イタリアン・スポーツカーABARTH 124 spiderしみ

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ABARTH

REPORT 3 その美声に酔いしれる

文=黛 健司/写真=郡大二郎

風の中で音楽を楽しむ

富士山麓に向かった朝は、前夜からの雨はあがっていたが、首都高のトンネルをオープンで走る気にはならず、幌を開けたのは中央道に入ってからだった。高速巡航でもサイドウィンドウを上げていれば、風が心地よく髪をなぶる程度で、ロードノイズや風きり音がさほど気にならないのは意外な発見だった。

走行騒音とカーオーディオの音量がバランスする妥協点をさぐると、高速道路でもそれなりに音楽が楽しめるのがうれしい。車速に応じてカーオーディオの音量と音のバランスを自動調整してくれるALC(オートマチックレベルコントロール)機能の恩恵もあり、走りと音楽が両立しているのは、現代のオープンカーならではだ。こんなとき、ヘッドレストに仕込まれたスピーカーがおおいに効果を発揮する。ナビの音声案内が耳元で鳴り、明瞭に聴き取れるのもいい。

桃源郷に遊ぶがごとし

ギアを1、2段落として回転を上げてやれば、たちまちにしてアバルトサウンドの咆哮が高まるので、ついつい必要もないギアチェンジを繰り返してしまう。ノーマルエキゾーストよりあきらかにスロットルレスポンスがいいのもレコルドモンツァの魅力。一般道では高速道路に比べロードノイズが格段に低くなるので、レコルドモンツァの美声をよりいっそう堪能できる。ちょっと前方が空いたら、低いギアで高回転まで引っ張ってみると、しびれるようなサウンドがクルマのうしろから迫ってきて迫力満点。アクセルの踏み加減により音量と音質が大きく変化するレコルドモンツァのサウンドに身を任せるひと時は、クルマ好きにとっては桃源郷に遊ぶ境地といえるだろう。

最近は純粋に運転を楽しむことがめっきり減ってしまったが、こんなクルマが手元にあったら、ちょっと天気のよさそうな休みには毎日のようにドライブに出掛けるだろうなぁ……どうやらわたしも「サソリの毒」にやられてしまったようだ。

DEALER INFORMATION
キャンペーンやイベント、スペック情報など、ABARTH 124 spiderについて詳しくはこちらをご覧ください。

124スパイダーには脱着式のウインドディフレクターが備えられており、これを装着すればオープン時の風の巻き込みを大幅に低減することが可能に。さらにサイドウィンドウを上げれば、高速道路でも快適にオープンエアを楽しめる。

風の音などにかき消されないよう、124スパイダーではシートのヘッドレストにスピーカーが内蔵される。オーディオには、車速に応じて音量などを自動調整する機能が搭載されている。

刺激的なサウンドに加え、スロットルレスポンスが良くなるのも「レコードモンツァ」の魅力。エンジンを回す楽しさをより積極的に味わいたい向きには必須の装備といえるだろう。