すぎる。

そして大阪へ。大阪市中央公会堂の赤いレンガが美しい。
そもそも日本では政策的に軽油の価格が抑えられている(ヨーロッパ各国はほぼ同じ)。レギュラーガソリンと比べてざっと1リッターあたり20円は税金(=販売価格)が安いはずだ。無論、燃料費の差だけでいわば“モト”を取ろうとするとかなりの年間走行距離が必要だが(20dは20tの20万円高)、給油のたびにレシートの数字の違いを見るともう戻れないと実感する。それでいながら、走行性能がガソリン車に引けをとらず、むしろ場合によっては優れているとしたら、もはや昔のイメージで敬遠するなどまったく道理が通らないのではないか。

重厚なたたずまいを見せる旧三井銀行大阪支店。
XE 20dがすべての性能を満たす優等生というわけではない。低く流麗なルーフラインのせいで室内は比較的タイトで、特に後席への乗り降りは、身をかがめて頭に注意する必要がある。もっとも、いったん身を入れてしまえば、まずまず快適に過ごせるだけのスペースはある。だが何よりも、遠くまで走ることを重視する人にとっては、最新のディーゼルモデルがファーストチョイスであることはもう疑う余地がない。その中でもXEディーゼルは賢く速く快適なグランドツアラーである。

大阪港の港大橋を背景に。

そして大阪へ。大阪市中央公会堂の赤いレンガが美しい。

重厚なたたずまいを見せる旧三井銀行大阪支店。

大阪港の港大橋を背景に。