CHAPTER 4.

F-PACEでグランピングを体験する

自由な発想と進取の精神

文=鈴木真人/写真=荒川正幸/取材協力=ネスタリゾート神戸

F-PACE にジャガーらしさはあるか

一級品のスポーツカーであり、同時にエレガントさを極めている。1961年に誕生した「ジャガーE-Type」のことだ。ルマン24時間レースに出自を持つ素性のよさと、ロングノーズの流麗なデザインが、このモデルを特別なものにしている。E-Typeによって、ジャガーというブランドのスポーティーなイメージが確立された。
スポーティーでエレガント。ジャガーらしさは「F-PACE」にも受け継がれているのだろうか。

F-PACEはジャガー初のSUVだ。E-Typeとはまったく異なるジャンルのモデルである。そこにジャガーらしさは受け継がれているのかというのが、自動車好きにとっての大きな関心事だろう。試乗したのは2リッター直4ディーゼルターボの「INGENIUM(インジニウム)」ユニットを搭載した「20d Prestige」。80%がアルミニウムの軽量モノコックボディーで、駆動方式はトルクオンデマンドの4WDを採用している。試乗車にはステレオカメラを用いた先進安全装備も備えられていた。
2リッターのインジニウムディーゼルエンジンは180psと430Nmを生み出す。

堂々たる体格だが、キャビンを絞ったスタイルはスポーティーでエレガント。そこはジャガーとして譲れないところなのだろう。内装のしつらえの上質感もやはりジャガーらしさがあふれている。荒々しさや無骨さといったものとは無縁で、運転席での気分は高級サルーンと変わらない。ディーゼルエンジンの出来のよさもこのクルマのグレードを高めている要因のひとつだ。静粛性は新世代ディーゼルの中でもかなり高いレベルで、車内はもちろん、外で聞いてもガラガラ音はほぼシャットアウトされている。

ドライブの目的地はネスタリゾート神戸。この7月にリニューアルオープンした大型リゾート施設だ。神戸市の北に位置する三木市にあり、都会の喧騒(けんそう)からは離れている。雄大な自然に囲まれているのに、大阪や京都からもアクセスがいい。この地を訪れたのは、グランピングを体験するためだ。
運転席での気分はラグジュアリーサルーンと変わらない。

今年になって耳にすることが多くなってきた言葉がグランピングである。グラマラス(glamorous)とキャンピング(camping)を合わせた造語で、平たく言えば豪華なキャンプのことを意味する。従来のキャンプは大自然の中でワイルドなアウトドアライフを楽しむという趣だったが、グランピングはもっと自由で多様なスタイルを持つ。歯を食いしばって過酷な環境に耐えるようなストイックな姿勢を強いることはない。体育会的な汗臭い要素をそぎとり、リゾート感覚でキャンプを満喫するというイイトコ取りの考え方なのである。
静粛性はインジニウムディーゼルエンジンの特長のひとつだ。

スポーティーでエレガント。ジャガーらしさは「F-PACE」にも受け継がれているのだろうか。
2リッターのインジニウムディーゼルエンジンは180psと430Nmを生み出す。
運転席での気分はラグジュアリーサルーンと変わらない。
静粛性はインジニウムディーゼルエンジンの特長のひとつだ。