類いまれなスポーツセダン

先進のハイブリッドテクノロジーを投入して開発された「ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッド」。試乗を通じて、新世代スポーツセダンの実像に迫った。

新たな時代を感じさせる

クルマがどんどん新しい時代に入っている。スーパースポーツカーのハイブリッド化が進んでいるのは、読者の方ならご存じだろう。ポルシェの「918スパイダー」は世界中のエンスージアスト(自動車愛好家)の垂ぜんの的だ。ハイブリッド化という進化はスポーツカーにとどまらない。代表選手がポルシェ パナメーラS E-ハイブリッドだろう。

ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッドは、スポーティーな4座セダン「パナメーラS」に設けられたモデルだ。最大の特徴は3リッターV6ガソリンエンジンに、200V電源で充電可能なプラグインハイブリッドシステムが組み合わされているところ。別の言葉では、新しい時代を感じさせるセダン、といえる。

最高出力333psを発生する3リッターV6エンジンに、95psの電気モーターが組み合わされる、「パナメーラS E-ハイブリッド」のパワーユニット。V8エンジンと同等のパフォーマンスを誇る。

ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッドの“新しさ”とは、なによりも走りのクオリティーにある。“さすがポルシェ”としてしまっては単純すぎる評価になってしまう。ウルトラスムーズな加速と静粛性の高さが、もともとパナメーラの美質だったハンドリングのよさと快適性の高さに加わっている。セダンとして最強の部類に入るだろう。

モーターだけで36km走行ができ、そのあとも必要に応じてエンジンからチャージできる。日本製のハイブリッドモデルは基本的にアクセルペダルの踏み込み量に過敏で、細かくエンジンを動かしてバッテリーの充電を重視する設定となっている。ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッドはモーターによるEV走行(ポルシェでは「Eパワーモード」と呼ぶ)を優先しているので、東京など市街地で使うと、ほとんどエンジンが動かないこともあるぐらいである。ポルシェがCO2排出量の少なさをうたうのは、ちゃんと故あることなのだ。燃費はハイブリッド燃料消費率が12.3km/リッター。余裕あるサイズゆえに得られるものを考えた場合、良好とさえいえる数字である。

「パナメーラS E-ハイブリッド」は、フル充電の状態からモーター駆動だけで30km以上の距離を走行できる。