2013年のルマンはアウディ優勝 トヨタおよばず

2013.06.24 自動車ニュース
ポディウムで優勝を喜ぶ、No.2 アウディのドライバーたち。これでアウディは、2010年からのルマン4連覇を達成した。
(photo=Motoko Shimamura)
ポディウムで優勝を喜ぶ、No.2 アウディのドライバーたち。これでアウディは、2010年からのルマン4連覇を達成した。
    (photo=Motoko Shimamura)

2013年のルマンはアウディ優勝 トヨタおよばず

初開催から90周年という節目の年を迎えた、ルマン24時間耐久レース。記念大会ながら、レースは予選、決勝を通して、不安定な天候に翻弄(ほんろう)される内容だった。そんな中、ポールポジションからスタートしたNo.2 アウディR18 e-tron クワトロ(T.クリステンセン/L.デュバル/A.マクニッシュ組)が、ゼロミステイクなレース運びを展開。盤石の走りで、アウディとしては4年連続、新トリオでは初となる優勝を果たした。

ピットを勢いよく飛び出していく、A.ロッテラー/M.フェスラー/B.トレルイエ組の「アウディR18 e-tron クワトロ」。
ピットを勢いよく飛び出していく、A.ロッテラー/M.フェスラー/B.トレルイエ組の「アウディR18 e-tron クワトロ」。
予選アタック中の「トヨタTS030 ハイブリッド」。この7号車は、日本人ドライバーの中嶋一貴もドライブした。
予選アタック中の「トヨタTS030 ハイブリッド」。この7号車は、日本人ドライバーの中嶋一貴もドライブした。
ルマンには、市販モデルをベースとしたGTマシンも多数参戦する。写真はLMGTE Proクラスから出場した「ダッジ・バイパーGTS-R」。
ルマンには、市販モデルをベースとしたGTマシンも多数参戦する。写真はLMGTE Proクラスから出場した「ダッジ・バイパーGTS-R」。
LMP2クラスのNo.46 オレカ03・ニッサンが、観客の前を駆け抜ける。
LMP2クラスのNo.46 オレカ03・ニッサンが、観客の前を駆け抜ける。
A.ブルツ/N.ラピエール/中嶋一貴が駆る、No.7 トヨタTS030 ハイブリッド。
A.ブルツ/N.ラピエール/中嶋一貴が駆る、No.7 トヨタTS030 ハイブリッド。

■予選からアウディが圧倒

2012年同様、アウディとトヨタがハイブリッドシステムを搭載するマシンで競うことになった、2013年のルマン。2010年から続く連勝記録更新を目指すアウディは、ハイブリッドとディーゼルのマシンをそれぞれ2台ずつエントリーさせた去年の体制から一転、ハイブリッド3台でトヨタを迎え撃つ。
一方、“横綱”アウディに挑むトヨタは、さらなるスピードアップに努め、昨年はWEC(世界耐久選手権)富士戦で優勝を果たすなど実績を重ねてきた。さらに今シーズンは、ハイブリッドシステムの見直しを実施した「2013年仕様車」を、シリーズ第2戦のスパ6時間から投入。WECのメインともいえるルマンでの必勝を目指したのだった。

しかし、6月9日に行われたそのテスト走行では、アウディとのスピード対決で水をあけられるという厳しい現実に直面。決勝を意識してロングランに特化したセッティングだったとはいえ、本番に向けてどのような策を練るのか、その手法に注目が集まっていた。

水曜日から始まった公式予選。朝から時折雨が降る不安定なコンディションが続く中、午後10時にスタートが切られた。早々にアタックを行ったNo.2 アウディR18 e-tron クワトロ(T.クリステンセン/L.デュバル/A.マクニッシュ組)がトップに立つ。昨年の予選ポールポジションタイム、3分23秒787を軽く上回る3分22秒349をマークしたのは、今シーズンから2号車のステアリングを握ることになったデュバル。日本でも活躍する彼は、ルマン最多勝利数を誇るクリステンセンやF1ドライバーとして活躍したマクニッシュら先輩に気後れすることなく、予選から活躍を見せた。

その後予選初日はコースアウトやクラッシュで赤旗中断となり、また、ダメージを受けたガードレールの修復作業が長引いたことから、このままセッションは終了。すべては翌日の予選2日目へと持ち越された。ところが、2日目もまた気まぐれな降雨やクラッシュが発生。各車、存分にアタックするには難しい状況となった。
結果、初日の最速ラップを上回るライバルは出現せず、2号車がポールポジションを獲得。アウディは2号車を筆頭に、No.1 アウディR18 e-tron クワトロ(A.ロッテラー/M.ファスラー/B.トレルイエ組)、No.3 アウディR18 e-tron クワトロ(M.ジェネ/L.ディ・グラッシ/O.ジャービス組)とトップ3を独占。トヨタ勢は、No.8 トヨタTS030 ハイブリッド(A.デビッドソン/S.ブエミ/S.サラザン組)が、後半のアタックで自己ベストタイムを更新。前日の予選で4番手につけていたNo.7 トヨタTS030 ハイブリッド(A.ブルツ/N.ラピエール/中嶋一貴組)を逆転して4番手、7号車は5番手という結果に。アウディ優位という形で、2年目のハイブリッド対決が幕を開けることとなった。

予選総合トップ6

1. No.2 アウディR18 e-tron クワトロ(T.クリステンセン/L.デュバル/A.マクニッシュ組)3分22秒349
2. No.1 アウディR18 e-tron クワトロ(A.ロッテラー/M.ファスラー/B.トレルイエ組)3分23秒696
3. No.3 アウディR18 e-tron クワトロ(M.ジェネ/L.ディ・グラッシ/O.ジャービス組)3分24秒341
4. No.8 トヨタTS030 ハイブリッド(A.デビッドソン/S.ブエミ/S.サラザン組)3分26秒654
5. No.7 トヨタTS030 ハイブリッド(A.ブルツ/N.ラピエール/中嶋一貴組)3分26秒676
6. No.12 ローラB12/60クーペ・トヨタ(N.プロスト/N.ジャニ/N.ハイドフェルド組)3分28秒935

スタートシーン。現地時間の6月22日15時、アウディ勢を先頭に、24時間続く長い戦いが始まった。
スタートシーン。現地時間の6月22日15時、アウディ勢を先頭に、24時間続く長い戦いが始まった。
速さを見せつけるも、トラブルに泣いたNo.1 アウディR18 e-tron クワトロ(A.ロッテラー/M.ファスラー/B.トレルイエ組)。
速さを見せつけるも、トラブルに泣いたNo.1 アウディR18 e-tron クワトロ(A.ロッテラー/M.ファスラー/B.トレルイエ組)。
24時間耐久レースでは、ピット作業も夜を徹して行われる。写真は「トヨタTS030 ハイブリッド」。
24時間耐久レースでは、ピット作業も夜を徹して行われる。写真は「トヨタTS030 ハイブリッド」。

2013年のルマンはアウディ優勝 トヨタおよばずの画像
2013年のルマンを制した、No.2 アウディR18 e-tron クワトロ(T.クリステンセン/L.デュバル/A.マクニッシュ組)。
2013年のルマンを制した、No.2 アウディR18 e-tron クワトロ(T.クリステンセン/L.デュバル/A.マクニッシュ組)。

■あわや表彰台独占

決勝を迎えたルマンは、朝から曇天。すっきりしない天候のまま、午後3時にはスタートフラッグが降り降ろされた。ポールポジションの2号車は、ペースを抑えつつ序盤の闘いを順調に消化。一方で、1号車のアウディがレースをけん引、その速さを存分に披露した。そんな中、気まぐれに雨が降り始める。足元をすくわれたマシンが、次々とクラッシュ……。レースの規定では、車両が突っ込んだガードレールはキチンと修復することになっているため、ハプニングのたびにセーフティーカーがコースイン。レーシングスピードで争われるシーンは、徐々に減っていった。

やがて、トップを快走していた1号車にもトラブルが発生。信頼性の高いアウディの牙城が崩れ始めたのだ。闘いには復帰できたものの、メカニカルトラブルで長時間のピットインを強いられたマシンが、1周13.4kmのコース×12周分の遅れを取り戻すのは、ほぼ不可能なこと。それでも別格のスピードで、8位まで落ちた順位を5位まで引き上げ、最終的にはトップから10周遅れでフィニッシュ。ディフェンディングチャンピオンとしての意地と貫禄を見せた。

対する“挑戦者”のトヨタ勢は、終始、アウディの後塵(こうじん)を拝するレース運びとなった。結果的には、No.8 トヨタTS030 ハイブリッド(A.デビッドソン/S.ブエミ/S.サラザン組)が2位に入り表彰台の一角をもぎ取ったものの、アウディのトラブルがなければライバルのトップ3独占を許していた可能性もあった。
8号車のトヨタをドライブしたデビッドソンは、レース後の記者会見の席で、「(雨の中での終盤の争いを)まるで氷の上を走っているような、ひどいコンディションだった」と振り返ったが、あらゆる条件下で淡々とコースにとどまることこそが耐久レースで最も求められること。そして、それが想像以上に難しいことを、勝利の女神は今年も示したようだ。

女神にほほ笑まれた2号車のアウディは、慎重さや忍耐強さも備えた、バランスのとれた闘いぶりを見せていた。クリステンセンやマクニッシュといったルマンでの闘い方を熟知したベテラン二人に、勢いあるデュバルが加わることで、チームとしても、最適なバランスを手に入れたのだろうか。終わってみれば、ノーミスで走破したトップの2号車と2位8号車との間には、13.4kmという長くて大きな差があった。

今年のルマンで、レース中のハプニングなどによりセーフティーカーがコースインした回数は11回。24時間中の5時間27分が“忍耐の時間”となった。願わくば、24時間全力でマシンが疾走を続け、しかもゼロミステイクという闘いの結末を、見届けてみたい。

決勝結果(トップ6)

1. No.2 アウディR18 e-tron クワトロ(T.クリステンセン/L.デュバル/A.マクニッシュ組)348周
2. No.8 トヨタTS030 ハイブリッド(A.デビッドソン/S.ブエミ/S.サラザン組)347周
3. No.3 アウディR18 e-tron クワトロ(M.ジェネ/L.ディ・グラッシ/O.ジャービス組)347周
4. No.7 トヨタTS030 ハイブリッド(A.ブルツ/N.ラピエール/中嶋一貴組)341周
5. No.1 アウディR18 e-tron クワトロ(A.ロッテラー/M.ファスラー/B.トレルイエ組)338周
6. No.21 HPD ARX-03C・ホンダ(N.レベンティス/D.ワッツ/J.ケイン組)332周

クラス別トップ

・LMP1クラス:No.2 アウディR18 e-tron クワトロ(T.クリステンセン/L.デュバル/A.マクニッシュ組)348周

・LMP2クラス:No.35 モーガン・ニッサン(B.バゲット/R.ゴンザレス/M.プロウマン組)329周

・LMGTEProクラス:No.92 ポルシェ911 RSR(M.リエブ/R.リエツ/R.デュマ組)315周

・LMGTEAmクラス:No.76 911 GT3 RSR(R.ナラク/C.ブレ/J-K.ベルネイ組)306周

(文=島村元子/text=Motoko Shimamura)

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