SCROLL

強烈な刺激も思いのまま

現在日本で販売されているカンナム・スパイダーには、ツーリング志向の「RT」とスポーティーなF3の2種類がある。RTは、いってみればハーレーダビッドソンみたいにふんぞり返り気味に座る。F3はそれよりフィット感を重視している。ここでご紹介しているのはF3の中でも最も高性能かつ華やかな「F3-S デイトナ500エディション」と呼ばれるモデルで、ロータックス製1.3リッター直列3気筒エンジンは最高出力115hp/7250rpm、最大トルク130Nm/5000rpmを生み出す。

「カンナム・スパイダー」には、車体の挙動を安定させるスタビリティーコントロールシステムやトラクションコントロールシステムが標準で備わる。

え? 最高出力は7250rpmという高回転で発生するのか! 筆者はもうすっかり、2000rpmあたりで満足していた。車重430kgで1.3リッターの小型車並みのエンジンだから、右手をちょっとひねるだけで、もう十分、満足であった。しかるに、7250rpmまで回ると知れば、試してみたくなる。全開に挑む気分はトム・クルーズ。

きゃああああああああッ!

走りのパフォーマンスを高める、軽量なアクラポビッチ製マフラー。オプションとして用意される。

猛烈な加速に筆者は絶叫した。絶叫ライドマシンなのだった、カンナム・スパイダーF3-Sは。とてもじゃないけれど、全開はムリ。5000rpmに到達するのが精いっぱい。もっと速くスロットルを開ければ、当然もっと速く加速する。全身にGが襲いかかり、箱根山中がこちらに迫ってくる! 桜の花びらが散る中、なんてステキなんだと思っていた同じ景色が、ゆがんで見える。

きゃあああっ! と叫びたくなるほどに。しかし、巨匠・徳大寺有恒がかつて言ったように、人間にはアクセルを緩める権利がある。叫んだあと、不思議と笑いがこみ上げてきた。心の底から、腹のなかから、自然にこみ上げてきた。ああ、生きているってすばらしい!

今回試乗した車両は、「デイトナ500エディション」と名付けられた特別仕様車。「サーキットイエローメタリック」のボディーカラーやドラッグタイプのハンドルバーが特徴となっている。

カンナム・スパイダーは、もしかして退屈だと思っていた人生に強烈な刺激をもたらす新しいヴィークルなのだった。フルスロットルに挑まずとも、大磯の海辺を走る西湘バイパスでは磯の香りを感じ、箱根のターンパイクに至れば山頂に近づくにつれ空気の違いを全身で味わう。乗り心地は「ケータハム・スーパーセブン」よりも快適で、スーパーバイクよりも気軽に安全に天然自然と触れ合うことができる。僕はいいと思うな。

(文=今尾直樹/写真=郡大二郎)

「カンナム・スパイダー」には、車体の挙動を安定させるスタビリティーコントロールシステムやトラクションコントロールシステムが標準で備わる。
走りのパフォーマンスを高める、軽量なアクラポビッチ製マフラー。オプションとして用意される。
今回試乗した車両は、「デイトナ500エディション」と名付けられた特別仕様車。「サーキットイエローメタリック」のボディーカラーやドラッグタイプのハンドルバーが特徴となっている。

歴史あるメーカーの作品
PAGE 3

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4

歴史あるメーカーの作品
PAGE 3

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4