日産の有志が“幻のレースカー”の再生に着手
2016.06.26 自動車ニュース![]() |
日産名車再生クラブは2016年6月25日、幻のレーシングカーである「チェリーF-II(KF10型)TSレース仕様」のレストアに取り組むことを発表し、神奈川県厚木市の日産テクニカルセンターで、「2016年度 再生クラブキックオフ式」を開催した。
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■記念すべき10周年のレストア車は「チェリー」のレース仕様
日産自動車の歴史的な名車のレストアに取り組む「名車再生クラブ」は、日産テクニカルセンターの開発部門従業員を中心に結成された団体で、今年は結成10周年を迎える。レストアする車両の選定は、市販車ベースのモータースポーツ参戦車を基本としており、これまで「240RS」の1983年モンテカルロラリー仕様や「プリンス・スカイラインGT」の1964年第2回日本グランプリ2位入賞車両など、11台のレストアを実施。当時の姿を忠実に再現して車両の再生を図るだけでなく、動態保存の状態まで仕上げることを目的とし、完成車は、ニスモフェスティバルなどで走行披露も行っている。
今回、同クラブが記念すべき結成10周年の題材として選んだのは、チェリーF-IIクーペ TSレース仕様。これは、2代目へと進化したチェリーF-IIに、スポーティーな最上級グレードとして1976年に追加された「1400 GX TWIN」をベースとしたもの。当時、盛んだったTSレース仕様に仕上げられているが、目的はカタログ撮影のためだった。この時期は排ガス規制対策などに注力せねばならず、多くの日本メーカーが国内レース活動を中止。このチェリーF-IIクーペ TSレース仕様も、日本での活躍の記録は1978年に筑波サーキットで開催された「レース・ド・ニッポン筑波」での長谷見昌弘選手や星野一義選手によるデモ走行のみである。しかし海外遠征をした実績があり、ニュージーランドのレースで優勝を飾っている。まさに知る人ぞ知る幻のレーシングカーなのだ。
■往年のワークスドライバーがメンバーを激励
車両選択の理由として、日産名車再生クラブの代表である木賀新一氏は、日産が誇る名機「A型」エンジンの生誕50周年にあたること、そしてクラブとしてまだFF車のレストア経験がないことを挙げ、「ベースのA型エンジンの設計許容を大きく上回る高回転化を実現したエンジンチューンの秘密や、日産初のFF車である初代チェリーとの比較などから、日産FF車の進化の歴史をレストアを通じてメンバーで学んでいきたい」と抱負を語った。
またキックオフ式には、当時、このレース車両製作を担当した日産OBである古平 勝氏がゲストとして参加。古平氏は、プリンス・スカイラインGTと「ポルシェ904」の壮絶なバトルが展開された日本のレースシーンの伝説である1964年の第2日本グランプリにも、ワークスドライバーとして「S54A」で参戦しており、当時、プリンスの社内ドライバーでは最も速かったという。その後、車両開発やレースチーム監督なども経験し、ミドシップスポーツカー「MID4」のI型の開発にも携わったという人物だ。「チェリーのレーシングカーは『MINI』などよりもシフトフィールがよいと海外のレーサーには好評だった。一方、アンダーステアがどうしても消せず、日本人レーサーには『リアタイヤはいらない』と皮肉を言われ、リアタイヤを細くするなど開発に苦心しながら、世に出せるマシンへと仕上げた。チェリーのレストアを完成させ、必ず走らせましょう」と語り、集まったクラブメンバーを激励した。
チェリーのレストアは、2016年7月に開始され、同年11月の完成を目指す。ファンへのお披露目は、12月に富士スピードウェイで行われるニスモフェスティバルのデモ走行となる予定だ。
(文と写真=大音安弘)
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