四駆のイメージを変えるクルマ

小さい頃から、岩を見ると登りたくなる少年だった。競技があることを知った15歳の時にクライミングを始める。当時の日本にはジムもクライミングエリアもほとんどなく、独学で始めるほかはなかった。四半世紀以上岩に登り続け、体がクライミングに適した形態に変化を遂げている。

「手を広げても曲がったままで水平にならないんです。指先だけで体を支えなければなりませんから、まあ、職業病ですね(笑)。クライミングのためには、筋肉がつきすぎてもいけない。使わない筋肉は単なるウェイトですから」

小山田さんの太くたくましい指は、長年にわたる鍛錬の激しさを物語る。

岩を見ると、どのルートを通れば登れるかを瞬時に見極める。素人目にはどの岩も登れそうにないとしか思えないが、長年の経験で手や足をかけられるポイントを判断するのだ。体をどう動かせば攻略できるかを考え、頭の中でルートを組み立てていく。両手両足を駆使する小山田さんは、四輪駆動ならぬ四肢駆動なのだ。

「岩の弱点を登るんですよ。トレーニングを積んでいくと、いろいろなラインが見えてきます。感覚もあるんですが、とにかく理詰めで頭を使うんです。頭の中で何十回も何百回もシミュレーションしていますよ。難しい課題(ルート)だと、2年以上かけて攻略することもあります。パズルのピースをひとつひとつ埋めていく感じで、一手先を読むということでは囲碁や将棋のような要素もありますね」

垂直どころか一部が反り返った岩壁を小山田さんが登る。取材スタッフが息を止めて見守る中、こともなげに登頂してみせた。

状況を的確に把握し、先の先を読まなければ岩を征服することはできない。小山田さんが山道を速く安全に運転できるのは、クライミングでつちかった判断能力のおかげなのだろう。コーナーからコーナーへのつながりを考え、適切なスピードと効率的なコース取りを選択する。岩を登る時と同じような作業が頭の中で行われているのだ。

「クライミングには気温が低いほうが適していて、これからがシーズンなんです。冬でも-5度ぐらいまでだったら上半身裸で岩を登りますよ(笑)。ただ、雪が降ったり道路が凍結したりすると、岩場までたどり着けません。ランドクルーザープラドなら真冬でも安心して走れそうですね」

ランドクルーザープラドを前に、笑顔を見せる小山田さん。同車の洗練された走りに接して、4WD車のイメージが変わったと語る。

笠置山を開拓したように、小山田さんは今もクライミングに適した岩場を求めて日本全国の山を探し歩いている。時には、道なき道を行かなければならない。ミニバンやコンパクトカーでは立ち往生してしまうが、ランドクルーザープラドなら大丈夫だ。「マルチテレインセレクト」で路面状況に応じたモードを「MUD&SAND」「LOOSE ROCK」「MOGUL」「ROCK&DIRT」「ROCK」から選べば、自動的にエンジンスロットル特性やアクティブトラクションコントロールのブレーキ油圧を最適に制御する。ステアリング操作だけに集中しながら一定の極低速走行が可能な「クロールコントロール」も用意されている。

「前に四駆のクルマに乗っていた時、乗り心地・操縦安定性がいまひとつで敬遠していたところもあるんですよ。でもランドクルーザープラドは乗用車と何ら変わらない運転感覚なんですね。外装は言うまでもなく、内装も先進的でモダンな空間に仕上がっていて、四駆のイメージがすっかり変わりました」

岩を極めた本物のアスリートだから、道を究めた本物のSUV、ランドクルーザープラドの持つ真の価値を理解できるのだ。

2017年9月にマイナーチェンジが施されたランドクルーザープラド。内外装のデザインが新しいものへと変わり、安全装備も一段と充実した。