歴史あるメーカーの作品
かように斬新な乗り物を生み出したのは、BRPというカナダのケベックに本拠地を置く、スノーモービルを発明したメーカーである。
創業者のジョセフ=アルマンド・ボンバルディアが、雪上を走るための、前がそりで、後ろをキャタピラで駆動する無限軌道車で特許を取ったのが1937年のこと。いまをさかのぼること、ちょうど80年前だ。

「Ski-Doo」というブランドで、パーソナル用スノーモービルの初の量産を開始したのが1959年。1968年にはSea-Dooブランドでウオータークラフトを発売。翌年、モントリオールとトロントの株式市場に上場し、1970年にオーストリアのロータックスというエンジンの製造会社を手に入れた。BRPはスノーモービルでもカンナム・スパイダーでも、このロータックスが開発・生産するエンジンを使っている。ロータックスはBMWにもバイクのエンジンを供給しているというからその実力や推して知るべしである。
オフロードのモーターサイクル用として、「カンナム」ブランドを作ったのが1972年。1998年にはATV(All-TERRAIN VEHICLE)、オフロード用のまたがって乗る四輪車市場に進出している。BRPはつまり、雪上、水上、そしてあらゆる地形でまたがって乗る乗り物を作っている。

2007年に導入された、BRP初のオンロードヴィークルであるカンナム・スパイダーは、「一部バイク、一部コンバーチブルスポーツカー」とも表現されるわけだけれど、なんとなくスノーモービルを思わせるのも同社の歴史をひもとくと納得できる。BRPはいまや、レクリエーショナルヴィークルの製造で社員6800人を抱える大企業に成長しており、100%子会社であるBRP ジャパンの設立は2000年にさかのぼる。筆者は寡聞にして知らなかったけれど、知る人ぞ知るメーカーなのだ。

